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欧州委員会がクリゾチニブによる前治療歴のあるALK陽性非小細胞肺がん患者の治療薬としてALUNBRIG®(ブリガチニブ)を承認し、欧州における治療パラダイムを前進させる

2018年12月02日 AM05:52
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米マサチューセッツ州ケンブリッジ & 大阪

(ビジネスワイヤ) — 武田薬品工業株式会社(TSE: 4502)は本日、ALUNBRIG(ブリガチニブ)について、欧州委員会(EC)がクリゾチニブによる前治療歴のある進行性未分化リンパ腫キナーゼ陽性(ALK+)非小細胞性肺がん(NSCLC)の成人患者に対する単剤療法としての市販承認を与えたと発表しました。今回の承認は、2018年9月20日の医薬品評価委員会(CHMP)による肯定的見解に基づくものです。

バルセロナのバルデブロン大学病院腫瘍科胸部腫瘍学ユニット長であるEnriqueta Felip医師(M.D.、PhD.)は、次のように述べています。「分子標的治療薬の導入によりALK陽性NSCLCの治療は大きく改善されましたが、脳転移を有しクリゾチニブ投与中に病状が進行する患者の約70パーセントは依然として新たな治療選択肢を必要としています。ALUNBRIGのALTA試験から得られたデータは、全身および頭蓋内での持続的な有効性の結果と管理可能な安全性プロファイルを示し、この条件下で報告されたものとしては最も長い無増悪生存期間と全生存期間をもたらしました。今回の承認により、欧州連合の医師は、クリゾチニブによる前治療歴のあるALK陽性NSCLC患者を治療するための別の選択肢を手にしました。」

武田薬品のオンコロジー臨床研究開発部門長であるJesús Gómez-Navarroバイスプレジデント(M.D.)は、次のように述べています。「ALK陽性NSCLC患者に対するALUNBRIGの使用を承認する欧州委員会の決定は、この生命を脅かす疾患を患った欧州の患者にとって大きな前進です。クリゾチニブによる治療後という条件下で、独立審査委員会による評価で16カ月を超える無増悪生存期間中央値と、34カ月の全生存期間中央値が報告されたのは初めてのことで、ALTA試験データの強みを浮き彫りにしています。当社は世界中で毎年約4万人が本疾患を罹患していると診断されている患者の生活を改善する革新的ソリューションの開発に傾倒しているところですが、EUにおけるALUNBRIGの承認は当社のこうした取り組みを証明するものです。」

Lung Cancer EuropeのStefania Vallone理事長は、次のように述べています。「ALK陽性NSCLCという肺がんは若年層で患う傾向があり、喫煙と関連していないという事実を含め、多くの人が本疾患とその意味合いについての知識がありません。これらの若年患者は多くの場合、人生の真っ盛りで、家族を持ったり、キャリア構築に専念したり、地域社会に貢献したりしています。病状が進行せずに寿命を延ばし得る新しい治療法の提供は非常に重要なことで、過小評価してはなりません。」

欧州委員会による承認はグローバル第2相ALTA試験のデータに基づいていますが、同試験で患者はALUNBRIGの2種類の投与レジメン、すなわち90 mgの1日1回投与(n=112)、または推奨用量である180 mg の1日1回投与(7日間の導入期間では90 mgを1日1回投与)(n=110)のいずれかにランダム割り付けされました。試験結果は、推奨用量の投与を受けた患者のうち、独立審査委員会(IRC)の評価による客観的奏功率(ORR)56パーセント、奏功期間(DOR)の中央値15.7カ月を示しました。ALUNBRIGは、クリゾチニブ投与中に病状が進行した局所進行性/転移性のALK陽性NSCLC患者で、IRCの評価による16.7カ月の無増悪生存期間(PFS)中央値と、34.1カ月の全生存期間を示しました。

推奨される180 mgの投与レジメンにてALUNBRIGによる治療を受けた患者で最も多く報告された有害反応(25%以上)は、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)上昇、高血糖症、高インスリン血症、貧血、クレアチンホスホキナーゼ(CPK)上昇、悪心、リパーゼ上昇、リンパ球数減少、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)上昇、下痢、アミラーゼ上昇、疲労、咳、頭痛、アルカリホスファターゼ上昇、低リン酸血症、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)異常延長、発疹、嘔吐、呼吸困難、高血圧症、血球数減少、筋痛、末梢神経障害です。推奨投与レジメンにてALUNBRIGによる治療を受けた患者で、新生物進行と関連する事象以外で最も多く報告された重篤有害反応(2パーセント以上)は、肺臓炎、肺炎、呼吸困難です。

