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花粉症対策としてのマスク、これだけは押さえて欲しい基本性能のポイントとは

読了時間:約   2019年01月29日 PM03:00
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2018年10月に、株式会社QLifeとエムスリー株式会社が全国の耳鼻咽喉科標榜医師600人を対象に実施したアレルギー疾患に関する調査結果で、花粉症罹患医師が実施している花粉症対策として57.4%と最も多い結果となったマスク。花粉症にかかっていない医師が実施したいと考える対策としても、マスクが64.5%と最も多かった。このように花粉症対策として支持されるマスクだが、使用方法や性能について正しく患者に説明できているだろうか?今回は、患者説明にも使用できる花粉症対策としてのマスクのポイントについてまとめた。

花粉症対策として有効なマスク。選ぶ際のポイントは?

花粉対策の基本として多くの人がマスクを身につけるようになり、近年、さまざまな種類の製品が販売されている。花粉症用のマスクやメガネを使用すると、両方とも使用しない場合と比較して、鼻内花粉数が約6分の1、結膜内花粉数が約3分の1になるというデータもある1)

実験的な鼻内、結膜内花粉数(マスク、メガネの効果)
鼻内花粉数 結膜内花粉数
マスクなし
メガネなし
1848 791
通常のマスク
通常のメガネ
537 460
花粉症用マスク
花粉症用メガネ
304 280
提供:日本医科大学大学院医学研究科教授 大久保公裕氏

マスクが一般的に普及したのはインフルエンザが大流行した1934年と言われている。その後、1950年に日本初のガーゼマスクが誕生し、1973年には不織布製プリーツ型の原型が登場2)。その後、SARS(重症急性呼吸器症候群)がアジアを中心に流行するなど、空気感染への予防意識が高まり、2000年以降に普及が進んだ。

花粉対策やかぜ、防寒や保湿などの目的で使用される「家庭用マスク」は、素材や形状、サイズなどが豊富だ。医療用マスクや産業用マスクに比べて通気性とフィルターの性能のバランスが良いため、長時間快適に過ごせることが特徴で、家庭用マスクには、「ガーゼタイプ」と「不織布タイプ」の2種類がある。現在は不織布タイプが家庭用マスク総生産数の9割以上3)を占める。日本衛生材料工業連合会の調べによると、2017年のマスク生産(国内生産・輸入)数量は、家庭用マスクで40億枚以上4)だった。2017年10月1日時点の総人口は1億2670万人だったため5)、仮に、日本国民が全員マスクを使用したと仮定すると、年間全国民一人当たり約32枚使用したということになる。

マスクの形状にはおもに3つのタイプがあり、古くから使用される「平型」、立体的になるプリーツ構造を採用した「プリーツ型」、そして顔のラインに沿った形状で密着性を高めた「立体型」がある。

平型
平型の特徴は、ガーゼを使用しているため、高い保湿性と保温性があること。睡眠時やエアコンの効いた室内で乾燥からのどを守るのに役立つ。
プリーツ型
プリーツ型の特徴は、前面がプリーツ状になっているため、口の動きにも柔軟に対応可能なこと。マスクをしたまま話をしてもズレにくいことが特徴だ。また、プリーツを上下に広げて装着することでマスクと口の間に空間が生まれ、楽に呼吸できる。裏表を確認して装着する。
立体型
立体型の特徴は、顔の形に合わせたデザインで、隙間なくフィットすること。また、マスクと口元に空間ができることから息苦しさや話しにくさが緩和され、女性にとってはメイクが落ちづらいというメリットもある。
※写真はQLifePro編集部が撮影
タイプごとのマスクの特徴
保湿 防塵 呼吸しやすさ
平型
プリーツ型
立体型

マスクを選ぶ際のポイントとしては、「自分の顔のサイズに合っているサイズを選ぶ」という点が挙げられる。家族全員で同じサイズのマスクを使うという家庭もあるが、顔に合わないマスクでは、隙間から花粉やウイルスが侵入するために十分な効果が得られない。

