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世帯食塩摂取密度が高いほど、循環器病死亡リスクが高くなる傾向を証明-滋賀医大

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2019年11月22日 PM12:15

家庭内調理で用いられる調味料が大きな食塩摂取源となっていることに着目

滋賀医科大学は11月21日、家庭単位の食塩摂取量が、家族の構成員の将来の循環器病死亡リスクを上昇させることを明らかにしたと発表した。同大学社会医学講座公衆衛生学部門教授・アジア疫学研究センターセンター長の三浦克之氏らの研究グループによるもの。研究成果は、日本高血圧学会の学会誌「Hypertension Research」電子版で公開された。


画像はリリースより

これまでの国内外の疫学研究において、個人の食塩(ナトリウム)摂取量が多いほど、将来の脳卒中・冠動脈疾患などの循環器病リスクが高まることが明らかになっている。しかし、世帯単位の食塩摂取状況と将来の循環器病リスクとの関連については、これまでにほとんど報告されていない。

同研究では、日本を含めたアジア地域において、家庭内調理で用いられる調味料が大きな食塩摂取源となっていることに着目し、世帯単位の食塩摂取量がその後の循環器病死亡リスクと関連するかを検討した。

世帯食塩摂取密度が2g/1000kcal上昇するごとの死亡リスク上昇

対象者は、日本全国から無作為抽出された300地区の一般住民で、1980年に実施された国民栄養調査に参加した30~79歳の男女で、単身者、循環器病の既往歴のある者などを除外した8,702人を、2004年まで24年間追跡した。各食品・栄養素摂取量データは国民栄養調査における3日間の秤量法(平均的な食事をとった連続3日間について参加者が世帯単位で食品の重量を秤で量って記録する、精度の高い栄養調査)による食事記録から得られた。世帯単位の食塩摂取密度は「世帯全体の食塩摂取量÷世帯全体の総エネルギー摂取量」とし、1000kcalあたりグラム数で評価した。Cox比例ハザードモデルを用いて、世帯単位の食塩摂取密度とその後24年間の総死亡、循環器病死亡(脳卒中と心臓病の合計)、冠動脈疾患死亡(大部分が心筋梗塞死亡)、および脳卒中死亡のリスクとの関連を検討した。調整変数には性別、年齢、ボディマス指数(肥満度)、飲酒と喫煙の状況、仕事の強度の他、世帯単位の栄養摂取状況を用いた。

調査の結果、対象者8,702人(うち男性が44%)の平均年齢は49.4歳で、3~5人家族の者が63%だった。世帯の食塩摂取密度は平均6.25±2.02g/1000kcalで、追跡期間中の総死亡は2,360人、循環器病死亡は787人、冠動脈疾患死亡は168人、および脳卒中死亡は361人。世帯食塩摂取密度が2g/1000kcal(1標準偏差)上昇するごとの死亡リスクは、総死亡で1.07倍、循環器病死亡で1.11倍、冠動脈疾患死亡で1.25倍、および脳卒中死亡で1.12倍となり、いずれも統計学的に有意に上昇していた。

また、対象者を世帯食塩摂取密度の四分位により4群(Q1~Q4)に分けて、最も塩味が薄い群をQ1、最も塩味が濃い群をQ4とした。その結果、世帯食塩摂取密度が高いほどリスクが高くなる傾向にあったという(4群の世帯食塩摂取密度は、Q1:4.9g/1000kcal未満、Q2:4.9-5.9g/1000kcal、Q3:5.9-7.2g/1000kcal、Q4:7.2g/1000kcal以上)。

家族は同じ食事を一緒に摂る機会が多く、家族の構成員は家庭の味付け(塩味の濃さ)に慣れることが知られている。また、家庭で調理された味噌汁や煮物などの日本的な食事、近年増加している購入した加工食品など、食卓に並んだ料理の味付けを個人が調整することは難しいことからも、世帯単位の食塩摂取量の影響を評価することは重要だ。今回の研究の結果、世帯単位で評価した食塩摂取量(食塩摂取密度)が世帯構成員のその後の循環器病死亡リスクに影響することが示された。国民全体の食塩摂取を減らしていくためには、「家族ぐるみの減塩という視点からの対策がたいへん重要であることが示された」と、研究グループは述べている。

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