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花粉症患者が知るべき、室内における抗原回避・除去のポイントとは

読了時間:約   2019年03月11日 PM03:00
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アレルギー性疾患治療では抗原曝露の回避が基本1)であり、患者の主体的な抗原回避行動が求められる。2018年10月に、株式会社QLifeとエムスリー株式会社が全国の耳鼻咽喉科標榜医師600人を対象に実施したアレルギー疾患に関する調査結果2)では、花粉症に罹患している耳鼻咽喉科医師が実施している花粉症対策として、1番目に多い結果となった「マスク」に続き、2番目に多かったのが「空気清浄機」だ。次いで、「室内のこまめな清掃」「洗濯物の室内干し」という結果になり、花粉症診療を行っている医師自身も、室内での花粉回避に関心が高いことが示唆された。今回は、室内で気を付けるべき花粉回避・除去のポイントについて解説する。

窓全開でもレースのカーテンを閉めることで花粉侵入量40%減

室内における花粉侵入量を測定した調査では3)、同日に、同一集合住宅内の同じ間取りの部屋で調査を実施。窓全開の状態でカーテンも全開にした場合、部屋の内部まで花粉が侵入したが、窓全開の状態でレースのカーテンを閉めた場合は花粉侵入量が40%減少したことが明らかになった。さらに、窓を開ける幅を10cm程度にすることで花粉侵入量が75%減少することがわかった。最も花粉侵入量が少なかったのは、窓を閉めて換気扇を使用した場合。もっとも、日常生活において窓を閉めきった状態を維持することは望ましくなく、適度な換気が必要だ。換気によって室内に侵入した花粉は、窓付近の床やカーテン等に付着している可能性が高い。窓付近の頻回な掃除はもちろん、カーテンの洗濯も定期的に行うことがよい。

室内への花粉侵入量


※花王調べ

窓・カーテンの開閉の効果


※花王調べ

洗濯物・布団払いの効果


※花王調べ

次に、外干しした洗濯物・布団に付着した花粉の除去方法の検討3)では、外干した後何もしない場合と比較して手で軽く花粉を払った場合では、タオルで46%、Tシャツで65%、布団で57%の花粉が落ちることがわかった。飛散時期は室内干しが推奨されるが、やむを得ず外干しした洗濯物や布団を室内に入れる場合は、花粉を手で払うことを実践してほしい。

ポリエステル等、生地表面に凹凸の少ない素材は花粉付着量が少ない

住環境の花粉による汚染防止に関する研究では4)、洗濯物に付着して搬入される花粉量を計測。生地性状によって花粉の付着量に違いがあることが確認された。麻、表面が毛羽立っているタオル等、生地表面に凹凸のある素材では花粉付着量が多い一方で、ポリエステルやナイロンといった生地表面の凹凸が少なく、生地の編み方が密な素材では花粉付着量が少なかった。

その他、ウール製の衣類は、ポリエステルやナイロン等の化学繊維に比べて花粉が付着しやすい5)ので注意したい。外出時は、つばの広い帽子、手袋を着用することで、花粉の付着しやすい顔、頭、手への花粉付着量を減らすことができる。帰宅の際は、花粉を払ってから入室することが望ましい。

花粉付着量が多い・少ない素材
花粉付着量:多 花粉付着量:少
表面が毛羽立っているもの 生地の編み方が密なもの
生地表面に凹凸のあるもの 生地表面に凹凸が少ないもの
例:麻、タオル、ウール、等 例:ポリエステル、ナイロン、等
清澤裕美ほか:日本建築学会計画系論文集. 2002;67(558):37-42、
環境省「花粉症環境保健マニュアル-2014年1月改訂版-」よりQLifePro編集部が作成

カーペット等、花粉が残存しやすい場所は念入りな掃除を

部屋に残留するスギ花粉について、室内を徹底的に掃除した後、通常通りの生活を2週間行った後の部屋における残留量を検討した研究6)では、カーペット(じゅうたん)、トイレマット、敷き布団、畳の順に花粉量が多い結果だった。花粉シーズンでは、このような場所を中心に掃除を行うことが望ましいといえる。

