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新型コロナ既感染者のmRNAワクチン接種、初回/2回目接種後の抗体レベルは?

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2021年07月05日 PM02:45

新型コロナワクチンはいずれ追加接種が必要か

新型コロナウイルス既感染者では、2回の接種が必要なmRNAワクチンを1回接種するだけで、非常に高い防御効果を得られる可能性のあることが、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)教授のOtto Yang氏らにより報告された。その一方で、感染歴がある人でも、2回の接種を終えた人でも、ワクチンの接種を受けた人は、後に追加接種が必要となる可能性が高いことも判明した。この研究結果は、「ACS Nano」に6月23日掲載された。


画像提供HealthDay

この研究で対象としたのは、ファイザー社製またはモデルナ社製のmRNAワクチンである。mRNAワクチンは、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質の受容体結合ドメイン(RBD)に対する抗体産生を促す。臨床試験では、いずれのワクチンでも、2回接種後の数カ月間は、約95%のCOVID-19発症予防効果が得られることが示されている。しかし、これらの試験には、COVID-19からの回復者がほんのわずかしか含まれていなかった上に、感染歴が抗体産生に及ぼす影響についても検討されていなかった。さらに、既感染者と未感染者における抗体産生の経時変化や抗体の効果の持続期間についても不明なままである。

こうした点を明らかにするために、Yang氏らは今回、新型コロナウイルスの既感染者36人と未感染者28人を対象に、ワクチンの1回接種または2回接種後の抗体のレベル、質、および免疫効果の持続期間をELISA法により調べた。

その結果、未感染者では、いずれかのワクチンの1回接種後には軽症のCOVID-19罹患者と同程度の抗体レベルに、2回接種後には重症のCOVID-19罹患者と同程度の抗体レベルに達することが明らかになった。これに対して既感染者では、ワクチンの1回接種で、重症のCOVID-19罹患者で産生される抗体レベルの上限と同レベルの抗体が産生されることが判明した。しかし、2回目の接種後にそれ以上の抗体レベルが得られることはなかった。

一方、抗体の質、つまり新型コロナウイルスのスパイクタンパク質を中和する能力については、未感染者では2回目のワクチン接種後まで中和抗体が作られなかったのに対して、既感染者では1回目の接種後に抗体が最大の中和能を示した。しかし、2回目のワクチン接種後、両群とも抗体レベルは自然感染後とほぼ同じ速度で低下し、90日以内に平均で約90%が消失した。

Yang氏は、「今回の研究により、COVID-19に罹患したことのある人では、初回のmRNAワクチン接種後に大きな抗体反応が見られるが、2回目の接種からはほとんどベネフィットが得られないことが明らかになった」と話す。そして、「ワクチンを最大限に活用するためにも、また不必要な副反応を回避するためにも、この知見を考慮して政策の変更を検討する価値がある」と主張する。

さらにYang氏は、「ワクチンに対する免疫細胞の一種であるT細胞、とりわけ免疫記憶に関わるメモリーT細胞の応答については、今後も研究を継続して、理解を深める必要がある。しかし、抗体の減少速度は、自然感染後でもワクチン接種後でもほぼ同じであるという今回の研究結果は、感染歴の有無や接種回数にかかわらず、ワクチン接種後に追加接種がもれなく必要となる可能性が高いことを示すものだ」と結論付けている。(HealthDay News 2021年6月23日)

▼外部リンク
Primary, Recall, and Decay Kinetics of SARS-CoV-2 Vaccine Antibody Responses

HealthDay
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