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花粉症治療 患者ビッグデータ(2)受療実態

読了時間:約 2分26秒  2017年02月10日 AM10:00
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患者はどのタイミングで受診する?


QLifeは2016年春の花粉症シーズンに医療機関を受診した花粉症患者1,000人を対象に大規模調査を実施。シリーズ第2回は「受療実態」について紹介する。

調査結果では、花粉症患者に症状が出た期間は全国平均で2.3か月だった。東海と九州は2.4か月、関東南部と近畿は2.3か月、北海道は1.3か月。しかし、花粉症患者にとって、必ずしも「症状が出たとき」=「受診するとき」ではない。では、患者はどのようなタイミングで医療機関を受診しているのだろうか。

北海道など3地域は受診遅め、甲信と東海は飛散開始前に半数が受診済み

調査では、地域別に2016年春シーズン1回目の受診時期ならびに患者の半数以上が1回目の受診を済ませた時期を調べた。その結果、3月18日に飛散開始した北海道では、半数以上の受診が済むのは「4月上旬」と、少なくとも10日強のギャップが生じていることがわかった。関東南部でも1月19日の飛散開始に対して過半数受診が「2月上旬」、東北北部では3月5日の飛散開始に対して過半数受診が「3月中旬」とギャップがあった。

一方、甲信地域では、2月14日の飛散開始に対し、半数の患者が「2月上旬」にはすでに受診を済ませていた。東海地域も2月13日の飛散開始に対して「2月上旬」には済ませていた。飛散開始と同時期に過半数の患者が受診を済ませているのは東北南部、関東北部、北陸、近畿、中国、四国、九州の7地域で、西日本では受診が早い傾向にあった。

全国12地域ブロック別 2016年花粉飛散開始日&花粉症患者受療実態

シーズン最初の受診時、半数以上がすでに“中等度”以上

では、花粉症患者はどの段階で医療機関の受診を検討するのだろうか。症状がないときを「0」、最も強いとき(ピーク)を「5」とした場合、「0」が19.9%と初期療法の重要性について認識している人がいるものの、「2」(19.5%)、「3」(19.3%)、「4」(11.0%)、「5」(3.6%)を合わせると“中等度”以上が半数を超えており、シーズン最初の医療機関受診時にはすでに症状を発症している人が多いことがうかがえた。

受診の検討段階

受診前の市販薬使用、「症状が出始めた」「時間がなかった」を理由に

シリーズ第1回では医療機関受診後も約1割が市販薬を使用していることを紹介したが、2016年春シーズンの初回受診前に市販薬を使用した211人に対して、市販薬使用を検討するのはどの段階かを調査したところ、症状がまったくないときを「0」、最も強いとき(ピーク)を「5」とした場合、全回答の平均指数は2.42だった。「2」(19.9%)、「3」(28.9%)、「4」(17.5%)、「5」(4.3%)を合わせると7割を超えており、医療機関の受診と比べて、比較的症状が重くなってから市販薬使用を検討する人が多かった。

市販薬使用の検討段階

花粉症症状のために日常生活で困っていた事柄として、最多の64.4%が「集中できない」、49.1%が「勉強、仕事、家事のさしさわり」と回答したほか、思考力の低下や睡眠障害、疲労を挙げる人も3~4割に上っている。これらを何とかしたいと考えるものの、受診する前に症状が出始めたり、時間がなかったりするなどの理由で受診できず、まずは市販薬で対応していることがうかがえる結果だった。

受診前の市販薬の使用理由
症状により日常生活で困っていた事柄(上位10位)

今調査の概要は以下の通り。

  1. 調査対象:
    ・花粉症の治療を目的に2016年春の花粉症シーズンに1回以上医療機関を受診した患者500名
    ・通年性アレルギー性鼻炎患者ならびに患者予備群(自覚症状あり)で花粉症も合併しており、2016年春の花粉症シーズンに1回以上医療機関を受診した患者500名
  2. 有効回収数:1000名
  3. 調査方法:インターネット調査
  4. 調査時期:2016/12/7~2016/12/13

また、詳細な調査報告書はhttp://www.qlife.co.jp/news/170113qlife_research.pdfからダウンロードできる。(QLifePro編集部)