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 アビオメッド、心肺補助技術(ECMO)取得により製品ポートフォリオを拡大、患者転帰を向上へ

2020年05月05日 AM09:38
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米マサチューセッツ州ダンバース

(ビジネスワイヤ) — Impella心臓ポンプのメーカーであるアビオメッド(NASDAQ: ABMD)は、新しい体外式膜型人工肺(ECMO)装置の開発企業であるBreethe(ブリーズ)社を買収しました。これによって、アビオメッドの製品ポートフォリオは補完・拡大され、ARDS、H1N1インフルエンザウイルス、SARS、COVID-19感染症などに起因する心原性ショックや呼吸不全など、肺から十分な酸素を取り入れることができなくなった患者さんのニーズに包括的に対応することが可能になります。ECMOはすでに、小児患者さんにおける血液への酸素供給および血行動態サポートを可能にする重要な治療法となっています。

本プレスリリースではマルチメディアを使用しています。リリースの全文はこちらをご覧ください。:https://www.businesswire.com/news/home/20200504005801/ja/

Breetheシステムはかさばって重い酸素タンクや多数のワイヤーが不要な一体型酸素濃縮器により、患者の移動がさらに容易化。(写真:ビジネスワイヤ)

Breetheシステムはかさばって重い酸素タンクや多数のワイヤーが不要な一体型酸素濃縮器により、患者の移動がさらに容易化。(写真:ビジネスワイヤ)

ECMO治療を必要とする患者さんは、肺が正常に機能しなくなる、重篤で命に関わる疾患を患っています。この装置はチューブ(カニューレ)を通じて患者さんに接続され、静脈血を対外に送り出し、人間の肺とほぼ同じように二酸化炭素を除去して酸素を供給する体外式の呼吸補助装置です。酸素化された血液はチューブを通じて患者さんに戻されます。米国では毎年2万人以上の患者さんがECMO治療を受けています。

アビオメッドは酸素化が必要な患者さんに対するECMO治療の必要性を認識しており、過去10年間で約1万人の心原性ショックの患者さんにECMOとImpellaの併用治療 (ECPella TM) をサポートしてきました。日本ではImpella治療を受けた半数以上の患者さんが、血行動態と酸素化両方の補助としてECPella治療を受けています。

Breethe社の製品は、かさばる酸素ボンベが不要で酸素濃縮器を内蔵した、患者さんの歩行を可能にする使い勝手の良いコンパクトなECMOシステムです。医療従事者が直感的に設定、管理、モニタリングできる斬新なデザインを採用しています。アビオメッドは2019年半ばよりBreethe社に出資を行ってきました。Breethe社は米国食品医薬品局(FDA)に510(k)申請を行っています。

Breethe社の創設者でメリーランド大学医学部ヘールズ特別外科教授であるバートリー・グリフィス医師は、機械的循環補助を含め、成人心臓外科の多くの分野における指導者として有名です。グリフィス医師は長年にわたってアビオメッドと協力し、RECOVER I試験の治験責任医師を務めてきました。何十年にもわたる経験を持つグリフィス医師と彼のチームは、最先端のBreetheシステムを設計し、血液酸素化の方法を変えることで患者さんの転帰を改善し、生活の質を向上させ、総医療費を削減することを目指しました。

グリフィス医師は次のように述べています。「当社が始めた事業を受け継ぎ発展させる上で、アビオメッドは最適な企業です。Breethe社の技術がアビオメッドの製品ポートフォリオに加わることで、患者さんの転帰を向上し、新たな患者さんに対してサービスを提供するアビオメッドの能力が、さらに高まると確信しています。」

ヴァンダービルト大学胸部外科の准教授であるマシュー・D・バチェッタ医師は、次のように述べています。「今回の買収は患者さんケアの改善に向けて当然起こるべき前進です。Breethe社のコンパクトでオールインワンの技術は、この機器を使用する患者さんの歩行を改善することを目的としており、これにより心肺疾患の患者さんの転帰を改善し、積極的なリハビリを促進することができます。」

