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アレルギー性鼻炎患者調査 Vol.1【医療機関に通院中のアレルギー性鼻炎患者。年代・職業別にみた困りごととは?】

読了時間:約 3分32秒  2017年12月20日 AM11:00
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学生、就労者、主婦…それぞれの悩みはどう違うのか


国民の約4割が罹患しており、近年増加傾向にあるアレルギー性鼻炎1)。処方薬、市販薬も豊富で、2014年には舌下免疫療法も登場。いまや、さまざまな治療選択肢から、患者一人ひとりにあった治療方法を選択できる時代だ。それでは、アレルギー性鼻炎患者本人は、治療に関してどのように考えて、クリニックの受診や市販薬の購入などの行動を起こしているのだろうか。

そこで今回QLifeは、アレルギー性鼻炎で医療機関に通院中の患者2,702人を対象に、治療についての考え方に関する大規模調査を実施した。その結果から垣間見える患者のホンネについて、シリーズで紹介する。第1回目は「年代・職業別にみた患者の困りごと」について。くしゃみ、鼻水、鼻づまりのアレルギー性鼻炎の主症状の出方に、年代や職業による違いはあるのだろうか。

1)鼻アレルギー診療ガイドライン作成委員会:鼻アレルギー診療ガイドライン-通年性鼻炎と花粉症-2016年版(改訂第8版).(株)ライフ・サイエンス, 8-13, 2015

口呼吸が必要なほどの「鼻づまり」が受験生を悩ませる

受験シーズンを迎える患者が含まれる10代学生。通院中の10代学生の83.4%が重症度で中等症以上に分類された。くしゃみ、鼻水、鼻づまりのうち、ほかの年代・職業に比べて特に学生を悩ませているのは「鼻づまり」だ。一日中鼻がつまっていたり、口呼吸をしたりしている通院中の患者は59.9%と、半数を超えた。なお、くしゃみ、鼻水に関しては、ほかの世代・職業と同様だった。鼻閉が睡眠障害と関連することはかねてより指摘されており2)、その結果として集中力の低下などをもたらし、学業にも影響することが考えられる。受験シーズンは学生たちの将来を左右する大切な時期。くしゃみ、鼻水のような目につきやすい症状だけでなく、鼻閉への対応も考慮して薬剤選択を行いたい。

それでは、ほかの年代・職業をみてみよう。10代学生に多かった「鼻づまり」に関しては、「口呼吸をするほどはつまらない」、あるいは「鼻づまりはない」との回答が多かったのは、50代の就労者だ。62.9%が「鼻づまりはない」「口呼吸をするほどではない」と回答した。なお、就労者でも20代・30代では、口呼吸が必要なほどの「鼻づまり」で悩む患者の割合がそれぞれ56.4%、57.4%と多数派だった。

50代の就労者は、重症度でも軽症~無症状が30.3%を占め、症状が強く出る日も「週に平均4日未満」が43.8%と、ほかの世代・職業に比べ軽症患者が目立つ。この傾向は、アレルギー性鼻炎症状への“慣れ”によるものなのか、それとも対策に熟練してきたことを示しているのだろうか。

職業・年代×鼻づまりの程度
職業・年代×重症度分類

次に、現在通院中のクリニックを選んだ理由については、10代学生の83.3%が「鼻症状を治したい」に「非常によくあてはまる」と回答。鼻づまりの少ない50代就労者の71.9%に比べ、10ポイント以上の差をつけた。一方、興味深い傾向がみられたのが30代主婦(主夫)だ。現在通院中のクリニックを選んだ理由として、「治療方法について教えてほしい」「処方薬について教えてほしい」「予防法について教えてほしい」でいずれも「非常によくあてはまる」の回答がほかの世代・職業に比べて多く、30代主婦(主夫)のアレルギー性鼻炎対策への関心の高さが窺える結果となった。

2)川島 佳代子ほか:日鼻誌. 52(4):449-505, 2013

“とっておき”の処方薬活用法は“とっておいた”処方薬!?

症状緩和を期待して通院を始める患者たち。それでは、病院やクリニックで処方された薬は、医師が指示したとおりに服用されているのだろうか。処方された薬を指示どおり服用しているか尋ねたところ、「指示された日数分を9割以上使用・服用した」と答えた患者は全体の41.9%と、半数に満たなかった。指示どおりに服用しなければ、処方した薬は余るはずである。余った処方薬の扱いについては、「とっておく」との回答が63.3%にのぼった。なお、残薬は「捨てる」と答えた患者も14.0%いた。医療費高騰が問題となる昨今、残薬を捨てるのも忍びないが、とっておかれた残薬のその後も気になるところである。

今回の調査では、残薬の行方を示唆する結果も得られている。現在通院中のクリニックを受診する前に、市販薬または飲み残しの処方薬を使用したかどうか、という質問だ。「とっておいた処方薬を使用した」という患者が32.2%。これに対して市販薬使用は14.6%だった。処方薬を指示どおり服用しない患者は、もしかしたら翌年のために、早めに服薬を中断して処方薬をとっておいているのかもしれない。シーズン最初に受診した患者に服薬について問診する際には、市販薬だけでなく、処方薬の使用も念頭に話を聞く必要がありそうだ。

指示通り服用しなかった場合、余った処方薬はどうしていますか
現在受診されているクリニックを受診する前に、市販薬またはここ1年間の間に飲み残した処方薬を使用しましたか

本調査の概要は以下の通り。

  1. 調査対象:アレルギー性鼻炎で医療機関に通院している患者2,702人
  2. 有効回収数:2,702人
  3. 調査方法:通院する医療機関を通して、患者本人に案内したインターネット調査
  4. 調査時期:2017年7月15日~8月31日

また、詳細な調査報告書はhttp://www.qlife.co.jp/news/171031qlife_research.pdfからダウンロードできる。(QLifePro編集部)