医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

Home > トレンド変化の最前線 > なぜ儲かっている開業医は漢方薬を使うのか、治療効果以外にもメリットあるのか > 開業医の3人に1人は「今後、漢方薬増やす」、最も影響を与えているのは「医学誌」

開業医の3人に1人は「今後、漢方薬増やす」、最も影響を与えているのは「医学誌」

読了時間:約 2分54秒  2010年07月26日 PM05:00
このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事は医療者のみが閲覧する事ができます。

あなたは医療者ですか?

r_kampo_ca3 エビデンス情報が増えてきたこととあいまって、西洋医学の医師の間でも「漢方薬」を日常診療において処方する動きが広がりを見せている。
 そこでQLifeは全国の開業医にアンケート調査を行って(有効回答200人)、漢方薬が診療所の医療現場でどんな役割を果たし、どんな「困ったエピソード」を引き起こしているのかを浮き彫りにした。
 ※この記事は、漢方薬は、「患者との関係性」を良好化し、「再診率」の向上にも寄与の続きです。

7:今後、あなたの処方のなかで漢方薬が占める割合は、どう変化すると思いますか。

日常診療において、今後、処方に占める漢方薬の割合が「増える」とした医師は34%で、「減る」6%を大きく上回った。
年代別にみると、30代および60代に増加派が多いが、同時に減少派も多く含まれる結果となった。現在の処方状況別にみると、積極派&準・積極派の医師の半数以上が「今後増える」としており、“いま多く使用している医師が、今後より多く使用する”傾向となった。逆に、現在処方していない医師は、今後も使用しない人がほとんど。

主な診療科目別

診療科目別に見ると、「外科」「耳鼻咽喉科」「皮膚科」に今後処方を増やそうと考える医師が多い。なかでも「皮膚科」は現在の処方度合いが低調(前出:1 主な診療科目別)にもかかわらず、半数が今後「増やす」としたのは要注目。
逆に「産婦人科・婦人科」医は、ほとんどが「変わらない」とした。

注:「内科系」以外は集計母数が小さく、参考表示

医院経営状態(収益面)別

注:「経営状態(収益)」=周囲の類似の医院にくらべて「好調と思う」/「不調と思う」/「わからない」から主観的に選択してもらった結果。「※わからない」には「どちらでもない」も多く含まれると考えられるため、参考表示している。
経営状態別に見ると、収益好調な医院の方が漢方薬使用を今後増やす傾向が若干見える。

患者層の特徴別

患者層の特徴別に見ると、漢方薬の処方割合が高い(前出)「更年期の女性が多い」医院が、さらに使用割合を高めようとしていることがわかる。

診療方針(最も重視するもの)別

注:「診療方針」=“あなたは、日常診療において、何を重視していますか。あえて優先順位をつけた場合の、一番上位のものを選んでください”と訊いて、選択肢から単数回答してもらった結果。
診療方針別に見ると、「治癒」重視派に減らす意向の医師が多い。増やす意向の割合は、あまり違いが見られない。

注: 「医院収益性」「患者の費用負担」「その他」は集計母数が小さいため、グラフでは除外

漢方専門医の身近存在別

注:「漢方専門医の身近存在」=“周囲に、漢方専門医(日本東洋医学会の専門医など)はいますか。一番近いものを選んでください。”と訊いて、選択肢から単数回答してもらった結果
漢方専門医の身近存在別に見ると、やはり専門知識へのアクセスが良い医師の方が、今後処方を「増やす」意向持つ割合が高い。

8:今後、あなたの漢方薬処方が「増える」と考える、理由を教えてください。(漢方薬の処方が増える医師のみ)

漢方薬の処方が増える理由は、「西洋薬のみでは限界感じる」との消極的理由が最多で、次に「エビデンス情報が増えている」が続いた。3位4位は「不定愁訴患者の増加」「患者からの要望が増加」と患者側事情によるものが占めた。診療所らしく「全人的医療」を挙げた医師も15%いた。

9:漢方薬の処方を増やす際の障害は何ですか。(複数選択)

処方増加しにくい理由を具体的に聞いたところ、増加派も減少派も、どちらも平均2個の不満を挙げた。
ただし内容には違いがある。増加派には「剤形の選択肢」「効果発現までの時間」が大きな障害であったが、減少派には「効果に疑問」という不満が最多であった。
なお、「使い方不明」「勉強が面倒」とする本人に関する事情が障害となる医師は少数派であった。「その他」では、「費用が高い」「飲みにくい、味が悪い」「量が多い」などが具体的に挙げられた。

10:あなたの漢方薬処方に、一番影響を与えている情報源は何ですか。

何を参考に漢方薬の処方をしているか、影響度合いの強いものを一つ選んでもらったところ、「医学誌の記事・論文」が最多で、次に「MR」が続いた。「他の医師」「学会」という横からの情報も強い。「患者の要望」に最も影響を受けているとする医師も9%いた。
なお「その他」のなかには、「書籍」「自身の経験・症例」が多かったほか、「漢方を専門とする薬剤師」「メーリングリスト」などが含まれた。

詳しい内容は以下のPDFファイルよりご覧いただけます
診療所での「漢方薬の使用実態&今後の意向」調査