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グリア細胞の機能異常が筋萎縮性側索硬化症に似た症状を引き起こす-東京医歯大

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2017年08月28日 PM02:00

ALSに似た筋力低下や脊髄運動ニューロンの脱落を引き起こす

東京医科歯科大学は8月24日、脊髄のグリア細胞の機能異常が筋萎縮性側索硬化症()に似た進行性の筋力低下や脊髄運動ニューロンの脱落を引き起こすと発表した。この研究は、同大難治疾患研究所分子神経科学分野の田中光一教授、杉山香織大学院生、相田知海准教授の研究グループが、九州大学、スイスのZurich 大学と共同で行ったもの。研究成果は、国際科学誌「Journal of Neuroscience」のオンライン版で発表されている。


画像はリリースより

ALSは、脳・脊髄にある運動ニューロンが変性・脱落し、進行性の筋力低下を引き起こす疾患。その発症機序は不明であり、有効な治療法が存在していない。ALSの患者では脳・脊髄のグリア細胞に存在するグルタミン酸輸送体(グリア型グルタミン酸輸送体)GLT1の発現が減少することや、ALSモデル動物ではグリア型グルタミン酸輸送体GLT1とGLASTが共に減少することが報告されており、これらのグリア細胞の異常が運動ニューロンの変性・脱落に関与することが推定されている。しかし、グリア型グルタミン酸輸送体の発現減少が運動ニューロンの変性・脱落の直接的な原因か、運動ニューロンの脱落に伴う二次的な現象なのかは不明だった。

ALSに似た症状、ペランパネルやSNJ-1945で長期的に改善

今回の研究では、グリア型グルタミン酸輸送体(GLT1とGLAST)を脊髄から欠損させた、脊髄GLT1/GLAST欠損マウスを作成し、脊髄運動ニューロンに変性・脱落を引き起こし得るかを検討。その結果、脊髄GLT1/GLAST欠損マウスは、進行性の下肢麻痺および運動ニューロンの脱落といったALSに似た症状を呈することを発見。さらに、脊髄 /GLAST欠損マウスの運動ニューロンでは、タンパク分解酵素のカルパインが過剰に活性化され、核-細胞質間輸送に関わる核膜孔複合体(NPC)の構成成分(NUP)が分解され、核に形態異常が起こることを見出した。また、脊髄 /GLAST欠損マウスのALSに似た症状やNUPの分解は、AMPA型グルタミン酸受容体阻害剤「」およびカルパイン阻害剤「SNJ-1945」により長期的に改善されることを明らかにしたという。

グリア型グルタミン酸輸送体の機能障害は、ALSだけでなく、アルツハイマー病や脳梗塞などでも報告されている。今回の研究成果は、これら疾患の病態解明や新規治療法開発にも貢献できる、と研究グループは述べている。

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