もう一点、マスクを選ぶ際に確認すべきポイントが、「かぜ対策」「花粉対策」「PM2.5対策」の違いだ。その大きな違いは、カップ部分のフィルター性能。20~30ミクロンの花粉粒子に対し、PM2.5は2.5ミクロン、ウイルス単体の大きさは0.1~0.3ミクロン。つまり、PM2.5対策マスクや、ウイルスの侵入や飛沫防止を考慮したかぜ対策マスクは、花粉対策マスクと比較してより高いバリア性を持っている。逆に、薄くて通気性に優れる花粉用マスクは、付け心地の良さが魅力だといえる。

花粉とPM2.5の相互作用でアレルギー症状の増悪も

PM2.5は、肺の奥深くまで入りやすいことから、肺がんなどへの影響が懸念されている。また、黄砂は中国の砂漠や高原から巻き上げられた土壌・鉱物粒子が偏西風に乗って日本に飛来したものだ。PM2.5や黄砂が花粉と一緒に人体に取り込まれると、体内でアレルギーを引き起こす抗体の生成を促進され、アレルギー症状を悪化させる「アジュバント効果」を引き起こすと考えられている。

アジュバントは「抗原性補強剤」とも呼ばれている。ワクチン投与の際、同時に投与することで少量の抗原量でも効果を高める働きがあり、免疫分野で利用されてきた。近年、大気汚染物質がアジュバント効果を持つことが報告されており、同効果により花粉症が悪化するといわれている。

その他、黄砂が大気汚染物質を一緒に運んでくることや、大気汚染物質を含んだ雨が花粉からアレルゲンを溶け出しやすくすることなどが、都市部での花粉症患者を増やす原因のひとつと考えられている。このように、大気中の汚染物質との相互作用がアレルギー症状の増悪につながるため、花粉だけでなくPM2.5などの物質も防げるマスクを選ぶのが良いといえる。

また、マスクは長時間使用すると雑菌が繁殖する。菌の増殖スピードを考慮すると、24時間以内に取り替えることが望ましい。しかし、約2割の人が2日以上使用しているというデータもある6)。外したら新しいマスクに付け替える習慣をつけることが大切だ。

あなたが主に利用するマスクは、どのくらい使ったら新しいものに交換しますか?
※インターワイヤード株式会社 「マスク」に関するアンケートより

花粉除去率99%以上、環境省が勧める“インナーマスク”とは?

マスクの内側にガーゼを当てること(インナーマスク)で、市販のどんなタイプのマスクを使用した場合でも花粉除去率99%以上を示すことが明らかになっている。環境省作成の「花粉症環境保健マニュアル」で紹介されているインナーマスクは、市販のガーゼと化粧用のコットンを用意し、下記の要領で作成する。

  1. ガーゼを縦横10cm程度に切ったものを2枚用意する
  2. 化粧用のコットンを丸めて、1枚のガーゼでくるむ
  3. 市販の不織布のマスクにもう1枚のガーゼを4つ折りにして当てる
  4. 鼻の下にガーゼでくるんだコットンを置く
  5. 3のガーゼをあてたマスクを装着する
  6. 息が苦しい場合にはコットンの厚さを半分にする
※写真はQLifePro編集部が撮影

インナーマスクを行う際でも、マスク自体が顔にフィットしていなければ、横の隙間から花粉が入ってしまうので、顔のサイズに合ったものを選ぶことが重要。また、息がしやすいもの、そして衛生面からは使い捨てのものが推奨されている。(QLifePro編集部)

参考文献
  1. 花粉症環境保健マニュアル-2014年1月改訂版-
  2. 全国マスク工業会 マスクの歴史について
  3. 全国マスク工業会調べ「2007年度上半期家庭用マスク素材別生産比率」
  4. 全国マスク工業会 統計情報
  5. 総務省統計局
  6. インターワイヤード株式会社 「マスク」に関するアンケート