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オピオイド鎮痛薬依存からの離脱、成功の鍵は

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2016年07月29日 AM10:00

オピオイド鎮痛薬の依存症を断ち切る難しさ

米コロラド州に暮らす現在60歳の退役軍人の男性は、26歳のとき事故に遭って以来、数十年にも及ぶ慢性的な背中の痛みと、オピオイド鎮痛薬への依存に苦しんできた。


画像提供HealthDay

「はじめはパーコセット50mgを服用していた」と男性は回想する。朝は痛みで目が覚め、すぐに機械的に薬を飲んで仕事に行く毎日だった。しかし、ついに薬が効かなくなり、それからは薬の量が増える方向へと「徐々に滑り落ちて行った」という。米国疾病管理予防センター(CDC)によると、米国では現在約200万人が処方オピオイド薬の乱用や依存症に苦しみ、1999~2014年に16万5,000人以上がオピオイドの過量摂取により死亡している。

前出の男性は、10年が過ぎる頃には1日3~4錠を飲み、気分や態度にも影響がみられるようになった。自殺未遂を起こし、施設に1カ月収容された後、ついに薬を止める決心をしたという。しかし、適切な医療指導や社会的支援がない状況で急に薬を断ち切ったことにより、状況はさらに悪化し、最初の試みは失敗に終わった。米ジョンズ・ホプキンス大学医学部(ボルチモア)のKelly Dunn氏は、離脱には時間が必要であると指摘する。

米コロラド大学教授のJoseph Frank氏によると、オピオイドの離脱症状には、重い倦怠感、激痛、吐き気、、腹痛などがある。しかし、多くの患者は薬物乱用の汚名を恐れ、誰にも話すことができないとDunn氏は話す。前出の男性も職も失い、自分の殻に閉じこもって「死んだ方がましだ」と思うようになっていた。

 「Pain Medicine」に5月20日掲載されたFrank氏の研究では、31~73歳の24人の疼痛患者との面談の結果、多くの患者が依存症に対する恐れよりも、再び痛みが出ることへの恐れが上回ると回答している。また、依存性の低い非オピオイド系鎮痛薬の効果に不安を抱く人が多く、オピオイドの離脱に一度失敗すると、離脱症状の辛さから再度試みる気になれないという人も多かった。しかし、面談した患者の4分の1はすでにオピオイドの使用を中止しており、半数は徐々に減らしている段階であった。成功の鍵は、家族や友人の支えのほか、同じ経験をしている患者の支援、信頼できる医師の指導であったという。

前出の男性は現在、オピオイド依存は全くないが、現在服用するアスピリン500mgでは「痛みの10%ほどしかコントロールできない」と話す。Dunn氏は、慢性疼痛が手ごわいものであると認める一方、オピオイドはこれまで、その影響に焦点が当てられることなく過剰に処方されてきたと指摘し、依存症から抜け出すためには援助が必要だと述べている。(HealthDay News 2016年7月20日)

▼外部リンク
Why Kicking the Opioid Habit Can Be So Tough

HealthDay
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