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阪大 老化、がん化の原因となるDNA損傷が起こる仕組みを明らかに

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2014年06月17日 PM01:45

DNA酸化損傷カルボキシシトシンがDNA損傷を引き起こす

大阪大学は6月9日、同大学院基礎工学研究科の倉岡功准教授を中心とした研究グループが、エピジェネティックな新規のシトシン塩基に生じる酸化損傷カルボキシシトシンがDNA損傷を引き起こすことを明らかにしたと発表した。

同研究成果は、日本時間6月9日付で英科学雑誌「Scientific Reports」オンライン速報版に公開された。


画像はプレスリリースより

DNAは、生命が正常に営まれるためにその情報を安定に維持しなければならないが、一方で紫外線、化学物質、放射線といった外的要因、細胞の代謝過程で発生する活性酸素などの内的要因により絶えず損傷を受ける。このような損傷は細胞死や突然変異を誘発するとともに、老化・がん化などを引き起こす。

生体内のDNAは、アデニン、シトシン、グアニン、チミンの4つの塩基から構成されており、その他にエピジェネティックな遺伝子発現の調節のために、メチルシトシンと言う塩基が存在する。メチルシトシンは生体内のTETファミリー酸化酵素による酸化を受けて、カルボキシシトシンまで代謝され酸化塩基となる。

DNA酸化の新たな危険性、DNA修復の重要性示す

この酸化塩基の挙動は、これまで十分に解析されていなかったが、研究グループがDNA合成反応を解析した結果、カルボキシシトシンがDNA合成反応を阻害すること、さらにミスマッチDNA修復経路を通じて、そのDNA合成阻害反応が細胞死を導く可能性があることを示した。

今回発見したタイプのDNA損傷は、TETファミリー酸化酵素と異なる経路として、酸化ストレスにより生じる可能性があり、エピジェネティックな変化に応じて生体内で頻繁に生じていると考えられるという。

こうした損傷がどのような病気に関連していくかはまだ謎だが、ヒトにおけるDNA酸化の新たな危険性およびDNA修復の重要性を示すものだと考えられるとしている。(伊藤海)

▼外部リンク
大阪大学 プレスリリース

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