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コロナ回復後の呼吸器以外の臓器に対する影響、再入院数などを明らかに-英国報告

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2021年04月12日 PM04:00

COVID-19退院後も多臓器のダメージが長期間続く

(COVID-19)回復後に続く、呼吸器系以外への影響の全体像が明らかになった。英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)のAmitava Banerjee氏らが行った、COVID-19群と対照群それぞれ約5万人規模の症例対照研究の結果であり、詳細は「The BMJ」に3月31日掲載された。


画像提供HealthDay

Banerjee氏らは英国の医療記録を用い、2020年8月31日までにCOVID-19のため入院治療を受け、生存退院した患者4万7,780人(平均年齢65歳、男性55%)の退院後の経過を対照群と比較検討した。対照群には、性別や年齢、基礎疾患などの背景因子を一致させた、同期間に何らかの受療行動が記録されていた同数の一般住民を組み入れた。評価項目は、同年9月30日までの再入院率(対照群については入院率)、死亡率、および、呼吸器疾患、、代謝性疾患、、肝疾患の新規発症とした。

COVID-19群では平均140日の追跡期間中に、約3分の1(1万4,060人)が再入院し、10人に1人以上(5,875人)が死亡していた。1,000人年当たり再入院は766、死亡は320であり、これは対照群に比較し、それぞれ3.5倍、7.7倍の頻度だった。また、呼吸器疾患の新規発症は1,000人年当たり539であり、対照群の27.3倍に上った。同様に、心血管疾患の新規発症は1,000人年当たり66で対照群の3倍、糖尿病の新規発症は29で対照群の1.5倍の頻度だった。そのほかにも、COVID-19群では、2.8倍、腎疾患1.9倍のリスク上昇が認められた。

この報告について、米ノースウェル・ヘルスで救命救急部門を指揮するMangala Narasimhan氏は、「示されたデータから、COVID-19は肺だけでなく、心臓や脳、腎臓などにも影響を与える可能性があることが明らかである」とし、「COVID-19患者が退院するときは、その後に発生する可能性のある呼吸器以外の疾患にも注意するよう、患者に伝達することを忘れてはならない」と述べている。

Narasimhan氏によると、COVID-19で入院中の患者に臓器障害はよく見られ、特に腎臓や心臓、神経の障害は一般的だという。同氏は、「呼吸器系以外の臓器が影響を受ける原因は複数存在する。その一つはCOVID-19患者に好発する血栓だ。血栓が作られることで血流が不足し、臓器の働きが低下してしまう。また、心臓にウイルスが浸潤することで、心臓の働きが妨げられる可能性も考えられる。同様に腎臓の機能が低下することも多く、時に腎不全を引き起こすこともある。これらの合併症の全てが、再入院を増やす要因だ」と解説。「結論的な言い方をするなら、COVID-19はさまざまな経路で全身に影響を及ぼす感染症ということだ」と語っている。

Banerjee氏らの研究からは、背景因子による退院後の予後の違いも明らかになった。例えば、70歳以上の人よりも70歳未満の人、白人よりも非白人(少数民族)の人の方が、よりハイリスクと考えられた。特に呼吸器関連イベントのリスク差が最大だった。詳しくは、70歳以上のCOVID-19群は対照群に比べてリスクが4.6倍であるのに対し、70歳未満のCOVID-19群は10.5倍であり、白人のCOVID-19群はリスクが5.2倍であるのに対して、非白人のCOVID-19群は11.4倍だった。一方、男性と女性を比較した場合、COVID-19群と対照群とのリスク差に違いはなかった。

以上の結果から著者らは、「COVID-19患者が退院後もかなりの長期間、さまざまな疾患を発症する可能性があることに、医療従事者は注意しなければならない」と述べている。また、「この病態のリスク因子を明らかにし、人口統計学的および臨床的にリスクの高い集団を特定して、より適切な治療介入を行うための研究が喫緊の課題と考えられる」としている。(HealthDay News 2021年4月1日)

▼外部リンク
Post-covid syndrome in individuals admitted to hospital with covid-19: retrospective cohort study

HealthDay
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