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血管内大細胞型B細胞リンパ腫、世界初の前向き臨床試験で標準的治療法を確立-名大ほか

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2020年03月13日 AM11:30

悪性リンパ腫の一つの病型である血管内大細胞型B細胞リンパ腫(IVLBCL)

日本医療研究開発機構(AMED)は3月12日、血管内大細胞型B細胞リンパ腫(IVLBCL)患者を対象にした世界初の前方向視試験を行い、IVLBCLに対する現在の標準的治療法を確立したと発表した。この研究は、名古屋大学医学部附属病院血液内科の島田和之講師、同大大学院医学系研究科血液・腫瘍内科学の清井仁教授、三重大学医学部附属病院血液内科の山口素子講師らと、IVL研究会(代表:木下朝博氏)に参加する国内の多施設の研究者の研究グループによるもの。研究成果は、「The Lancet Oncology」電子版に掲載されている。


画像はリリースより

悪性リンパ腫の一つの病型であるIVLBCLは、稀で、悪性リンパ腫の一般的な特徴であるリンパ節の腫れが認められないため、しばしば診断が難しいことで知られている。IVLBCL患者への治療は、悪性リンパ腫の中で最も患者数が多いびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)治療と同様に、リツキシマブ、、プレドニゾロンの5つの薬剤を組み合わせて行う多剤併用化学療法であるR-CHOP療法が行われてきた。しかし、再発する患者も多く、特に中枢神経(脳)への病変の広がりを高頻度(20%程度)に認めることが治療上の課題となっている。また、IVLBCL患者に対する前方向視試験は行われたことがなく、標準治療は定まっていなかった。

+高用量メトトレキサート療法+髄腔内抗がん剤注射で2年無増悪生存割合76%

今回、研究グループは世界で初めてIVLBCL患者を対象に、R-CHOP療法に中枢神経への病変の広がりを予防する治療(高用量メトトレキサート療法と髄腔内抗がん剤注射)を組み合わせる治療について、安全性と有効性を調べる前方向視試験を実施。未治療で診断時に中枢神経に明らかな病変を認めないIVLBCL患者を対象に臨床第2相試験を行い、38~78歳までの患者38人が参加した。

試験の結果、同治療により、2年無増悪生存割合が76%、2年全生存割合が92%、2年中枢神経進展・再発累積割合が3%と良好な治療成績が得られたという。副作用(有害事象)は、骨髄抑制(好中球減少、貧血、血小板減少など)、骨髄抑制期の発熱(治療中の感染症を含む)などで、許容の範囲内だった。

IVLBCLは稀で、大規模な臨床試験を実施することが困難であることから、同研究で実施された試験治療が、現在の標準的治療法(みなし標準)と言える。同治療は、現在、日本国内での保険診療の範囲内で実施可能だ。20~79歳までの患者には、すぐに実際の診療に応用することが可能になり、この病気の予後の改善が期待される、と研究グループは述べている。(QLifePro編集部)

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