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心不全発症率の増加を抑制するための大規模なランダム化対照試験

2019年12月23日 PM10:44
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ボストン

(ビジネスワイヤ) — 心臓発作患者さんの治療方法を変えることで心不全発症率を低減させる有望な新療法を追究するピボタル多施設臨床試験が、現在進行中です。ST上昇型心筋梗塞(STEMI) ドア・ツー・アンローディング(DTU)ピボタルランダム化対照試験(STEMI DTU)で最初の患者組み入れが行われました。初の組み入れが行われたのは、ミシガン州グランドラピッズのスペクトラム・ヘルスクリニックです。本試験では、閉塞冠動脈の開通に先立ち、Impella心臓ポンプを使用して左心室のアンロードを30分間行うことで、心臓梗塞による心筋損傷が減り、結果的に将来の心不全発症率を低減するという仮説を検証します。

本プレスリリースではマルチメディアを使用しています。リリースの全文はこちらをご覧ください。:https://www.businesswire.com/news/home/20191223005288/ja/

STEMI DTUランダム化対照試験は、FDA承認済みのImpella心臓ポンプによるアンロードを、心不全リスクを低減する治療として検討。(写真:ビジネスワイヤ)

STEMI DTUランダム化対照試験は、FDA承認済みのImpella心臓ポンプによるアンロードを、心不全リスクを低減する治療として検討。(写真:ビジネスワイヤ)

ミシガン州、グランドラッピド、スペクトラム・ヘルスのDavid Wohns循環器科長(MD)は、次のように述べています。「高齢化が進み、心不全発症率が増加しているため、今回実施中の臨床試験は潜在的に大きな影響力があり、とても意義深いものです。この研究が成功した場合、心臓発作患者さんに対する治療法のパラダイムシフトにつながる可能性があります。」

心不全は米国における重要な健康問題です。10月にJAMA Cardiology誌に掲載された研究は、2011年から2017年にかけて心不全による死亡が38パーセント増加したことを示し、「心臓疾患、とりわけ発症率が大きく増加している心不全の予防・治療に対する革新的で効果的なアプローチが必要とされる」と結論付けています。

Circulation誌に掲載された報告によれば、45歳以上の女性の47%、男性の36%は、初回の心臓発作から5年以内に死亡しています。またJournal of the American College of Cardiology誌に掲載された研究では、初回の心臓発作を経験した患者さんの75%は5年以内に心不全を発症することが判明しています。STEMI DTUピボタル試験が成功裏に終了した場合、年間で米国内の20万人と米国外の400万人以上の心臓発作患者さんに恩恵をもたらす可能性があります。

STEMI DTUの治験運営委員を務めるグレッグ・W・ストーン(MD)医師(マウントサイナイ・ハートヘルスシステムの内科教授兼ポピュレーションヘルスサイエンス&ポリシー担当教授兼学務部長、The Cardiovascular Research Foundationの医療研究・教育担当共同ディレクター)は、次のように述べています。「広範前壁心筋梗塞の患者さんは、一次PCIの成功にもかかわらず、死亡率と心不全発症率が一貫して容認できないほど増加しています。STEMI DTU試験は、心筋再灌流治療に先立ち、Impellaポンプによる左心室への負荷除去(アンロード)が、心筋梗塞サイズを縮小することで、このコホート研究が高リスク心筋梗塞患者の予後を改善するか否かを明らかにするものです。」

この多施設 2群間無作為化比較対照試験(RCT)は、STEMIの治療を受ける患者さん668人を組み入れる計画です。患者さんの半数はランダム化により閉塞冠動脈への血流回復に先立ち、FDA承認済みのImpella CP心臓ポンプによる左室アンロードを30分間実施します。残りの半数は、現在の標準治療である迅速な心筋再灌流療法を受けます。主要評価項目は心筋梗塞サイズで、治療後3~5日の心臓MRI検査による左室重量に対する梗塞心筋の割合(パーセント)として計測します。

安全性を検討するパイロットランダム化対照試験では、心筋再灌流に先立つ30分間のImpellaポンプによる左室アンロードが安全で実行可能であることを成功裏に証明することができました。本パイロット試験の結果は2018年アメリカ心臓協会(AHA)学術集会で最新演題研究として発表され、同時にCirculation誌に掲載されました。

STEMI DTUの共同治験責任医師を務めたNavin Kapur医師(MD)(ボストン、タフツ医療センター・心血管研究イノベーションセンターのエグゼクティブディレクター)は、次のように述べています。「STEMI DTUピボタル試験は、心臓発作治療に対する全く新しい一章を開くものとなります。世界各国の研究施設で実施された広範な前臨床研究と、STEMI DTUパイロット試験の結果に基づく本ピボタル試験は、閉塞冠動脈の再開通に先立ち、30分間にわたって心臓の仕事量を減らすこと(心室アンロードとして知られる)で、閉塞冠動脈の再開通のみの治療法よりも心臓の損傷が減り、効果的に心機能を回復できるという仮説を明確に検証するものです。」

本ピボタル試験は、5人の心臓専門医と臨床試験参加医師で構成される臨床試験運営委員会が監督します。これらの医師は、Kapur医師、ストーン医師、ヘンリー・フォード病院構造的心疾患センターのメディカルディレクターを務めるウィリアム・オニール医師(MD)、コロンビア大学医療センター内科教授で同センターの心血管インターベンション治療科長を務めるジェフリー・モーゼス医師(MD)、タフツ医療センター循環器科長のJames Udelson医師(MD)です。