アビオメッドの会長兼社長であり最高経営責任者(CEO)を務めるマイケル・R・ミノーグは、次のように述べています。「Breethe社は業界最高クラスの当社のクリニカル・サポートセンターを含む、アビオメッドの製造・品質・販売・エンジニアリング・研究の能力と統合されることになります。この買収は、技術と革新をリードし、患者さんを第一に考え、継続的に治療予後を改善させるという当社の方針に沿ったものです。医師らがアビオメッドにこの技術を当社のポートフォリオに加えるよう求めてきましたが、それは、当社が患者さんをサポートし、ベストプラクティスを提示し、研究を通して非常に重要なデータを収集する能力を備えているからです。このECMO技術により、当社はすでにImpella補助を受けている心原性ショック患者さんを治療し、小児科向けの製品を加え、呼吸不全の新たな患者さんを治療することが可能になります。」

今回の買収により、アビオメッドは患者さんの歩行と、急性呼吸不全からの回復に焦点を当てながら、従来のECMO技術を革新する機会を得ることができます。Impellaは、左心室の負荷を軽減させ、末端臓器に血液を灌流させ、心臓を休ませて回復させることができるため、心原性ショック状態にある多くの患者さんにとって最適な技術です。アビオメッドは、心原性ショックの患者さんにとっても酸素化が必要になる場合があることを認識しています。ECMOは末端器官に血液を供給しますが左心室の負荷軽減は行わないため、このような患者さんの心筋の酸素需要が増大します。心原性ショックの患者さんに対しては、ImpellaとECMO(ECPella)が協働しながら心臓の負荷を取り除き、酸素を供給します。

複数の研究で、心原性ショックの状態にあり酸素化を必要としている患者さんの転帰を改善するためのECPella治療の関連性が支持されています。European Journal of Heart FailureASAIOJournal of the American College of Cardiologyの各誌は、合わせて4126人の患者さんを対象とした研究が発表されており、ECMO単独の治療を受けた患者さんと比較してECPellaの使用が生存率の向上と関連していると結論付けています(図1参照)。生存率の向上に加え、European Journal of Heart Failureに掲載されたPappalardo医師らの研究では、ECPellaを使用した場合にECMO単独よりも心臓の回復率が高いことが示されています(62%vs.36%、p=0.048)。

買収の条件は現時点で開示していません。

IMPELLA心臓ポンプについて

Impella 2.5®およびImpella CP®の各デバイスは、閉塞した冠動脈を再開通するためにステント留置術またはバルーン血管形成術などの待機的または緊急の経皮的冠動脈形成術(PCI)を受ける特定の進行性心不全患者の治療を目的として、米国食品医薬品局(FDA)より市販前承認(PMA)を取得している心内留置型ポンプです。Impella 2.5、Impella CP、SmartAssist®搭載Impella CP、Impella 5.0®、Impella LD®、SmartAssist®搭載Impella 5.5™は、心原性ショック状態にある急性心不全心筋症患者の治療に使用する心臓ポンプとして米国食品医薬品局(FDA)の承認を取得しており、心臓の自然な回復を可能にする独自の機能を有しているため患者さんが自分の心機能を回復させ帰宅することができます。Impella RP®は、右室不全および左心補助人工心臓の埋込、心筋梗塞、心臓移植、開胸手術後に発生する非代償性心不全の治療を目的として米国食品医薬品局(FDA)の承認を受けています。Impellaは、米国食品医薬品局(FDA)の歴史の中で最も研究された循環補助デバイスで、10年以上に及ぶFDAの研究、14万人以上の患者に関する実臨床データ、650本以上の査読付き論文が存在します。

