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武田薬品、米国FDAがEGFRエクソン20挿入変異を伴うNSCLC患者を治療するmobocertinib (TAK-788)を画期的治療薬に指定したと発表

2020年05月01日 AM12:43
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米マサチューセッツ州ケンブリッジ & 大阪

(ビジネスワイヤ) — 武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)(「武田薬品」)は本日、米国食品医薬品局(FDA)が治験薬mobocertinib(TAK-788)を上皮成長因子受容体(EGFR)エクソン20挿入変異があり、プラチナ製剤ベースの化学療法を実施中か実施後に病勢が進行した転移性非小細胞肺がん(NSCLC)患者さんを治療するための画期的治療薬に指定したと発表しました。現在、この特定種のNSCLCを治療するための承認薬はありません。mobocertinibはEGFRおよびヒトEGFR2(HER2)のエクソン20挿入変異を選択的に標的とするように設計した低分子チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)です。

今回の画期的治療薬の指定は、EGFRエクソン20挿入変異を伴い、全身化学療法の治療歴を有する局所進行性/転移性NSCLC患者さんを対象にmobocertinibの安全性と有効性を評価する第1/2相試験における全奏効率(ORR)および奏効患者に対する長期的効果に基づいています。本指定は、標的療法が存在せず、現在の治療選択肢が限られた効果しかもたらさない患者さんのニーズを満たす上で、前進した可能性を示すものです。

武田薬品Oncology Therapeutic Area Unitのヘッドを務めるクリストファー・アーレントは、次のように述べています。「当社は、EGFRエクソン20挿入変異を有し、有効な治療オプションを心底必要としている非小細胞肺がんの患者さんにとって、mobocertinibが治療薬になり得ることをFDAに認めていただき、うれしく思います。当社は、治療が難しい疾患に対する新規治療薬の開発に傾倒しています。mobocertinibの画期的治療薬への指定により、十分な治療を受けられない本疾患の患者集団にとっての現在の標準治療を変えることに貢献する当社の活動が前進しました。」

ラング・キャンサー・ペイシェントのアドボケートでEGFR Resisters共同創設者のジル・フェルトマン氏は、次のように述べています。「ほとんどのEGFR変異は現在入手可能なTKIの標的となり得るものの、エクソン20挿入変異を伴う患者さんは市販のEGFR阻害薬はこのがんにあまり効果がないため、多くの場合に苦しみを味わい、忘れ去られたという気持ちになります。私たちは、本疾患を標的とする承認済みの治療オプションがない患者さんにとって本治療薬が延命できる可能性を持つことに、大いに期待しています。」

米国FDAによる画期的治療薬の指定は、重篤疾患または生命を脅かす疾患の治療を目的とした医薬品の開発および規制当局による審査を加速することが目的です。本指定を受けた治療薬は、臨床的に意義のある評価項目1つ以上において、既存の治療薬より大幅な改善を実証できるかもしれないことを示す中間的な臨床証拠があるものです。

武田薬品は、4月28日(火)の午前11:14~11:34(東部標準時)に、米国がん学会(AACR)の仮想年次総会I の「新薬の地平」セッションにおいて、構造の初開示を含め、mobocertinibの開発について初めて発表します。

エクソン20挿入変異を伴う非小細胞肺がん(NSCLC)について

非小細胞肺がん(NSCLC)は肺がんの最も一般的な形態であり、世界保健機関によれば、世界中で毎年診断される推定180万人の新規肺がん症例の約85パーセントを占めています1,2。EGFRエクソン20挿入変異を伴う患者さんは、NSCLC患者さんのわずか約1~2%しか占めていません3,4。現在、エクソン20挿入変異に対するFDA承認済みの治療薬は存在しておらず、これらの患者さんに対する現在のEGFR TKIおよび化学療法の効果は限定的であるため、この疾患は他のEGFR変異を伴う疾患よりも予後が不良となっています。

mobocertinib(TAK-788)について

mobocertinibは、EGFR/HER2エクソン20挿入変異を選択的に標的とするよう特別設計した強力な低分子チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)です。FDAは2019年、エクソン20挿入変異などのHER2変異あるいはEGFR変異を伴う肺がんの治療薬として、mobocertinibを希少薬に指定しました。

mobocertinibの進行中の第1/2試験では、治療歴を有するとともにEGFRエクソン20挿入変異を伴う患者を対象に、mobocertinibを1日1回160mg投与した際の有効性と安全性を評価しています。本試験の結果、局所進行性/転移性EGFRエクソン20挿入変異を伴うNSCLC患者において、mobocertinibは無増悪生存期間(PFS)の中央値が7.3カ月、確定した全奏効率(ORR)が43%(n=12/28)となりました。mobocertinibの安全性プロファイルは管理可能でした(N=72)。治療関連の最も一般的な有害事象は、下痢(85%)、悪心(43%)、発疹(36%)、嘔吐(29%)、食欲不振(25%)でした。これらの結果は、2019年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で発表しました。

mobocertinib開発プログラムはNSCLCの患者集団で開始されましたが、十分な治療を受けていないその他腫瘍の患者集団へと拡大する見込みです。TAK-788は治験薬であり、有効性と安全性は確立していません。