掃除後、通常通り2週間生活した後の残留スギ花粉量
場所 残留スギ花粉量
カーペット 63,000個/m2
トイレマット 38,000個/m2
敷き布団 23,000個/枚
21,000個/畳
榎本雅夫ほか:チャイルドヘルス. 2006;9(2):84-87よりQLifePro編集部が作成

また、花粉は床に落下するため、床掃除は念入りに行いたいところだ。掃除方法による花粉の残留量の違いを調査したところ3)、フローリングの床において、掃除機を使用する前に拭き掃除をすることで、床の花粉の舞い上がりをおさえ、効率よく花粉を除去できることがわかった。以上の結果より、雑巾や床拭き用のウェットシートによる床の拭き掃除を行ったうえで掃除機を使用することが推奨される。

空気清浄機で花粉の除去を効率的に

室内に侵入した花粉を除去する手段のひとつが、空気清浄機だ。空気清浄機を選ぶ際のポイントは、「適用床面積」「フィルター寿命」「集塵能力の持続性」である。適用床面積は広いほど短時間で花粉除去が完了することから、空気清浄機を設置する部屋の広さの3~4倍のものを目安に選ぶ。次にフィルター寿命だが、一般的な空気清浄機本体の寿命は約10年とされ、フィルターの寿命は本体と同程度に長いものを選ぶと交換の手間が省ける。フィルターの目が詰まると集塵能力が低下するため、風量が大きいものや長期間使用してもフィルターが目詰まりしにくい電気集塵機能を搭載したものを選ぶこともポイントだ8)。近年では、花粉を除去するだけでなく、分解する機能を搭載した空気清浄機も販売されている。


※画像はイメージ
空気清浄機を選ぶポイント
適用床面積 空気清浄機を設置する部屋の広さの3~4倍のものを目安に適用床面積を選ぶ。
フィルター寿命 空気清浄機の寿命約10年を目安に、フィルター寿命の長いものを選ぶ。
集塵能力の持続性 風量が大きいものや長期間使用してもフィルターが目詰まりしにくい電気集塵機能を搭載したものを選ぶ。
ダイキン工業株式会社「花粉の困りごとと解決法」よりQLifePro編集部が作成

空気清浄機を設置する際は、花粉が落ちる床に近い場所にすると効果が発揮される。エアコンの対角線上に置くと、エアコンの気流との相乗効果で部屋の空気の流れがよくなり、さらに効率よく除去できる。室内に一度入ってしまった花粉除去よりも、外からの花粉侵入回避に重点を置きたい場合は、玄関や部屋の出入り口近くに設置するのがよいだろう。

室内において外部からの花粉の侵入を完全に防ぐことは難しく、空気清浄機や掃除によって室内に侵入した花粉の除去を心がけたいところだ。花粉の室内への侵入は、ドアや窓の開閉など換気によるものが多い。窓を閉めることで花粉の侵入の多くは阻止できると考えられるが、窓を閉め切った状態で、仮に洗濯物も室内干しとなれば、カビやダニが発生しやすい環境になる。ダニ・カビは湿度60%以上で繁殖しやすくなる6)ため、それを超えない適度な湿度を保つことも忘れずに行いたい。(QLifePro編集部)

参考文献
  1. 鼻アレルギー診療ガイドライン作成委員会:鼻アレルギー診療ガイドライン-通年性鼻炎と花粉症-2016年版(改訂第8版)第5章 治療. (株)ライフ・サイエンス, 35-82, 2015
  2. 株式会社QLifeニュースリリース「600人の耳鼻咽喉科医師対象 アレルギー性疾患に関する全国医師調査」(2019年1月28日閲覧)
  3. 花王株式会社 KAO INFORMATION「花粉に関する生活者実態とその対策の検証」(2019年2月8日閲覧)
  4. 清澤裕美ほか:日本建築学会計画系論文集. 2002;67(558):37-42
  5. 環境省「花粉症環境保健マニュアル-2014年1月改訂版-」(2019年1月26日閲覧)
  6. 榎本雅夫ほか:チャイルドヘルス. 2006;9(2):84-87
  7. 釣木澤尚実ほか:薬局.2014;65(3):451-456
  8. ダイキン工業株式会社「花粉の困りごとと解決法」(2019年1月26日閲覧)