医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 医薬品・医療機器 > 抗がん剤「ハラヴェン」、進行性脂肪肉腫の適応でCHMPから承認勧告を受領-エーザイ

抗がん剤「ハラヴェン」、進行性脂肪肉腫の適応でCHMPから承認勧告を受領-エーザイ

読了時間:約 1分50秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2016年04月07日 PM12:30

進行性乳がんに係る適応に続き、2つ目の適応として承認を推奨

エーザイ株式会社は4月5日、欧州統括会社エーザイ・ヨーロッパ・リミテッドが、抗がん剤「(R)」(一般名:エリブリンメシル酸塩)について、新たな適応として「進行または転移性で、アントラサイクリン系抗がん剤治療(不適な場合を除く)を含む化学療法の前治療歴のある手術不能な成人の脂肪肉腫」の承認勧告を欧州医薬品庁()の医薬品委員会()から受領したと発表した。

ハラヴェンは、新規の作用機序を有するハリコンドリン系の微小管ダイナミクス阻害剤。海洋生物クロイソカイメン(Halichondria okadai)から抽出された天然物ハリコンドリンBの全合成類縁化合物であり、微小管の伸長(重合)を阻害・抑制することで、細胞分裂の停止作用を有している。加えて、最近の非臨床研究において、腫瘍の血流循環を改善すること、乳がん細胞の上皮細胞化を誘導すること、乳がん細胞の転移能を減少させることなどの作用を有することが報告されている。今回の承認勧告は、欧州において進行性乳がんに係る適応に続き、ハラヴェンの2つ目の適応として承認を推奨するものだ。

臨床第3相試験において、全生存期間の有意な延長を確認

今回の承認勧告は、アントラサイクリン系抗がん剤治療を含む少なくとも2レジメンの前治療歴を有する進行または再発の悪性軟部腫瘍(平滑筋肉腫または脂肪肉腫)の患者(18歳以上、452人)を対象とした、ハラヴェンとダカルバジンの有効性および安全性を比較する臨床第3相試験「309試験)の結果に基づくもの。

同試験の結果、主要評価項目である全生存期間(OS)において、ハラヴェン投与群(中央値:13.5か月)は、対照薬であるダカルバジン投与群(同:11.5か月)に比較して統計学的に有意な延長を示した(ハザード比0.77(95%信頼区間=0.62-0.95)、p=0.0169)。また、脂肪肉腫の患者では、OSにおいてハラヴェン投与群(中央値:15.6か月)は、対照薬であるダカルバジン投与群(同:8.4か月)に比較して有意な改善を示したという(ハザード比0.51(95%信頼区間=0.35-0.75))。

また、ハラヴェン投与群で、もっとも一般的に確認された有害事象(頻度25%以上)は、疲労、好中球減少、悪心、脱毛、便秘、末梢神経障害、腹痛、発熱で、これまでのハラヴェン投与で確認された安全性プロファイルと同様だったとしている。

同剤は、これまでに乳がんに係る適応で、日本、欧州、米州、アジアなど、約60か国で承認。悪性軟部腫瘍に係る適応については、2016年1月に米国で「アントラサイクリン系抗がん剤治療を含む化学療法の前治療歴のある手術不能または転移性の脂肪肉腫」の適応で承認を取得し、同年2月に日本で「」の適応で承認を取得している。また、米国および日本において、悪性軟部腫瘍に対する希少疾病用医薬品()の指定を受けている。

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 医薬品・医療機器

  • 婦人科疾患の診断や不妊治療に有用な免疫検査パネルを発売-シスメックスほか
  • 新型コロナの次世代 mRNA ワクチン「コスタイベ筋注用」、国内第Ⅲ相試験で既存オミクロン株対応2価ワクチンに対する優越性検証を達成-Meiji Seika ファルマ
  • SGLT2阻害薬、糖尿病関連腎臓病の進行を抑える新たな仕組みを発見-岡山大ほか
  • 縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー薬「アセノベル」承認-ノーベルファーマほか
  • 遺伝子治療レンメルディ、小児の異染性白質ジストロフィーでFDA承認-協和キリン