看護師EBPの知識・技術/実践との関係性、組織サポートでどう変化?
大阪公立大学は10月3日、看護師のエビデンスに基づく実践(Evidence-Based Practice:EBP)に関する知識・技術とEBPの実践との関係性に、組織のサポートが与える影響について検証した結果を発表した。この研究は、同大大学院看護学研究科の古木秀明研究員らの研究グループによるもの。研究成果は、「Japan Journal of Nursing Science」、「Nursing Practice Today」に掲載されている。

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病院に入院している患者の転倒・転落発生率や死亡率を低下させるためには、医療従事者に対してEBPを推進することが重要である。看護師がEBPを実践するには、EBPに関する知識や技術の向上が不可欠であるが、加えてEBPに対する組織のサポートなど職場環境の整備も重要であることが知られている。
今回の研究では、看護師のEBPに関する知識・技術とEBPの実践との関係性が、組織のサポートによってどのように変化するのか、どのような要因が看護師のEBPに関する知識・技術の習得に関係しているかを検証するため、日本国内の病院に勤務する看護師を対象にアンケート調査を約700人対象に実施した。
EBP知識・技術と実践の関係性、組織サポート多いほど「強」
回答結果を分析した結果、EBPに関する知識・技術とEBPの実践との関係性は、EBPに対する組織のサポートが多いほど強くなり、逆にサポートが少ないほど弱くなることが明らかになった。
修士号・EBP教育受講経験・研究経験「有」がEBP知識・技術の高さと関連
さらに、修士号を有していること、EBP教育の受講経験があること、研究の実施経験があることがEBPに関する知識・技術の高さと関連していることが示された。
今回の研究によって、EBPを推進するためには、看護師個人の能力の向上だけでなく、組織のサポートが重要であることが示された。この知見から、看護実践の質を向上させるためには、EBP教育の受講機会を確保するとともに、研究を継続的に実施できる職場環境・支援体制の整備が重要であることを広めていきたい、と研究グループは述べている。
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