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オラパリブ、BRCA遺伝子変異陽性転移乳がんの病勢進行・死亡リスクを有意に低減-英AZ

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2017年06月08日 PM01:30

医師が選択した標準的な化学療法と比較して

英アストラゼネカ社は6月6日、第3相「OlympiAD試験」において、オラパリブによる治療を受けた患者の無増悪生存期間(PFS)が、医師が選択した標準的な化学療法と比較して、統計学的に有意かつ臨床的に有意義な延長を示したことを発表した。このデータは2017年米国がん治療学会議(ASCO)年次集会の全体集会で発表され、“Best of ASCO”に選ばれた。

オラパリブは、経口ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤。DNA損傷応答(DDR)経路に異常をきたしたがん細胞に特異的に作用し、細胞死を誘導する。現在、プラチナ製剤ベースの化学療法に奏効している(完全奏効または部分奏効)プラチナ製剤感受性再発BRCA遺伝子変異(生殖細胞系/体細胞系)高悪性度上皮卵巣がん、卵管がんあるいは原発性腹膜がんの成人患者の維持療法として、単剤使用がEUで薬事承認されている。

病勢進行・死亡リスクを42%減少

OlympiAD試験は、302例の病的変異または病的変異疑いに分類される生殖細胞系BRCA1またはBRCA2遺伝子変異を有するHER2陰性転移乳がん患者におけるオラパリブ(300mg1日2回投与)の有効性および安全性を医師の選択した化学療法(カペシタビン、ビノレルビンもしくはエリブリンのいずれか1つ)と比較検討した、非盲検、無作為化、多施設共同第3相試験。対象となった患者集団において、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)およびホルモン受容体陽性(ER+および・またはPR+)の患者の割合は1対1だった。

オラパリブ投与群は化学療法群に比べて、盲検下での独立中央判定(BICR)により評価された主要評価項目であるPFS延長を達成。病勢進行または死亡のリスクを42%減少したことが示された。(ハザード比 0.58;95% 信頼性区間 0.43-0.80; p=0.0009; 中央値 7.0か月対4.2か月)。副次的評価項目では、オラパリブ投与群は化学療法群と比較して二次進行(または死亡)までの期間(PFS2)の改善が見られた(HR 0.57; 95% CI:0.40-0.83)。さらに、化学療法群の客観的奏効率(ORR)が28.8%であったのに対し、オラパリブ投与群では59.5%で、2倍以上のORRを示したという。

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