欧州委員会による本決定は、ALUNBRIGが本適応症を対象に、欧州連合加盟28カ国に加え、ノルウェー、リヒテンシュタイン、アイスランドでの市販が承認されたことを意味します。欧州委員会の決定の詳細については、欧州医薬品庁のウェブサイト(www.ema.europe.eu/ema)をご覧ください。

ALTA試験について
成人患者をALUNBRIGで治療する第2相ALTA試験(ALK in Lung Cancer Trial of AP26113/肺がんでALK阻害剤AP26113を検討する試験)は、クリゾチニブ投与中に進行した局所進行性/転移性ALK陽性NSCLC患者222人を組み入れて進行中のグローバル二群間比較非盲検多施設試験です。患者は、ALUNBRIG 90 mgを1日1回(n=112)、または180 mgを1日1回(7日間の導入期間では90 mgを1日1回)(n=110)のレジメンにて投与されました。治験責任医師がRECIST改訂版1.1に従って評価・確定した客観的奏功率(ORR)を主要評価項目としました。その他の重要な評価項目として、独立評価委員会(IRC)の評価によるORR、奏功期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、頭蓋内ORR、頭蓋内DOR、安全性および忍容性を設定しました。

ALTA試験の結果、180 mgのレジメンによる投与を受けた患者のうち、治験責任医師による評価の場合で56パーセント、IRCによる評価の場合で56パーセントがORRを達成したことが示されました。DORの中央値は治験責任医師の評価によれば13.8カ月、IRCの評価によれば15.7カ月でした。PFSの中央値は治験責任医師の評価によれば15.6カ月、IRCの評価によれば16.7カ月でした。またベースラインで測定可能な脳転移を持つ患者(n=18)のうち、IRCによる評価の場合で67パーセントが頭蓋内ORRを達成し、IRCの評価による頭蓋内奏功期間の中央値は16.6カ月でした。全生存期間の中央値は34.1カ月でした。

90 mgのレジメンによる投与を受けた患者のうち、治験責任医師による評価の場合で46パーセント、IRCによる評価の場合で51パーセントがORRを達成しました。DORの中央値は治験責任医師の評価によれば12.0カ月、IRCの評価によれば16.4カ月でした。PFSの中央値は治験責任医師による評価とIRCによる評価のいずれの場合も9.2カ月でした。またベースラインで測定可能な脳転移を持つ患者(n=26)のうち、IRCの評価による50パーセントの頭蓋内ORRを達成し、IRCの評価による頭蓋内奏功期間の中央値は9.4カ月でした。全生存期間の中央値は29.5カ月でした。

ALK陽性NSCLCについて

非小細胞肺がん(NSCLC)は肺がんの最も一般的な形態であり、世界保健機関によれば、世界中で毎年診断される推定180万人の新規肺がん症例の約85パーセントを占めています。遺伝子研究では、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)の染色体転座が、NSCLC患者のサブセットで重要ながん進行因子であることが示されています。転移性NSCLC患者の約3~5パーセントにALK遺伝子の転座が見られます。

武田薬品は、NSCLCを対象とする研究開発を継続し、毎年世界中でこの重篤で希少な肺がんと診断される約4万人の患者の生活を改善することに傾倒しています。

ALUNBRIG®(ブリガチニブ)について

ALUNBRIGは、武田薬品が2017年2月に買収したアリアド・ファーマシューティカルズが創薬した分子標的がん治療薬です。ALUNBRIGは2017年4月、クリゾチニブ投与中に進行したかクリゾチニブ抵抗性のALK陽性転移性NSCLC患者の治療薬として米食品医薬品局(FDA)の迅速承認を取得しました。本適応は、腫瘍奏功率および奏功期間に基づき、迅速承認制度により承認されました。本適応の承認継続は、検証的試験における臨床的ベネフィットの検証と説明が条件となります。2018年7月にカナダ保健省は、一種類のALK阻害剤(クリゾチニブ)投与中に進行したかALK阻害剤抵抗性のALK陽性転移性NSCLC成人患者の治療薬としてALUNBRIGを承認しまた。FDAとカナダ保健省によるALUNBRIGの承認は、主としてピボタル第2相ALTA(ALK in Lung Cancer Trial of AP26113/肺がんでALK阻害剤AP26113を検討する試験)試験の結果に基づいています。

ALUNBRIGは、腫瘍がクリゾチニブ抵抗性のALK陽性NSCLC患者の治療薬として、FDAより画期的治療薬の指定を受け、ALK陽性NSCLC、ROS1陽性/EGFR陽性NSCLC患者の治療薬としてFDAより希少疾病用医薬品の指定を受けています。

ブリガチニブ臨床開発プログラムは、世界中のALK陽性NSCLC患者とその治療に携わっている医療従事者のために、革新的な治療薬を開発するという武田薬品の現在のコミットメントを一層強化するものです。この包括的なプログラムには下記の臨床試験が含まれます。

