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自ら危険な行動を取ってしまうのは、脳の灰白質量の減少が関連か

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2021年02月12日 PM03:30

危険な行動を取りがちな人の脳の特徴とは?

世の中には、自ら危険な行動()を取る人と、何事にも注意深く取り組む人がいるが、その違いは何に由来するのか。米ペンシルベニア大学ウォートン校のGideon Nave氏らが、その要因の解明に一歩近づく研究結果を、「Nature Human Behaviour」に1月28日発表した。この研究では、リスクテイキング行動に関連する脳の特徴が明らかになったという。


画像提供HealthDay

Nave氏らは今回の研究で、UKバイオバンクと呼ばれる英国の大規模バイオバンク研究に登録された、1万2,675人の欧州系の人たちの脳画像データと遺伝子データを収集。さらに、その後、同研究に脳画像データが追加された人のうち1万3,004人からも同様にデータを収集した。いずれの集団も、年齢は40~69歳だった。研究対象者のリスクテイキング行動の全般的な指標として4つの危険な行動(喫煙、飲酒、不特定多数との性行為、制限速度を超えたスピードでの自動車運転)を採用した。そして、これらの行動に関する対象者の自己報告を基に、リスク許容度を評価した。

Nave氏らはまず、対象者の脳の灰白質量とリスク許容度との関連について検討した。その結果、脳全体の大きさや年齢、性別、利き手などで調整しても、リスク許容度の高スコアは灰白質量の減少と関連することが明らかになった。

次に、どの脳領域がリスクテイキング行動と灰白質量の減少に最も強く関連しているのかを調べた。その結果、リスクテイキング行動には、恐怖などの情動に関係する脳領域である扁桃体が関与しているという、予想通りの結果が得られた。また、新たな記憶の形成に関わっている海馬や、動作の協調やバランスに関わり、意思決定にも関与することが指摘されている小脳など、複数の脳領域との関連も明らかになった。これらの結果は、後に得られた1万3,004人のデータを用いた解析でも確認された。

さらに、Nave氏らは約30万人のゲノムワイド関連解析(GWAS)データを用いて、多遺伝子リスクスコアと呼ばれる、関連する一塩基多型の数によりリスクを評価する指標により、遺伝子と脳、行動との関連を検討した。その結果、このリスクスコアにより、リスクテイキング行動における遺伝子変異の3%を説明できることが分かった。また、同スコアは脳の3つの領域における灰白質量にも関連しており、リスクテイキング行動に関連する遺伝的素因の2.2%をこれらの領域の灰白質量の違いで説明できると推定された。

論文の共著者で、アムステルダム自由大学(オランダ)のPhilipp Koellinger氏は、「扁桃体、海馬、小脳――これら3つの脳領域における灰白質は、実際の行動につながる遺伝的傾向に関係しているものとみられる」と話している。

その一方で、この研究により今後取り組むべき課題も数多く見つかった。Nave氏は、「この研究では、脳の各領域での灰白質量では、リスクテイキング行動を取る遺伝的素因の2.2%が説明できたに過ぎなかった。これは、リスク許容度に関わる遺伝子が、脳に生じる構造的変化よりも、生物学的側面とより強く関係している可能性を示唆している」と述べている。では、それは何なのか。同氏は、そのこと明らかにするために、遺伝的素因と環境要因の影響を今後の研究で解明する必要があることを強調している。(HealthDay News 2021年1月29日)

▼外部リンク
Genetic underpinnings of risky behaviour relate to altered neuroanatomy

HealthDay
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