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ツイッター投稿から「コロナ禍で米国人の食事が健康的になったか」を検証、結果は?

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2022年08月25日 PM03:00

パンデミックで米国人の食事が健康的になった?――ツイッター分析

ツイッター上の書き込みの分析から、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック以降、米国人の食生活が健康的に変化した可能性があるとする研究結果が報告された。米マサチューセッツ工科大学(MIT)リンカーン研究所のMark Hernandez氏らの研究によるもので、詳細は「Patterns」に6月14日掲載された。


画像提供HealthDay

パンデミックによって人々の食生活が変化したのではないかとする研究結果は、各地から報告されている。米国でも、ファストフードの利用が減った一方、アルコール摂取量は増えたのではないかとする報告がある。ただし、それらの研究の多くは、調査対象者の自己申告に基づく分析であり、想起バイアスの影響を否定できない。そこでHernandez氏らは、パンデミック前の2019年5月15日~2020年1月31日と、パンデミック中の2020年5月15日~2021年1月31日のツイッターの投稿の傾向を比較するという手法で、食生活の変化の把握を試みた。

解析されたツイートは、ジオタグと呼ばれる位置情報データ付きの投稿、計128万2,316件。このうちパンデミック前の投稿が63.2%、パンデミック中の投稿が36.8%を占めていた。パンデミック前と比較して、パンデミック中は健康的な食品に関するツイートの割合が20.5%増加していた。その一方で、ファストフードに関する投稿は9.4%減少し、アルコールに関するツイートも11.4%減少していた。つまり、ロックダウンと外食店の閉鎖により、人々が食べ物やアルコールを手に入れる方法が大きく変化し、一部の米国人はより健康的な食生活を実践するようになったことが示唆された。

ツイートに使われている単語のうちパンデミック発生に伴い増加したものとして、サラダ、りんご、鶏肉、卵、とうもろこしなどがあり、これらは健康的な食品として分類された。一方、パンデミック中に減少した単語としては、マクドナルド、スターバックス、KFC、テキーラ、ビール、ウォッカなどが該当するという。

ツイートの分析から明らかになった、パンデミックに伴う食生活の変化はこればかりでない。ツイートの位置情報を加味した解析から、食料品店が多い地域に住んでいる人〔1万人あたり1店舗多いごとにオッズ比(OR)1.019(95%信頼区間1.007~1.032)〕や、自宅で過ごす時間が長くなった人〔その時間が1パーセントポイント長くなるごとにOR1.019(同1.011~1.027)〕は、健康的な食品に関するツイートが有意に増えていた。

反対にファストフード関連のツイートは、居住地域の食料品店が1万人あたり1店舗多いごとにOR0.967(同0.949~0.986)、自宅で過ごす時間が1パーセントポイント長くなるごとにOR0.967(同0.956~0.977)、レストランが1万人あたり1店舗多いごとにOR0.993(同0.991~0.995)、それぞれ有意に少なかった。一方、酒類店の数が多い地域に住んでいる人では、アルコール関連のツイートが有意に増加したことも分かった〔1万人あたり1店舗多いごとにOR1.066(同1.046~1.087)〕。

論文の共著者の一人である米ボストン大学のNina Cesare氏は、「ツイッター分析により、通常の調査手法では把握が困難な人々の行動の変化を捉えられる。例えば食生活の変化を自己申告から把握しようとすると、結果に偏りが生じやすいことが知られている。それに対してツイートには、より正確な情報が反映されていると考えられる」と述べている。

今回の研究で明らかになったこととして、著者らは、「食料品店が少ない地域では、地域住民の健康的な食生活を後押しするために、食品へのアクセスを増やす施策の必要性が示された」と述べている。

なお、パンデミックに伴う食生活の変化に関しては、世界16カ国で実施された調査結果が、「Food Quality and Preference」に2月10日掲載されている。それによると、健康的な食生活への変化は、教育歴の長さや体重管理志向などと関連しており、非健康的な食生活への変化は男性に多いと報告されている。(HealthDay News 2022年8月1日)

▼外部リンク
Diet during the COVID-19 pandemic: An analysis of Twitter data
Changes in food behavior during the first lockdown of COVID-19 pandemic: A multi-country study about changes in eating habits, motivations, and food-related behaviors

HealthDay
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