J&J社製のコロナワクチンでギラン・バレー症候群のリスク増
米食品医薬品局(FDA)は7月13日、米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)社製の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンのファクトシートを更新し、同ワクチンの接種によりギラン・バレー症候群(GBS)の発症リスクが高まる可能性があると警告した。GBSは免疫性の抹消神経障害で、筋力低下を特徴とする。重度の場合には四肢や呼吸器官などに麻痺が生じる。

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ワクチン有害事象報告システム(VAERS)に寄せられた報告データの解析に基づくと、約1250万回分のJ&J社製のワクチン接種後に100例でGBSの発症が確認された。これらのGBSの大半はワクチン接種から約2週間後に、主に男性で発症していた。100例のうちの95例では重症化して入院が必要になったほか、死亡も1例報告されている。
米国では、毎年、推定3,000〜6,000人がGBSを発症するが、大半の人は完全に回復する。GBSはまた、季節性インフルエンザワクチンや帯状疱疹ワクチンなど、特定のワクチンに関連したGBS発症例の増加も報告されている。
FDAは、入手できるエビデンスは、J&J社製のワクチン接種によりGBS発症リスクが増大する可能性を示唆するものだが、両者の因果関係を認めるには不十分との見解を示している。なお、米モデルナ社製および米ファイザー社製のワクチン接種によるGBS発症例は報告されていない。
J&J社製のワクチン接種を行う医療従事者向けのファクトシートには、同ワクチンの接種によりGBSのリスクが増加する可能性のあることが追記された。また、ワクチン接種者向けのファクトシートには、接種後に、特に四肢に脱力感やうずきが生じ、それが悪化しつつ別の体部に広がっていく、歩行困難、発話や咀嚼、嚥下の困難などがある、物が二重に見える、目を動かしにくい、排泄をうまくコントロールできないなどの症状が現れた場合には、すぐに医療従事者の診察を受けるべきであることが追記された。
FDAは、J&J社製ワクチンの接種によりGBSのリスクが高まる可能性はあるものの、ワクチン接種により得られるベネフィットは、依然として既知、あるいは潜在的なリスクを上回るとの見解を示している。FDAは今後も、米疾病対策センター(CDC)との協力の下、J&J社製のワクチン接種後に生じたGBSの発症報告例をチェックして、ワクチン接種の安全性を監督していくとしている。
▼外部リンク
・Coronavirus (COVID-19) Update: July 13, 2021

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