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新型コロナにおける高齢者の初診時症状、4割弱は「せん妄のみ」

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2020年12月07日 PM03:15

高齢者のせん妄はCOVID-19の可能性

高齢者の新型コロナウイルス感染症()の初期症状として、せん妄の頻度が高く、一方で発熱や咳などのCOVID-19に典型的な症状が見られないことも少なくないとする報告が、「JAMA Network Open」に11月19日掲載された。せん妄の発生と集中治療室への入室や死亡リスクとの有意な関連も示された。


画像提供HealthDay

せん妄とは、意識レベルが一過性に低下し混乱している状態のこと。手術後などに発生しやすく、特に高齢者に多い。入院中にせん妄が発生すると、入院期間が長くなったり、死亡リスクが高くなることを示した報告もある。今回発表された論文の上席著者である米ハーバード大学医学部ベス・イスラエル・ディーコネス医療センターのSharon Inouye氏は、「COVID-19は炎症、軽度の脳卒中、多臓器不全など、さまざまなメカニズムで意識レベルを低下させる可能性がある。また、疾患の罹患や入院という環境の変化も、せん妄を起こりやすくする」と述べている。

この研究は、米国内7施設での多施設共同コホート研究として実施された。検討対象は、2020年3月13日以降に各施設の救急部門に収容されCOVID-19と診断された高齢患者、連続817人。平均年齢は77.7±8.2歳で、男性が386人(47%)。COVID-19は、99%がPCR検査、他の1%は胸部画像所見により診断されていた。

救急部門収容時点で226人(28%)にせん妄が認められた。せん妄は、観察された症状の中で6番目に多かった。また、せん妄が見られた患者のうち37人(16%)はせん妄が主症状であり、さらに84人(37%)は発熱や息切れなどのCOVID-19に典型的な症状が認められなかった。

せん妄の発生は、75歳以上〔調整相対リスク(aRR)1.51、95%信頼区間1.17~1.95〕、向精神薬の使用歴(aRR1.42、同1.11~1.81)、視覚障害(aRR1.98、同1.54~2.54)、脳卒中(aRR1.47、同1.15~1.88)、(aRR1.88、同1.30~2.58)などで、リスク上昇が認められた。また、せん妄が発生した患者は、集中治療室への入室(aRR1.67、同1.30~2.15)、および死亡(aRR1.24、同1.00~1.55)のリスクが高かった。

この結果をもとにInouye氏は、「高齢者と同居している家族は、高齢者が急に混乱した状態になったり行動の変化が生じた場合、COVID-19を疑う必要がある」と述べている。また、「米国国民のうち65歳以上が占める割合は16%だが、COVID-19による死亡例では80%以上を占めている」と、高齢者のCOVID-19重症化リスクの高さを指摘し、注意を呼び掛けている。

今回の発表と同様の研究を行った英TwinsUKのClaire Steves氏は、Inouye氏らの報告について「われわれの研究結果とよく一致している」と語っている。Steves氏らの研究では、高齢COVID-19患者の4人に1人にせん妄が見られ、特にフレイル状態にある高齢者で、その比率が高かったという。これらの知見をもとに同氏は、「医療従事者や介護者は、高齢者のせん妄はCOVID-19の症状である可能性を念頭に置き、感染防御対策や治療の準備をしておくことが重要」とアドバイスしている。

なお、COVID-19でせん妄が起きるメカニズムについてSteves氏は、「酸素レベルの低下、炎症の亢進、免疫活性化などが脳機能へ影響を及ぼす可能性があるほか、敗血症を発症した場合は循環動態の変化も関係してくるだろう」と述べている。(HealthDay News 2020年11月25日)

▼外部リンク
Delirium in Older Patients With COVID-19 Presenting to the Emergency Department

HealthDay
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