糖尿病・心疾患のリスク因子、食後高血糖
佐賀大学は10月20日、桑菱茶の短期摂取で血糖値の変動が抑えられることを確認したと発表した。この研究は、同大医学部社会医学講座予防医学分野の原めぐみ教授、西田裕一郎准教授、医学部地域医療科学教育研究センター数理解析部門の川口淳教授、新川裕也氏(大学院生)、西九州大学健康栄養学部健康栄養学科の安田みどり教授、神埼市役所産業振興部商工観光課商工振興係らの研究グループによるもの。研究成果は、「Nutrients」に掲載されている。

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食後の急激な血糖上昇(食後高血糖)は、糖尿病や心疾患のリスク因子とされている。デオキシノジリマイシン(DNJ)やポリフェノールには血糖上昇を抑える作用があることが知られており、桑の葉と菱の外皮から作られる桑菱茶にも同様の効果が期待されてきた。
これまで、桑菱茶の単回摂取による血糖上昇抑制効果は報告されていた。そこで今回の研究では、継続的に飲用した場合の食後血糖上昇抑制効果や安全性を評価することを目的とした。
健常成人31人対象、継続的飲用の食後血糖上昇抑制効果や安全性を評価
同研究では、健常成人31人を対象に、ランダム化二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験を実施。参加者は、毎食前に桑菱茶またはプラセボ茶を2週間摂取し、上腕に装着した持続血糖測定装置(CGM)により血糖値を15分ごとに記録した。記録された各期間の血糖値から変動係数を計算し、桑菱茶期間とプラセボ茶期間で比較した。また、各期間の初日には桑養茶またはプラセボ茶を飲用した後、基準食を摂取し、食後血糖値の変動を記録し曲線下面積(AUC)を計算し比較した。さらに、各期間の前後で採血を行い、桑菱茶期間とプラセボ茶期間での血液データの変化量を比較した。
桑菱茶飲用で血糖値の変動係数が低下、安全性も確認
研究の結果、桑菱茶を飲用した期間では、血糖値の変動係数(CV)が有意に低下(平均差0.02、p=0.0006)した。基準食摂取後1時間の血糖値の上昇(AUC)も有意に抑制された(p=0.02)。血糖コントロールの指標である1、5-アンヒドログルシトール(1、5-AG)は有意に増加した(p=0.005)。安全性について、低血糖の発生や肝機能・腎機能・炎症マーカー、自覚症状には有害な変化はなかった。
桑菱茶、糖尿病予防で有用な自然療法の可能性
今回の研究結果から、桑菱茶の2週間継続摂取により食後血糖値の上昇を有意に抑制する効果が見出された。また、安全性についても問題がないことが確認された。これらの結果から、桑菱茶の摂取が糖尿病予防や管理において有用な自然療法の一つである可能性が示唆された、と研究グループは述べている。
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