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コロナ禍のマスク着用、1秒量などは低下するが血中酸素飽和度は有意差なし

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2021年03月23日 PM02:00

マスク着用による呼吸機能への影響は限定的

(COVID-19)予防のためにマスクをすると、少し息苦しさを感じることがある。マスク着用によるこのような変化が、スポーツをして呼吸が荒くなった際に、呼吸困難を引き起こしたりしないだろうか。


画像提供HealthDay

新たに報告された研究によると、どうやらその心配はあまりないようだ。イタリアの臨床研究のための専門医療機関(IRCCS)、Centro Cardiologico MonzinoのElisabetta Salvioni氏らの研究によるもので、結果の詳細は「European Respiratory Journal」に3月7日掲載された。

Salvioni氏は、欧州肺財団のニュースリリースの中で、「新型コロナウイルスの主な感染経路は飛沫感染であり、運動中に呼吸が激しくなると感染拡大のリスクが高まり、特に屋内ではよりリスクが上昇する可能性がある。マスクの着用によって感染拡大を抑制できるが、激しい運動中のマスク着用が安全か否かについて、明確なエビデンスは確立されていない」と語っている。

このような背景のもとで行われた今回の研究は、健康なボランティア12人(平均年齢40.8±12.4歳、男性と女性各6人)を対象とした。マスクを着用しない場合と、手術用マスクを着用する場合、防塵マスクを着用する場合の3通りの条件で、安静時とエルゴメーターによる運動負荷時の心肺機能を計測した。

その結果、安静時の努力性肺活量(一気に吐き出せる空気の量)や1秒量(最初の1秒で吐き出せる空気の量)は、マスク非着用、手術用マスク着用、防塵マスク着用の順に低下し、条件間に有意差があった。また運動負荷時の主観的運動強度は同順に上昇し、酸素摂取量や換気効率などの心肺機能の指標は、マスク着用時の方が低く、条件間に有意差が認められた。

例えば酸素摂取量は、マスク非着用時31.0±23.4mL/kg/分、手術用マスク着用時27.5±6.9mL/kg/分、防塵マスク着用時28.2±8.8mL/kg/分であり、マスク着用により約10%の低下が認められた。ただし、その一方で血中酸素飽和度は有意差が認められなかった。

この結果からSalvioni氏らは、「マスク着用によって、安静時および運動時の心肺機能は少ないながら、有意に低下する。ただし、低下の程度は運動負荷時に換気制限が生じるにはほど遠いレベルであり、最大運動強度でも安全と言える。運動のパフォーマンスは若干低下するだろう」と結論付けている。

また論文の筆頭著者であるIRCCSのMassimo Mapelli氏は、「マスク着用による心肺機能への影響はわずかであり、健康な人がマスクを用いて運動をした場合のリスク上昇は示唆されなかった。COVID-19ワクチン接種が開始されたことと、今回の知見とにより、屋内ジムでのトレーニングの再開が、より安全なものとなる可能性がある」と語っている。ただし同氏は、「今回の研究結果が、心臓や肺の機能が低下している人にも当てはまるとまでは言えない。それらの人でもマスク着用時の運動が安全なのかは、新たな研究結果を待たなければならない」と付け加えている。

一方、この研究には関与していない、欧州呼吸器学会のSam Bayat氏は、「報告された結果は、屋内スポーツやトレーニング時のマスク着用は安全であり、パフォーマンスへの影響も許容範囲内であることを示唆している。ただし、この研究は予備的なものであり、より多くの対象者での追試が必要だろう」と述べている。(HealthDay News 2021年3月9日)

▼外部リンク
“You can leave your mask on”: effects on cardiopulmonary parameters of different airway protection masks at rest and during maximal exercise

HealthDay
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