肺がん領域における武田薬品の取り組み

武田薬品は、ALK陽性NSCLCおよびEGFR/HER2挿入変異型NSCLCの治療展望における治療選択肢を拡充させることに専心しています。当社の包括的プログラムには下記の臨床試験が含まれ、肺がん患者の未充足ニーズに一貫して対応しています。

mobocertinib:

  • NSCLC患者で経口EGFR/HER2阻害剤mobocertinibの安全性、薬物動態、抗腫瘍活性を評価する第1/2相試験。本試験は患者組み入れが完了。
  • EGFRエクソン20挿入変異を持ち、治療歴のある患者でmobocertinibの有効性と安全性を1日1回、160 mg投与で評価するようにデザインされた第1/2相試験のピボタル拡大コホートとなる第2相EXCLAIM試験。本試験は患者組み入れが完了。
  • 腫瘍がEGFRエクソン20挿入変異を有する局所進行性/転移性NSCLCの治療未経験患者で、ファーストライン治療としてのmobocertinibの有効性をプラチナベースの2剤併用化学療法と比較して評価するランダム化グローバル試験の第3相EXCLAIM 2試験。本試験は現在、患者組み入れ中。
  • 局所進行性/転移性NSCLCの日本人患者でmobocertinibの安全性、忍容性、薬物動態を評価する非盲検多施設用量漸増第1相試験。本試験は患者組み入れが完了。
  • 腫瘍がEGFRエクソン20挿入変異を有する局所進行性/転移性NSCLCの日本人患者に対するファーストライン治療としてのmobocertinibの有効性を評価する非盲検多施設第2相J-EXCLAIM試験。本試験は現在、患者組み入れ中。
  • 進行性NSCLC患者でmobocertinibと感受性CYP3A基質ミダゾラムの薬物相互作用を検討する非盲検多施設第1相試験。本試験は現在、患者組み入れ中。

分子変異を標的として阻害するよう設計した次世代TKIのALUNBRIG:

  • ALUNBRIGの安全性、忍容性、薬物動態、予備的な抗腫瘍活性の評価を実施するようにデザインした第1/2相試験。本試験は患者組み入れが完了。
  • クリゾチニブ投与中に進行した局所進行性/転移性ALK陽性NSCLC患者で2種類の投与レジメンにてALUNBRIGの有効性と安全性を検討するピボタル第2相ALTA試験。本試験は患者組み入れが完了。
  • ALK阻害剤未治療の局所進行性/転移性ALK陽性NSCLC患者でクリゾチニブと比較したALUNBRIGの有効性と安全性を評価するランダム化グローバル試験の第3相ALTA-1L試験。本試験は患者組み入れが完了。
  • アレクチニブ投与中に進行した患者に重点を置き、日本人のALK陽性NSCLC患者を治療する第2相J-ALTA単一群多施設試験。本試験は患者組み入れが完了。
  • アレクチニブまたはセリチニブの投与中に進行した進行性ALK陽性NSCLC患者でALUNBRIGの評価を実施する第2相ALTA 2グローバル単一群試験。本試験は患者組み入れが完了。
  • クリゾチニブ投与中に進行したALK陽性NSCLCを患う参加者でアレクチニブと比較したALUNBRIGの有効性と安全性を比較する第3相ALTA 3ランダム化グローバル試験。本試験は現在、患者組み入れ中。

mobocertinibとALUNBRIGの臨床試験に関する詳細情報についてはwww.clinicaltrials.govをご覧ください。

武田薬品のオンコロジー領域に対する取り組み

当社の研究開発上の中核的使命は、科学に対する傾倒、画期的イノベーション、患者の生活改善への熱意を通じ、世界中のがん患者に新規医薬品を届けることです。当社の血液疾患治療薬、充実したパイプライン、固形腫瘍治療薬のいずれにおいても、当社は患者に必要な治療を届けるべく、革新的であるとともに競争力のある立場の保持を目指しています。詳細情報についてはwww.takedaoncology.comをご覧ください。

武田薬品工業株式会社について

武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)は、日本に本社を置き、自らの経営の基本精神に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。武田薬品のミッションは、優れた医薬品の創出を通じて人々の健康と医療の未来に貢献することです。研究開発においては、オンコロジー(がん)、希少疾患、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、消化器系疾患の4つの疾患領域に重点的に取り組むとともに、血漿分画製剤およびワクチンにも注力しています。武田薬品は、研究開発能力の強化ならびにパートナーシップを推し進め、強固かつ多様なモダリティ(創薬手法)のパイプラインを構築することにより、革新的な医薬品を開発し、人々の人生を豊かにする新たな治療選択肢をお届けします。武田薬品は、約80カ国で、医療関係者の皆さんとともに、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。

