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サイネクシスが国際肝臓学会でHCV治療薬 SCY-635のデータを発表

2013年04月29日 PM06:10
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アムステルダム

(ビジネスワイヤ) — 創薬・医薬品開発企業のサイネクシスは、第48回欧州肝臓学会年次大会にて、経口治療薬SCY-635がHCV感染患者におけるインターフェロン産生を誘導することを示す2件の研究結果を発表しました。

日本の国立感染症研究所ウイルス第二部の渡士幸一博士は、4月25日(木)午後4時から6時に開かれた「HCVにおける橋渡し研究」(Translational Research in HCV)セッションにて、「HCV感染細胞におけるPKRリン酸化の減弱を通じたインターフェロンシグナル伝達の増強」( Potentiate Interferon Signaling Through Diminished PKR Phosphorylation in HCV-Infected Cells)と題された研究の結果を口頭発表しました。

この研究は、HCV感染細胞培養システムを使用し、インターフェロン(IFN)信号伝達経路に対するサイクロフィリン阻害剤の効果を調べたものです。研究の結果は、サイクロフィリン阻害剤によりインターフェロン誘導遺伝子(ISG)に対する負の調節が解除され、HCV感染細胞においてその翻訳が可能になることを示しています。この機序は、HCV複製の直接的抑制に加え、サイクロフィリン阻害剤の抗HCV作用に寄与します。

「サイクロフィリン阻害剤SCY-635はHCV感染者の末梢血単核細胞(PBMC)による本来のHCV認識能を回復」(The Cyclophilin Inhibitor SCY-635 Restores the Innate Recognition of HCV by Peripheral Blood Mononuclear Cells (PBMC) from HCV-Infected Subjects)と題されたポスター発表がサイネクシスのピーター・プロプストにより肝炎研究のセッションで発表され、また4月27日(土)午前9時から午後5時まで掲示されます。

この研究は、HCVを患った被験者から採取した末梢血単核細胞(PBMC)のHCVに対する本来の免疫反応を調節するSCY-635の能力を評価したものです。データから、SCY-635はHCV感染被験者の一部でPBMCによるインターフェロン産生を誘導するが、健康な対照群においてはPBMCに対する誘導作用を持たないことが示されています。また、SCY-635がHCV誘導性の樹状細胞機能障害を阻害することで抗HCV獲得免疫反応を誘導・維持する可能性も示唆されています。

口頭発表のアブストラクト全文はこちらで、ポスター発表のアブストラクトはこちらで閲覧いただけます。

HCVと治療ニーズについて

世界保健機関は世界人口の約3%がHCVに感染し、肝硬変もしくは肝臓がん、または両者の発病リスクを持つ慢性保菌者が1億7000万人以上存在すると推定しています。抗ウイルス療法の研究は、その大半が依然としてプロテアーゼ酵素やポリメラーゼ酵素など、ウイルスの標的に着目しているのに対し、ウイルスの免疫回避に対抗する免疫調節に基づくSCY-635のような治療薬は、大きな治療的価値を持つ可能性があります。

SCY-635について

SCY-635は新規の経口サイクロフィリン阻害剤で、C型肝炎(HCV)治療薬として第2相試験、B型肝炎(HBV)治療薬として前臨床試験の段階にあります。これまでの研究から、SCY-635が二重の役割、つまり相乗的な直接作用型抗ウイルス剤(DAA)と宿主免疫系刺激剤(免疫作用型抗ウイルス剤、IAA)としての役割を果たすという点で独自であることが示されています。現在承認されているHCV治療薬のレパートリーにSCY-635を加えることで、HCV治療の免疫療法剤における将来の選択肢に新風が吹き込まれる能性があります。

サイネクシスについて

サイネクシスは製薬・グローバルヘルス・アニマルヘルス・ライフサイエンスの分野における当社パートナーに対し、創薬・医薬品開発において最も困難を極める問題を解決するための革新的ソリューションを提供しています。当社の受託研究サービスには、総合的製薬ソリューション・創薬研究・総合的寄生虫研究が含まれます。当社はすべての主要な適応症に対応した前臨床および臨床の候補化合物を顧客に提供することに成功しており、HCVやHBV、炎症を含む広範囲の疾患を治療すべく、他社が真似のできないサイクロフィリン阻害剤プログラムを開発しました。2000年創設のサイネクシスは米ノースカロライナ州リサーチ・トライアングル・パークに位置しています。www.scynexis.comをご覧ください。

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