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アレルギー性鼻炎患者調査 Vol.3【初診患者の胸の内。医師に期待するコト、クリニックに期待するコト】

読了時間:約 3分29秒  2018年02月09日 AM11:00
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初診患者の期待はどこに?クリニックの選択基準は?


国民の約4割が罹患しており、近年増加傾向にあるアレルギー性鼻炎1)。処方薬、市販薬も豊富で、2014年には舌下免疫療法も登場。いまや、さまざまな治療選択肢から、患者一人ひとりにあった治療方法を選択できる時代だ。それでは、アレルギー性鼻炎患者本人は、治療に関してどのように考えて、クリニックの受診や市販薬の購入などの行動を起こしているのだろうか。

QLifeでは、アレルギー性鼻炎で医療機関に通院中の患者2,702人を対象に、治療についての考え方に関する大規模調査を実施した。その結果から垣間見える患者のホンネについて、シリーズで紹介する。第3回目は、開業医が気になる「初診患者のホンネ」を探る。初めてクリニックの門を叩く患者は、何を期待して、どんな基準で受診先を選ぶのだろうか。

1)鼻アレルギー診療ガイドライン作成委員会:鼻アレルギー診療ガイドライン-通年性鼻炎と花粉症-2016年版(改訂第8版).(株)ライフ・サイエンス, 8-13, 2015

症状緩和への期待大きく、原因解明も求める

現在通院中のクリニックを選んだ理由を複数回答で尋ねたところ、「非常にあてはまる」の回答が最も多かったのは、「鼻症状を治したい」で77.5%だった。次いで、「安全に治したい」(75.3%)、「薬を処方してほしい」(74.5%)の順となった。「全体的に症状を治したい」(73.8%)も僅差で4位にランクインしており、症状緩和への期待が大きいことが窺える。

次に、医師に求めることについても複数回答で質問したところ、「症状の原因について教えてほしい」で、「非常にあてはまる」の回答が最多(74.4%)。以下、「すぐに治療してほしい」(65.9%)、「治療方法について教えてほしい」(64.2%)と続いた。「予防法について教えてほしい」との声も52.6%あった。

現在受診中のクリニックを選んだ理由で考えに近いもの
医師に求めることとして、考えに近いもの

年代・性別ごとに分析すると、クリニックを選んだ理由として、特に10代男性(85.3%)と20代男性(81.9%)が「鼻症状を治したい」を多く挙げていることがわかった。ほかの世代の男性や全世代の女性が70%台であったのに比べると、高い傾向がみてとれる。10~20代は受験や就職など、その後の人生を左右するイベントを控えているうえ、異性の目が気になる年頃でもある。若い彼らにとって鼻症状の悩みがいかに深刻かが、この結果から推し量られるといえよう。

医師に求めることについても年代・性別ごとに分析したところ、20代男性と10代女性では、「症状の原因について教えてほしい」を挙げたのはそれぞれ67.5%、69.0%と、70%に達していなかった。全体の傾向を引き上げたのは、30~40代の男女だ。特に30代では男性の76.0%、女性の78.9%が「症状の原因について教えてほしい」を挙げており、原因究明への高い関心が窺える結果となった。

現在受診中のクリニックを選んだ理由【鼻症状を治したい】に「非常にあてはまる」/医師に求めること【症状の原因についておしえてほしい】に「非常にあてはまる」

クリニック選びは利便性重視。クチコミも判断材料に

それでは、初めて受診するクリニックを選ぶ際、患者は何を判断材料にしているのだろうか。受診の決め手について複数回答で尋ねたところ、クリニックへの期待や医師へ求めることとは裏腹に、「自宅からの距離が近い」が最も多いという結果に(80.2%)。続いて、「家族・友人・知人からの評判」(55.1%)、「駐車場がある」(41.6%)、「webで予約ができる」(33.4%)と、利便性を重視する患者のホンネが浮き彫りとなった。なお、「インターネットの病院検索サイト(クチコミなど)での評判」を挙げる声も15.6%と、インターネット上での情報も判断材料の一端を担っていた。

現在受診中のクリニックを選んだ理由で考えに最も近いもの

年代・性別ごとの分析では、「家族・友人・知人からの評判」を重視するのは、40代女性(63.3%)、30代女性(60.6%)で多く、20~40代男性が40%前後であるのに比べ高い傾向がみられた。「駐車場がある」についても、40代女性(49.8%)と30代女性(48.1%)が重視している一方、20代男性では25.3%と低い結果であった。さらに30代女性は、「webで予約ができる」も支持(43.3%)。40代女性(36.2%)、30代男性(35.1%)も30%超が支持しているものの、その他の世代・性別では20%台に留まり、評価が分かれた。これらの結果から、利便性を最優先に考える30~40代女性患者の姿が浮かび上がってきた。

初めて受診する病院・クリニックで治療可能なところが複数あるとき、受診の決め手になること

30~40代女性といえば、とにかく「鼻症状を治したい」10代の母親世代でもある。多忙な彼女たちが利用しやすい設備やシステムと、彼女たちを悩ませる鼻症状の原因に関する十分な解説――。クリニックへの彼女たちの信頼を得るには、ハードとソフト両面からのアプローチが求められているようだ。

本調査の概要は以下の通り。

  1. 調査対象:アレルギー性鼻炎で医療機関に通院している患者2,702人
  2. 有効回収数:2,702人
  3. 調査方法:通院する医療機関を通して、患者本人に案内したインターネット調査
  4. 調査時期:2017年7月15日~8月31日

また、詳細な調査報告書はhttp://www.qlife.co.jp/news/171031qlife_research.pdfからダウンロードできる。(QLifePro編集部)