本試験はアビオメッド(NASDAQ: ABMD)より資金提供を受けています。

STEMI DTUランダム化対照試験について

ST上昇型心筋梗塞ドア・ツー・アンローディング(STEMI DTU)ピボタルランダム化比較対照試験は、2019年12月に最初の患者さんを組み入れ、STEMI心筋梗塞患者さんにおいて、心筋再灌流に先立ちImpella CPポンプによる左室アンロードを30分間実施することで、心筋損傷が減り、将来の心不全リスクが低下するという仮説を検証します。試験は最大60施設で668人の患者さんを組み入れる計画で、組み入れ開始前に試験プロトコルを検証するために各施設で2人のroll-in患者さんを追加します。本試験では適応型のデザインを認め、中間解析後のサンプルサイズ調整が可能です。試験の評価項目と組み入れ基準に関する情報はClinicalTrials.govでご覧いただけます。

IMPELLA心臓ポンプについて

Impella 2.5®およびImpella CP®の各デバイスは、閉塞した冠動脈を再開通するためにステント留置術またはバルーン血管形成術などの待機的または緊急の経皮的冠動脈形成術(PCI)を受ける特定の進行性心不全患者の治療を目的として、米国食品医薬品局(FDA)より市販前承認(PMA)を取得している心内留置型ポンプです。Impella 2.5、Impella CP、SmartAssist®搭載Impella CP、Impella 5.0®、Impella LD®、SmartAssist®搭載Impella 5.5™は、心原性ショック状態にある急性心不全心筋症患者の治療に使用する心臓ポンプとして米国食品医薬品局(FDA)の承認を取得しており、心臓の自然な回復を可能にする独自の機能を有しているため患者さんが自分の心機能を回復させ帰宅することができます。Impella RP®は、右室不全および左心補助人工心臓の埋込、心筋梗塞、心臓移植、開胸手術後に発生する非代償性心不全の治療を目的として米国食品医薬品局(FDA)の承認を受けています。Impellaは、米国食品医薬品局(FDA)の歴史の中で最も研究された循環補助デバイスで、FDA研究は10年以上に及び、10万人以上の患者に関する実臨床データ、550本以上の査読付き論文が存在します。

欧州でImpella 2.5、Impella CP、SmartAssist搭載Impella CPは、高リスクPCIおよび心原性ショックショックを伴う急性心筋梗塞(AMI)の患者さんの最長5日間の治療を対象としてCEマークを取得しています。Impella 5.0およびImpella LDは、心原性ショックを伴う心臓発作または心筋症の患者さんの最長10日間の治療を対象としてCEマークを取得しています。SmartAssist®搭載Impella 5.5™は、急性心不全または心原性ショックを伴う心筋症の患者さんの最長30日間の治療を対象としてCEマークを取得しています。Impella RPは、右心不全および左心補助人工心臓埋込、心筋梗塞、心臓移植、開胸術後に発生する代償不全に陥った心不全の治療デバイスとしてCEマークを取得しています。

承認された適応症や、デバイスの使用に伴う重要な安全性・リスク情報を含め、Impella心臓ポンププラットフォームの詳細については、www.impella.comをご覧ください。

アビオメッドについて

米マサチューセッツ州ダンバースに拠点を置くアビオメッドは、循環補助デバイスのリーディングカンパニーです。当社製品は血行動態を改善し、心臓のポンプ機能を補助することで心筋の負担を軽減し、その回復を目指しています。詳細情報については、www.abiomed.comをご覧ください。

Abiomed、Impella、Impella 2.5、Impella 5.0、Impella LD、Impella CP、Impella RP、Impella Connectは、アビオメッドの登録商標で、米国および一定の外国で登録されています。Impella BTR、Impella 5.5、Impella ECP、CVAD Study、SmartAssistはアビオメッドが商標登録出願中です。

将来見通しに関する記述

本リリースは、アビオメッドの既存製品および新製品の開発、営業活動による企業としての成長、将来的可能性、および行政当局による承認の見込みに関する記述等の将来の見通しに関する記述が含まれます。当社の実績は多くの要因によりこの将来の見通しに関する記述の中で記載とは大きく異なる可能性があり、それらの要因には、開発、試験、関連行政当局による承認に伴う不確定要素(将来の損失の可能性を含む)、さらには将来的な損失が生じる可能性、複雑な製造工程、高品質に関する要件、限られた供給源への依存、競争、技術的変更、行政規制、訴訟問題、今後の資金需要と追加資金の不確実性に加え、直近に提出されたForm 10-Kの年次報告書とForm 10-Qの四半期報告書を含めた証券取引委員会に提出した当社の報告書に記載されたその他のリスクおよび課題が含まれます。利用者は、本プレスリリースの発表日時点に述べられている将来の見通しに関するいかなる記述についても過度に依拠することのないようお願いいたします。当社は、本プレスリリースの発行日以降に発生する事象、または予想外の出来事の発生によって、見通しまたは予測など、当社の将来の業績に関する見通しを更新し、または修正する義務を負うものではありません。これらの訂正は、本リリースの日付以降に発生する出来事や状況を反映させたり、予想外の出来事を反映させたりする場合に行われる可能性があります。

本プレスリリースは、米国アビオメッド・インクが現地時間2019年12月16日に発表した英文プレスリリースを日本語訳したものです。正式な言語は英語であり、日本に適応しない内容が含まれます。解釈は英語が優先されます。

本記者発表文の公式バージョンはオリジナル言語版です。翻訳言語版は、読者の便宜を図る目的で提供されたものであり、法的効力を持ちません。翻訳言語版を資料としてご利用になる際には、法的効力を有する唯一のバージョンであるオリジナル言語版と照らし合わせて頂くようお願い致します。

businesswire.comでソースバージョンを見る:https://www.businesswire.com/news/home/20191223005288/ja/

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