詳細情報についてはhttps://www.takeda.comをご覧ください。

留意事項

本留意事項において、「ニュースリリース」とは、本資料(添付資料及び補足資料を含みます。)において武田薬品工業株式会社(以下、「武田薬品」)によって説明又は配布された本書類、口頭のプレゼンテーション、質疑応答及び書面又は口頭の資料を意味します。本ニュースリリース(それに関する口頭の説明及び質疑応答を含みます。)は、いかなる法域においても、いかなる有価証券の購入、取得、申込み、交換、売却その他の処分の提案、案内若しくは勧誘又はいかなる投票若しくは承認の勧誘のいずれの一部を構成、表明又は形成するものではなく、またこれを行うことを意図しておりません。本ニュースリリースにより株式又は有価証券の募集を公に行うものではありません。米国1933年証券法に基づく登録又は登録免除の要件に従い行うものを除き、米国において有価証券の募集は行われません。本ニュースリリースは、(投資、取得、処分その他の取引の検討のためではなく)情報提供のみを目的として受領者により使用されるという条件の下で(受領者に対して提供される追加情報と共に)提供されております。当該制限を遵守しなかった場合には、適用のある証券法違反となる可能性がございます。

武田薬品が直接的に、又は間接的に投資している会社は別々の会社になります。本ニュースリリースにおいて、「武田薬品」という用語は、武田薬品およびその子会社全般を参照するものとして便宜上使われていることがあり得ます。同様に、「当社(we、usおよびour)」という用語は、子会社全般又はそこで勤務する者を参照していることもあり得ます。これらの用語は、特定の会社を明らかにすることが有益な目的を与えない場合に用いられることもあり得ます。

将来に関する見通し情報

本プレスリース及び本プレスリリースに関して配布された資料には、武田薬品の見積もり、予測、目標及び計画を含む当社の将来の事業、将来のポジション及び業績に関する将来見通し情報、理念又は見解が含まれています。将来見通し情報は、「目標にする(targets)」、「計画する(plans)」、「信じる(believes)」、「望む(hopes)」、「継続する(continues)」、「期待する(expects)」、「めざす(aims)」、「意図する(intends)」、「保証する(ensures)」、「だろう(will)」、「かもしれない(may)」、「すべきであろう(should)」、「であろう(would)」「することができた(could)」、「予想されるanticipates)」、「見込む(estimates)」、「予想する(projects)」などの用語、同様の表現、それらの否定表現を含むことが多いですが、それに限られるものではございません。この書類における将来見通し情報は、この書類の発表日における当社の推定及び前提に基づくものです。かかる将来見通し情報は、多くの重要な要因に関する仮定に基づいており、これらの要因は実際の結果が将来見通し情報で明示ないし暗示された内容と著しく異なる場合の原因になり得るものです。これらの要因には、日本と米国の一般的な経済条件を含む当社の世界的な事業を取り巻く経済状況、競合製品の出現と開発、関連法規の変更、製品開発計画の成功または失敗、規制当局による判断とその時期、金利及び通貨為替レートの変動、市場で販売された製品または製品の安全性または有効性に関するクレームまたは懸念等、新型コロナウイルスの世界的流行病のような健康危機が武田薬品ならびにその顧客およびサプライヤー(武田薬品が営業する国々における外国政府を含む)に及ぼす影響や当社事業のその他の面に及ぼす影響、買収対象企業とのPMI(買収後の統合活動)の時期及び影響、武田薬品の事業にとっての非コア資産を売却する能力及びかかる資産売却のタイミング、武田薬品が米国証券取引委員会に提出したForm 20-Fによる最新の年次報告書及び他の報告書(https://www.takeda.com/investors/reports/sec-filings/又はwww.sec.govにおいて閲覧可能)で指摘したその他の要因が含まれますが、これらに限られません。武田薬品は、法律ないし証券取引所規則で要求される場合を除き、本プレスリリースに含まれる、または当社が提示するいかなる将来見通し情報を更新する義務を負うものではありません。過去の実績は将来の経営結果の指針とはならず、また、本プレスリリースにおける武田薬品の経営結果ないし記述は武田薬品の将来の経営結果を示すものではなく、また、その予測、予想、保証、見積もりではありません。

1 World Health Organization. Latest Global Cancer Data. https://www.who.int/cancer/PRGlobocanFinal.pdf. Accessed May 11, 2019. (世界保健機関、世界の最新がんデータ)

2 American Cancer Society. What is Non-Small Cell Lung Cancer? https://www.cancer.org/cancer/non-small-cell-lung-cancer/about/what-is-non-small-cell-lung-cancer.html. (米国がん協会、「非小細胞肺がんとは何か」)

3 Riess, Jonathan W. Diverse EGFR Exon 20 Insertions and Co-Occurring Molecular Alterations Identified by Comprehensive Genomic Profiling of NSCLC. https://www.jto.org/article/S1556-0864(18)30770-6/fulltext. Accessed April 7, 2020.

4 Fang, Wenfeng. BMC Cancer. EGFR exon 20 insertion mutations and response to osimertinib in non-small-cell lung cancer. https://bmccancer.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12885-019-5820-0. Accessed April 7, 2020.

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