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高齢期の身体的フレイル、過去の欠食習慣が関与の可能性-長寿研

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2025年10月21日 AM09:30

壮年期・中年期の食習慣が高齢期のフレイルにどう影響するかは不明だった

国立長寿医療研究センターは10月15日、中年期(45~64歳)の欠食習慣(1日2食以下)が高齢期の身体的フレイルと関連することを明らかにしたと発表した。この研究は、同センターの老年学・社会科学研究センター、予防老年学研究部の西島千陽研究員、島田裕之センター長らの研究グループによるもの。研究成果は、「Journal of the American Medical Directors Association」に掲載されている。


画像はリリースより
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同センターではこれまで、朝食欠食習慣のある75歳以上の地域在住高齢者はフレイル有病率が高いことを明らかにし、高齢期の朝食の質を高めることはその後の筋力低下を抑制する可能性を見いだしている。しかし、壮年期(25~44歳)や中年期(45~64歳)の食習慣が高齢期のフレイルにどのように影響するかは明らかでなかった。そこで今回の研究は、地域在住高齢者を対象に過去の欠食習慣と高齢期の身体的フレイルとの関連を明らかにすることを目的に調査を行った。

65歳以上の高齢者5,063人の過去の食事回数とフレイルの関連を調査

今回の研究における調査対象は、愛知県知多市で実施した大規模コホート研究National Center for Geriatrics and Gerontology-Study of Geriatric Syndromesに参加した65歳以上の高齢者のうち、認知症や認知機能低下のある人を除いた5,063人(平均年齢73.7±5.5歳、女性54.8%)とした。欠食習慣は、壮年期、中年期、高齢期の年代ごとに食事回数を尋ね、「1日2食以下を欠食あり」とした。身体的フレイル判定には2020年改定の日本版CHS基準を使用し、フレイルあるいは、プレフレイルに該当した人を「身体的フレイルあり」とした。

中年期のみの欠食でフレイル発症リスクは2.18倍に増加

対象者のうち、壮年期に欠食ありと回答した人は3.6%、中年期は2.8%、高齢期は4.1%であった。また、「身体的フレイルあり」と判定された人は53.8%であった。

研究グループは、壮年期から中年期にかけての欠食習慣を(1)壮年期のみ欠食していた人、(2)中年期のみ欠食していた人、(3)壮年期から中年期にかけて欠食していた人の3群に分け、身体的フレイルとの関連を検討した。

結果、各世代を通して欠食なしの人と比べると、(2)中年期のみの欠食はオッズ比2.18(95%信頼区間:1.07,4.71)、(3)壮年期から中年期にかけての欠食はオッズ比2.35(95%信頼区間:1.53,3.70)となり、高齢期に身体的フレイルを発症するオッズ比が高いことが示された。

高齢期に欠食をやめても、中年期欠食者のフレイルリスクは2.96倍と高値

この傾向を踏まえ、研究グループは次に、主に中年期の欠食に焦点を当てて検討を進めた。

高齢期に欠食なしの人について、中年期の欠食の有無と高齢期の身体的フレイル発症との関連を検討したところ、中年期の欠食は高齢期の身体的フレイル発症に対するオッズ比が高値を示した(オッズ比2.96(95%信頼区間:1.50,6.18))。

このことから、中年期に欠食していた人では、その後に欠食をやめても身体的フレイルを発症するリスクが高い可能性が示された。

高齢期の食品摂取の多様性が、中年期欠食によるリスクを軽減する可能性

さらに研究グループは、高齢期の食品摂取多様性スコア(10食品群(肉類、魚介類、卵類、牛乳・乳製品、大豆製品、緑黄色野菜類、果物、海藻類、いも類、油脂類)を毎日摂取する場合を1点、他の場合は0点として食品摂取の多様性を10点満点で評価する指標)に着目し、中年期の欠食の有無と高齢期の身体的フレイル発症との関連を検討した。

結果、高齢期に食品摂取多様性スコアの低い(いろいろな食品を食べていない)人では、中年期の欠食が高齢期の身体的フレイル発症と有意な関連を示した(オッズ比2.54(95%信頼区間:1.47,4.51))。一方、高齢期に食品摂取多様性スコアの高い(いろいろな食品を食べる)食事をしていた人では、中年期の欠食と高齢期の身体的フレイル発症との間に有意な関連は認められなかった(オッズ比1.35(95%信頼区間:0.52,3.54))。

この結果から、中年期に欠食をしていた人でも、その後に食品摂取の多様性が高い食事をしていれば身体的フレイル発症のリスクを抑えられる可能性が示された。

フレイル予防へ、中年期からの欠食改善と1日3食の推進が重要

近年、欠食習慣を持つ中年期の方々の割合が増加傾向にあるが、今回の研究結果から、高齢期の身体的フレイルの予防には、中年期からの欠食習慣の改善が重要である可能性が明らかになった。また、高齢期においては、食品摂取の多様性を高めることが身体的フレイルの予防に重要である可能性が示された。

「欠食の要因には、不規則な生活習慣の他、痩身願望や経済的な事情などさまざまあると言われているが、今後は、1日3食の規則正しい食習慣を促進するための効果的な介入方法などの検討が進むことが期待される」と、研究グループは述べている。(QLifePro編集部)

 

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