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全国てんかんセンター協議会総会2015レポート【1/4】症例検討会で関心高めて連携進める/各地のセンターと連携で人材を育成

読了時間:約 2分5秒  2015年05月18日 AM10:00
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全国てんかんセンター協議会総会(大会長:前原健寿氏:東京医科歯科大学脳神経外科教授)が2月14日、15日の2日間、東京医科歯科大学内にて開催された。期間中は各地のてんかんセンターからの現状報告、てんかん基礎講座、教育講演など多岐に渡る発表が行われた。

それらの講演の中から、シンポジウム2「てんかんセンターの現状と課題2」の概要を全4回に渡りお伝えする。今回は、近畿大学脳神経外科の中野直樹氏と、国立病院機構奈良医療センターの星田徹氏の講演を紹介する。

【全国てんかんセンター協議会総会(JEPICA 2015)】
 2015年2月15日:東京医科しい大学M&Dタワー(東京)
 座長:亀山茂樹氏(国立病院機構西新潟中央病院 脳神経外科)
    中里信和氏(東北大学大学院医学系研究科 てんかん学分野)

※この記事は株式会社ライフ・サイエンス「MEDICAMENT NEWS」第2193号(2015年4月25日発行)掲載誌面をもとにQLifePro編集部で一部再構成したものです。

症例検討会で関心高めて連携進める

近畿大学脳神経外科の中野直樹氏は「当院におけるてんかん診療院内連携の現状」と題して、院内連携に向けた取り組みについて報告を行った。

同科がてんかん外科診療を始めた当初は、周辺施設や他県からは患者が紹介されるものの、肝心の院内他科からの紹介例は皆無だったという。そこで中野氏らは、院内のてんかん連携を図るべく「院内てんかん症例検討会」を計画した。小規模な会だったが、始めてみると第1回から盛況だったという。

検討会は年4回の頻度で現在も継続している。内容は症例検討やトピックスなどで、時には実臨床に沿った脳波測定やてんかんの見方などのテーマも盛り込む。さらに看護師教育を目的にビデオ脳波モニタリングの視聴も実施した。活発な議論を促すため、机の配置をスクール形式から島形式に変更するなど随所に工夫を重ねてきた。

こうした活動の甲斐あって、昨年には院内の他診療科からの紹介手術例も生まれつつある、心因性発作の患者を脳神経外科から精神神経科に逆紹介する事例も出てきた。中野氏は「徐々にではあるが(院内)連携はなされつつある」と活動の成果を示した。

各地のセンターと連携で人材を育成

国立病院機構奈良医療センターの星田徹氏は「てんかんセンター開設から4年を迎えて」と題して、センターにおける人材育成について講演した。

同センターがてんかんセンターを開設したのは4年前。センター開設とともに、患者の数は順調に伸びている。

人材の育成では、静岡てんかん・神経医療センターや西新潟中央病院の看護師研修に看護師を派遣してんかん学を学ぶ機会を作った。初診対応/病態説明/生活指導できる看護師を育てるため、京都大学てんかん・運動異常生理学講座にも看護師を派遣している。

現在、同院では実際に看護師が初診対応を行う。定型的な質問を先に済ませておけば、問診を引き継ぐ医師はさらに掘り下げて話を聞けるからだ。

看護師だけでなく、脳波技師も東北大学てんかん科の研修に派遣するなど育成に努めている。その結果、昨年の長時間ビデオ脳波モニタリング検査は4年前の3倍以上に増加した。

星田氏は「てんかん専門職員を養成する体制がなければセンターは立ちいかなくなる」と指摘。そのためには内外の協力体制が大切だと述べ、全国のてんかんセンターの連携を訴えた。

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