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オクタファルマが再発性多発性硬化症の標的治療を検討する第2/3相試験で初の患者組み入れ

2013年12月20日 PM07:40
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スイス・ラッヘン

(ビジネスワイヤ) — ヒトタンパク質製品メーカーとして世界最大手のオクタファルマは本日、再発性多発性硬化症(RMS)治療のGAM-27第2/3相臨床試験に患者2人を初めて組み入れたと発表しました。試験では第一選択療法が適さない患者に対し、免疫グロブリン(オクタガム5%)の静脈内投与により、年間再発率の低下という総合的な臨床ベネフィットを支援できるかについて検討します。

今回の第2/3相ランダム化実薬対照試験の目的は、オクタガム5%による治療が奏功する可能性のある患者を特定可能だと示した暫定結果を確認することにあります。ゲノム機能試験およびタンパク質発現試験を併用して、「奏功予想群」と「非奏功予想群」に患者を階層化できると考えられる特殊なアッセイパネルの「ハイデルベルク・アッセイパネル(HAP)」が開発されました。こうしたラボラトリーベースの試験は、患者の血液検体さえあれば行うことができます。

RMSを抱える患者の一部では、現在の第一選択療法を行うと障害につながる副作用が起こり、治療プロトコルを順守できなくなったり、この治療による効果を得られなくなったりすることがあります。奏功可能性のある患者を特定できれば、良好な忍容性プロファイルが知られているオクタガム5%により、こうした患者集団の生活の質(QOL)を改善し得ると考えられています。GAM-27運営委員会(インスブルック医科大学(オーストリア)臨床神経科のThomas Berger教授、タンペレ大学(フィンランド)メディカルスクール神経科のIrina Elovaara教授、ハインリッヒ・ハイネ大学(ドイツ・デュッセルドルフ)神経科クリニックのHans-Peter Hartung教授)は、ブルガリアでの試験で患者2人が初めて組み入れられたことを歓迎し、他の実施国でもさらに組み入れが増えることを期待しています。

オクタファルマの国際メディカルディレクターを務めるDr Wolfgang Frenzelは、次のように述べています。「この試験を資金で支えることは、MS治療の進歩を支援すべく、当社が長期にわたって真摯に取り組んでいる活動の一環です。今回の広範な試験は、オクタガム5%による治療で疾患の進行に変化を起こし、QOL改善を実現できるかもしれない患者集団を特定できる可能性の確認に関し、極めて重要な一歩となります。」

ルプレヒト・カール大学(ハイデルベルク)免疫科の教授(免疫学)で、グループとしてHAP試験法を開発したStefan Meuer教授は、次のように述べています。「オクタガム5%による治療でベネフィットを得られるのは、再発性多発性硬化症患者のうち20~30%と推定され、こうした患者を正確に特定するHAP試験の潜在力は、この患者集団に対する個別化治療の提供に向け、大きな前進となり得ます。」

本試験では早期段階の再発性MS患者216人を欧州(オーストリア、ブルガリア、ドイツ、ハンガリー、ロシア)の施設約35カ所で募集します。患者は24カ月間の治療を受け、試験終了は2016年末を予定しています。試験のフルデザインは、イタリア・バベーノで2013年11月28日から30日まで開催された欧州シャルコー財団年次会合で発表されました。

編集者への注記

多発性硬化症(MS)

MSは異質性が高く、生涯にわたって続く中枢神経系の炎症性神経変性疾患で、幅広い臨床的・病理的・遺伝的スペクトルを呈します。患者数は世界中で約250万人(女性患者が男性の2倍)に上り、多くの場合、30歳の前に初期症状が現れます。現在、根治療法は存在しません。

MS患者に対して第一選択療法が禁忌の場合か、薬効が得られない、忍容性がない、または単にその他の理由で患者が第一選択療法を受け入れない場合には、静注免疫グロブリンによる治療がこの30年にわたって行われており、現在の治療ガイドラインでも推奨されています(例、European Federation of Neurological Sciences)。

MSに対する静注免疫グロブリンの臨床研究では、すべての患者がこの治療法でベネフィットを得られるわけではないという興味深い点が明らかになりました。これは、障害につながる本疾患における病理的異質性という背景、多様な遺伝的背景にもかかわらず、静注免疫グロブリンが奏功する患者集団が存在することを示します。しかしこれまで、免疫グロブリン療法がどの患者において奏功する可能性があるのかについて予測する方法はありませんでした。

ハイデルベルク・アッセイパネル(HAP)スコア

HAPスコアはゲノム機能試験およびタンパク質発現試験を利用するもので、ハイデルベルク大学(ドイツ)免疫学研究所のMeuer教授とDr. Gieseが中心となって運用しています。

オクタファルマについて

スイス・ラッヘンに本社を置くオクタファルマは、ヒトタンパク質製品の世界最大級のメーカーで、30年間にわたって患者ケアと医療の革新に真摯に取り組んできました。当社の中核事業は、ヒト血漿およびヒト細胞株に由来するヒトタンパク質の開発・製造・販売です。100カ国以上の患者が、以下の治療領域で当社製品による治療を受けています。

• 血液疾患(凝固障害)

• 免疫療法(免疫障害)

• 集中療法および救急医療

オクタファルマは最先端の製造施設5棟をオーストリア・フランス・ドイツ・スウェーデン・メキシコに有しています。

オクタファルマはMS療法の開発に16年以上にわたり携わってきました。静注免疫グロブリン(IVIG)Octagamの初試験が行われたのは1997年です。以来、代替療法の選択肢が患者の生活に大きな改善をもたらすとの信念に基づき、オクタファルマはMSの研究を続けています。

詳細情報については、www.octapharma.comをご覧ください。

本記者発表文の公式バージョンはオリジナル言語版です。翻訳言語版は、読者の便宜を図る目的で提供されたものであり、法的効力を持ちません。翻訳言語版を資料としてご利用になる際には、法的効力を有する唯一のバージョンであるオリジナル言語版と照らし合わせて頂くようお願い致します。

CONTACT

Octapharma AG
Dr Wolfgang Frenzel
International Medical
Director
Clinical Research & Development Department
Email
address: pressrelease.enquiry@octapharma.com
or
Patricia
Morey, +41 (55) 451 21 85
Vice President – Corporate Brand
Management

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