欧州でImpella 2.5、Impella CP、SmartAssist搭載Impella CPは、高リスクPCIおよび心原性ショックショックを伴う急性心筋梗塞(AMI)の患者さんの最長5日間の治療を対象としてCEマークを取得しています。Impella 5.0およびImpella LDは、心原性ショックを伴う心臓発作または心筋症の患者さんの最長10日間の治療を対象としてCEマークを取得しています。SmartAssist®搭載Impella 5.5™は、急性心不全または心原性ショックを伴う心筋症の患者さんの最長30日間の治療を対象としてCEマークを取得しています。Impella RPは、右心不全および左心補助人工心臓埋込、心筋梗塞、心臓移植、開胸術後に発生する代償不全に陥った心不全の治療デバイスとしてCEマークを取得しています。

承認された適応症や、デバイスの使用に伴う重要な安全性・リスク情報を含め、Impella心臓ポンププラットフォームの詳細については、www.impella.comをご覧ください。

アビオメッドについて

米マサチューセッツ州ダンバースに拠点を置くアビオメッドは、循環補助デバイスのリーディングカンパニーです。当社製品は血行動態を改善し、心臓のポンプ機能を補助することで心筋の負担を軽減し、その回復を目指しています。詳細情報については、www.abiomed.comをご覧ください。

Abiomed、Impella、Impella 2.5、Impella 5.0、Impella LD、Impella CP、Impella RP、Impella Connectは、アビオメッドの登録商標で、米国および一定の外国で登録されています。Impella BTR、Impella 5.5、Impella ECP、CVAD Study、DTU STEMI Study、SmartAssistはアビオメッドが商標登録出願中です。

Breethe社について

Breethe社はOXY-1システムにつき510 (k)申請を行いましたが、まだ承認を取得していません。Breethe社の今後の製品に関して本リリースに記載された内容は、投資家向けの情報提供のみを目的としており、医療行為の提供を目的としたものではありません。。本文書の内容はいずれも、将来の製品または適応症に関する安全性または有効性を主張するものではありません。

将来見通しに関する記述

本リリースは、アビオメッドの既存製品および新製品の開発、営業活動による企業としての成長、将来的可能性、および行政当局による承認の見込みに関する記述等の将来の見通しに関する記述が含まれます。当社の実績は多くの要因によりこの将来の見通しに関する記述の中で記載とは大きく異なる可能性があり、それらの要因には、COVID-19の世界的流行病がもたらす影響の範囲・規模・期間、開発、試験、関連行政当局による承認に伴う不確定要素(将来の損失の可能性を含む)、さらには将来的な損失が生じる可能性、複雑な製造工程、高品質に関する要件、限られた供給源への依存、競争、技術的変更、行政規制、訴訟問題、今後の資金需要と追加資金の不確実性に加え、直近に提出したForm 10-Kの年次報告書とその後SECに提出・提供した書類を含め、証券取引委員会に提出した当社の報告書に記載されたその他のリスクおよび課題が含まれます。利用者は、本プレスリリースの発表日時点に述べられている将来の見通しに関するいかなる記述についても過度に依拠することのないようお願いいたします。当社は、本プレスリリースの発行日以降に発生する事象、または予想外の出来事の発生によって、見通しまたは予測など、当社の将来の業績に関する見通しを更新し、または修正する義務を負うものではありません。これらの訂正は、本リリースの日付以降に発生する出来事や状況を反映させたり、予想外の出来事を反映させたりする場合に行われる可能性があります。

本プレスリリースは、米国アビオメッド・インクが現地時間2020年4月30日に発表した英文プレスリリースを日本語訳したものです。正式な言語は英語であり、日本に適応しない内容が含まれます。解釈は英語が優先されます。

本記者発表文の公式バージョンはオリジナル言語版です。翻訳言語版は、読者の便宜を図る目的で提供されたものであり、法的効力を持ちません。翻訳言語版を資料としてご利用になる際には、法的効力を有する唯一のバージョンであるオリジナル言語版と照らし合わせて頂くようお願い致します。

businesswire.comでソースバージョンを見る:https://www.businesswire.com/news/home/20200504005801/ja/

CONTACT

Sarah Karr

Communications Manager

978-882-8211

skarr@abiomed.com

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