医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

Home > アレルギー性鼻炎 > 花粉症治療 患者ビッグデータ(1)受診前後の市販薬使用実態

花粉症治療 患者ビッグデータ(1)受診前後の市販薬使用実態

読了時間:約 2分27秒  2017年01月13日 PM03:00
このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事は医療者のみが閲覧する事ができます。

あなたは医療者ですか?

患者1,000人に聞いた、最新の花粉症治療事情とは


QLifeは、2016年春の花粉症シーズンに医療機関を受診した15~79歳の花粉症患者1,000人を対象に、花粉症治療に関する大規模調査を実施。そこから見えた最新の治療実態についてシリーズで紹介する。

第1回目は「受診前後の市販薬使用実態」について。スイッチOTC医薬品が相次いで発売されるなど、花粉症は幾多の医療領域の中でも、最もセルフメディケーションが進んだ領域のひとつといえるだろう。今年から「セルフメディケーション税制」が導入されるなど、自発的な健康管理や疾病予防の取り組みはますます加速すると予想されるが、では、花粉症患者は市販薬と処方薬をどのように使い分けているのだろうか。

21.1%が受診前に市販薬を使用。点鼻薬に効果を感じる患者多く

2016年春の花粉症シーズンにおける最初の受診前に市販薬を使用したかを調べたところ、21.1%が「使用した」と答えた。その割合を受診歴別に見ると、「1~5年目」は24.6%、「6~10年目」は21.2%、「11年目以上」は20.3%で、受診歴にかかわらず、2割強は市販薬を使用していることがわかった。また、使用した市販薬の内訳を見ると、「内服薬」(60.2%)が最多で、「点鼻薬」(39.8%)、「点眼薬」(26.5%)と続いた。その効果の実感を聞いたところ、「点鼻薬」に効果を感じた人が78.6%で最も多く、「内服薬」は74.0%、「点眼薬」は66.1%だった。

受診前の市販薬使用実態

受診後も1割が市販薬使用、その3割は「処方薬の効果なし」を理由に

受診前に市販薬を使用した理由としては、「症状が出始めた」(42.7%)や「受診する時間がなかった」(30.8%)が多かったが、20.9%は「市販薬で十分だと思った」と、受診せずに済ませようとしていたことがうかがえた。一方、医療機関を受診した後も市販薬を使用した人は10.6%に上り、その34.0%が処方薬と“併用”して市販の内服薬を使用したと回答。点鼻薬では29.2%、点眼薬では24.5%だった。

受診後の市販薬使用実態(複数回答)

また、受診後に市販薬を使用した理由については、26.4%が「処方薬の効果が感じられなかった」と答えており、処方薬の代替として市販薬を使用していることがわかった。

受診後の市販薬の使用理由

花粉症患者の1割、受診せずに市販薬のみで対応

ちなみに、予備調査として、花粉症の自覚症状がある4,748人に2015年末~2016年に鼻炎症状の改善を目的に市販の内服薬または点鼻薬を購入したかを尋ねたところ、38.9%が「購入した」と答えた。市販薬を購入して、かつ医療機関を受診しなかったのは全体の10.1%と、一定数はセルフメディケーションのみで対応していた。さらに、14.8%の患者は市販薬を購入せず、かつ、受診もしていないことが明らかとなった。

2015年末~2016年の市販の内服薬・点鼻薬の購入実態

また、花粉症症状を抑えるための民間医療については、53.7%が行っていた。その内訳は「ヨーグルト」が81.2%と圧倒的に多く、次いで「甜茶」(19.4%)、「ミントガム」(16.2%)、「乳酸菌錠」(14.3%)。2007年に厚生労働省が実施した全国調査では、アレルギー性鼻炎患者の19%が民間医療を行っていたが、今回の大規模調査はそれを大きく上回る結果だった。

民間医療の使用実態

今調査の概要は以下の通り。

  1. 調査対象:
    ・花粉症の治療を目的に2016年春の花粉症シーズンに1回以上医療機関を受診した患者500名
    ・通年性アレルギー性鼻炎患者ならびに患者予備群(自覚症状あり)で花粉症も合併しており、2016年春の花粉症シーズンに1回以上医療機関を受診した患者500名
  2. 有効回収数:1000名
  3. 調査方法:インターネット調査
  4. 調査時期:2016/12/7~2016/12/13

また、詳細な調査報告書はhttp://www.qlife.co.jp/news/170113qlife_research.pdfからダウンロードできる。(QLifePro編集部)