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耳鼻咽喉科医師600人調査(1)アレルギー性鼻炎2018年疫学調査結果

読了時間:約   2019年03月19日 AM11:00
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スギ(ヒノキ)花粉の大量飛散年となった2018年シーズン

2018年シーズンはスギ(ヒノキ)花粉の大量飛散年となった。東京都の発表1)によると、2018年春の都内におけるスギ(ヒノキ)花粉の飛散数は、前シーズンの約4.1倍、2008年から2017年までの過去10年間の平均の約2.4倍だった。

花粉の飛散シーズンに特に忙しくなる耳鼻咽喉科医は、自身のアレルギー性疾患についてどのように対処しているのだろうか。また、その家族を含めたアレルギー性疾患罹患状況、治療選択の実態はどうなっているのか。株式会社QLifeはエムスリー株式会社と共同で、全国の耳鼻咽喉科標榜医師600人に対するインターネットアンケート調査を実施し、回答者自身及び回答者の家族の年齢、性別、居住地、アレルギー性疾患罹患状況、治療実態などに関する聞き取りを行った。同調査の結果を報告する本シリーズ第1回目では、年代別、地域別に、アレルギー性鼻炎の罹患状況などをまとめた。

今回の調査では、集計にあたり、性別×年代×エリアの構成比を実態に近づけるため、「総務省平成27年国勢調査」の人口構成比に補正する形でウェイトバック集計を実施。回答医師のみに聴取した項目(診療実態)に関しては、 「厚生労働省平成28年医師・歯科医師・薬剤師調査の概況」の人口構成比に補正する形でウェイトバックエリア(8区分)別にウェイトバック集計を実施した。

【有病率】スギ(ヒノキ)花粉症で37.2%、年代別では「40~49歳」が最も高く53.9%

耳鼻咽喉科医師ならびにその家族全体のアレルギー性疾患の有病率では、スギ(ヒノキ)花粉症の有病率が最も高く37.2%、続いて通年性アレルギー性鼻炎26.9%、スギ(ヒノキ)以外の花粉症15.5%となった。鼻炎以外のアレルギー性疾患がアレルギー性結膜炎6.9%、喘息5.9%、アトピー性皮膚炎5.2%、食物アレルギー4.2%、アトピー性以外の皮膚疾患1.7%という結果であったのに比べ、花粉症に罹患している患者の割合が高いことが明らかになった。アレルギー性鼻炎全体の有病率は51.1%であった。

エリア別にスギ(ヒノキ)花粉症の有病率をみると、最も高いのは北関東・甲信越で49.2%。次いで、東海45.8%、首都圏42.4%、東北38.1%、中国・四国37.8%であった。

アレルギー性鼻炎の有病率


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エリア別 スギ(ヒノキ)花粉症の有病率


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年代別では、スギ(ヒノキ)花粉症の有病率が最も高かったのは「40~49歳」(53.9%)で、「50~59歳」(46.6%)、「30~39歳」(46.1%)と続いた。「70歳以上」の高齢者も20.5%が何らかの症状を有していた。男女別では男女とも「40~49歳」が最も高かった(それぞれ61.7%、46.0%)。これらの結果より、仕事や子育てに忙しい30~50歳代で、花粉症に罹患している患者が多いという傾向が見えてきた。多忙な患者の場合、受診が後回しになる可能性もあり、通院頻度への配慮も気を付けたいところだ。

性・年代別 スギ(ヒノキ)花粉症の有病率


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エリア別 通年性アレルギー性鼻炎(ダニ・ハウスダスト)の有病率


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それでは、通年性アレルギー性鼻炎(ダニ・ハウスダスト)の場合は、スギ(ヒノキ)花粉症とどのような違いがあるのだろうか。有病率をエリア別でみると、北海道が最も高く40.2%。次いで、九州29.5%、首都圏28.5%、東海26.1%と、スギ(ヒノキ)花粉症とは異なる結果となった。

年代別に通年性アレルギー性鼻炎の有病率をみると、「30~39歳」が最も高く39.7%、次いで「50~59歳」(36.4%)、「20~29歳」(35.2%)となり、幅広い年代で30%を超える有病率が認められた。男女別でみると、男性では「30~39歳」が最も多く(52.8%)、他の年代と比べると有病率が高いことが読み取れる。一方、女性で最も高かったのは、「20~29歳」の30.5%だった。

性・年代別 スギ(ヒノキ)花粉症の有病率


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花粉症全体の67.8%、通年性アレルギー性鼻炎全体の53.1%が中等症以上

アレルギー性鼻炎の重症度について、花粉症〔スギ(ヒノキ)花粉症+スギ(ヒノキ)以外の花粉症の合計〕では、くしゃみ・鼻漏型の中等症以上が48.7%、鼻閉型または鼻閉を主とする充全型の中等症以上が19.2%となり、全体では67.9% が中等症以上だった。通年性アレルギー性鼻炎では、くしゃみ・鼻漏型の中等症以上が32.9%、鼻閉型または鼻閉を主とする充全型の中等症以上が20.2%となり、全体では53.1%が中等症以上だった。通年性アレルギー性鼻炎患者よりも花粉症患者のほうが、中等症以上の患者の割合が高いことが示唆される結果となった。

アレルギー性鼻炎の重症度


※スギ(ヒノキ)花粉症+スギ(ヒノキ)以外の花粉症の合計 図を拡大

2018年の新規患者、スギ(ヒノキ)花粉症患者全体の3.3%

調査を行った2018年に新たに花粉症を発症したのは、スギ(ヒノキ)花粉症患者全体の3.3%だった。エリア別に見ると、2018年以降にスギ(ヒノキ)花粉症を発症した患者が最も多かったのが北関東・甲信越で9.4%。次いで九州5.5%、首都圏2.9%、近畿・北陸2.7%だった。北関東・甲信越は、有病率と新規発症率ともに高い結果であった。2番目に多かった九州は、スギ(ヒノキ)花粉症のエリア別の有病率では19.1%と、北海道の次に少ない結果だった。環境省の2018年春スギ・ヒノキ花粉の実測飛散量の調査結果2)によれば、福岡県や宮崎県では、2017年の花粉の飛散量と比べ「多い」または「やや多い」結果になっており、例年との比較においても同様に「多い」または「やや多い」結果だったことがわかっている。このように、九州の一部ではあるが、花粉の飛散が多かったことが新規の花粉症発症に関連している可能性もある。

アレルギー性鼻炎の発症時期


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エリア別 スギ(ヒノキ)花粉症の発症時期


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日本耳鼻咽喉科学会専門医、日本アレルギー学会専門医・代議員でゆたクリニック院長の湯田厚司氏は「スギ(ヒノキ)花粉症において40歳代で過半数という結果を見ると、やはり患者数は多くなっているという印象を受けます。特に、60歳代、70歳以上がこの10年で増加しており、この年代でも新規発症があり、自然寛解も少ないことが考えられますので、興味深い結果です」とコメントした。
本調査の概要は以下の通り。

  1. 調査対象:耳鼻咽喉科標榜医師
  2. 有効回答数:600人
  3. 調査方法:インターネット調査
  4. 調査時期:2018/10/4~2018/11/1

また、詳細な調査報告書はhttp://www.qlife.co.jp/news/181226qlife_research.pdfからダウンロードできる。(QLifePro編集部)

参考文献
  1. 東京都 報道発表(2019年2月6日閲覧)
  2. 環境省 平成30年春におけるスギ・ヒノキ花粉の実測飛散量(2019年2月15日閲覧)