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ビタミンCは過酸化水素/一酸化窒素と共存でがん細胞死を促進する可能性-東京工科大

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2019年12月10日 AM11:30

70μM付近の生理的濃度VCの、がん細胞に対する毒性作用を検証

東京工科大学は12月6日、血中の低濃度ビタミンC(以下、)によるがん細胞の除去に関する新たな知見を発見したと発表した。これは、同大応用生物学部の佐藤拓己教授らの研究チームによるもの。研究成果は、米国の薬理学専門誌「Reactive Oxygen Species」オンライン版に掲載されている。


画像はリリースより

がん細胞は、血管内皮に強く接着して血管外に移動することで転移巣を形成。この過程において、がん細胞が血管内皮細胞を活性化し、(以下、H2O2)や一酸化窒素(以下、NO)を産生する種々の酵素群を誘導する。H2O2やNOは単独でがん細胞に対して強い毒性があることも示されている。また、VCは、特に高濃度でがん細胞に強い毒性があることが多数報告されている。数十グラム以上の還元型VCを血液に直接投入できる「高濃度ビタミンC点滴」や「過酸化水素点滴」は、外科手術や放射線療法、化学療法などの補助として用いられており、がん転移を抑制する可能性が示唆されている。

一方、血中におけるVCの生理的な濃度は70μM付近に制御されており、このような低濃度のVCが、がん細胞に対してどのような作用を有するのかについては、明らかになっていなかった。そこで研究グループは、生理的な濃度のVCにおけるがん細胞に対する毒性作用の有無を明らかにすることを目的とし、検証を行った。

細胞レベルの検証で、VCとH2O2/NOの共存によりがん細胞が死滅

血中における生理的濃度のVCが、がん細胞との接着によって活性化された血管内皮から放出されたH2O2または一酸化窒素(NO)との共存でがん細胞を除去している可能性が示唆されることから、細胞レベルでの検証を行った。

結果、生理的濃度のVCは、H2O2またはNOによる細胞死を有意に促進することが確認された。一方、酸化型VCでは細胞死の促進は見られなかった。また、蛍光色素などで細胞内の活性酸素種や活性窒素種を定量すると、VCはこれらのラジカルのレベルを有意に低下させていたこともわかった。これにより、VCは酸化ストレスによる細胞死を促進すること、VCの還元力が細胞死の促進に関与することが確認された。

今回の研究により、血中に存在する生理的濃度のVCは、がん細胞に対して毒性を示すH2O2やNOのラジカル産生を抑制するにもかかわらず、H2O2やNO単独の場合よりも強くがん細胞を死滅させることを明らかにした。このことから、生理的な濃度のVCは、H2O2やNOと共存すると、効率的にがん細胞を除去できると考えられる。

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