  • ALUNBRIGの安全性、忍容性、薬物動態、予備的な抗腫瘍活性の評価を実施するようにデザインした第1/2相試験
  • クリゾチニブ投与中に進行した局所進行性/転移性ALK陽性NSCLC患者で2種類の投与レジメンにてALUNBRIGの有効性と安全性を検討するピボタル第2相ALTA試験
  • ALK阻害剤未治療の局所進行性/転移性ALK陽性NSCLC患者でクリゾチニブと比較したALUNBRIGの有効性と安全性を評価するランダム化グローバル試験の第3相ALTA-1L試験
  • アレクチニブ投与中に進行した患者に重点を置き、日本人のALK陽性NSCLC患者を治療する第2相単一群多施設試験
  • アレクチニブまたはセリチニブの投与中に進行した進行性ALK陽性NSCLC患者でALUNBRIGの評価を実施する第2相グローバル単一群試験
  • クリゾチニブ投与中に進行したALK陽性NSCLCを患う参加者でアレクチニブと比較したALUNBRIGの有効性と安全性を比較する第3相ランダム化グローバル試験

ブリガチニブ臨床試験の詳細情報については、www.clinicaltrials.govをご確認ください。

ALUNBRIG®(ブリガチニブ):重要な安全性情報(欧州向け)

特別な警告および使用上の注意

肺有害反応ILD/肺臓炎と特徴が一致するものを含め、重度/生命を脅かす/致命的肺有害反応が発現する場合があります。肺有害反応の大半は、治療開始から7日以内に観察されています。グレード1~2の肺有害反応は治療中断または用量調節により解消しました。加齢とクリゾチニブの最終投与からALUNBRIGの初回投与までの短い間隔(7日未満)は、独立してこれら肺有害反応の発現率上昇と関連していました。ALUNBRIG治療を開始する際はこれらの因子を考慮すること。ALUNBRIG治療で後に肺臓炎を経験した一部患者がいます。患者を呼吸器症状(例:呼吸困難、咳など)の新規発現または悪化につき、特に治療開始から1週間にわたりモニタリングします。呼吸器症状が悪化した患者すべてを対象に肺臓炎の証拠について直ちに調査します。肺臓炎が疑われる場合はALUNBRIG投与を保留し、症状の他の原因(例:肺塞栓症、腫瘍進行、感染性肺炎)につき患者の評価を実施します。用量は適宜調節します。

高血圧症が発現しています。ALUNBRIG治療中は定期的に血圧をモニタリングします。高血圧症は、血圧管理の標準的なガイドラインに従って処置します。徐脈を引き起こすことが判明している医薬品の併用が避けられない患者では、高頻度で心拍数をモニタリングします。重度の高血圧症(グレード3以上)では、グレード1またはベースラインに回復するまでALUNBRIG投与を保留します。用量は適宜調節します。

徐脈が発現しています。徐脈を引き起こすことが判明している他の医薬品との併用でALUNBRIGを投与する場合は注意を払います。心拍数と血圧を定期的にモニタリングします。症候性徐脈が発現した場合、ALUNBRIG治療を保留します。徐脈を引き起こすことが判明している併用薬の評価を実施します。回復後、用量を適宜調節します。生命を脅かす徐脈の場合、原因となっている併用薬が特定されないか徐脈が再発した場合は、ALUNBRIG投与を永久的に中止します。原因となっている併用薬が特定された場合、用量を適宜調節します。

視覚障害がALUNBRIG投与で発現しています。何らかの視覚症状が現れたら報告するよう患者に助言します。重度の視覚症状が新規発現または悪化した場合、眼科的評価と減量を検討します。

クレアチンホスホキナーゼ(CPK)上昇が報告されています。原因不明の何らかの筋痛、圧痛、脱力を経験した場合は報告するよう患者に助言します。治療期間中はCPK値を定期的にモニタリングします。CPK上昇の重症度により、ALUNBRIG治療を保留し、用量を適宜調節します。

膵酵素の上昇アミラーゼとリパーゼの上昇が発現しています。ALUNBRIG治療期間中はリパーゼとアミラーゼを定期的にモニタリングします。検査値異常の程度により、ALUNBRIG治療を保留し、用量を適宜調節します。

肝毒性肝酵素(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、アラニンアミノトランスフェラーゼ)およびビリルビンの上昇が発現しています。AST、ALT、総ビリルビンを含む肝機能の評価を、ALUNBRIGの投与開始に先立ち、また治療開始後3カ月間は2週間ごとに実施します。その後はモニタリングを定期的に実施します。検査値異常の程度により、ALUNBRIG治療を保留し、用量を適宜調節します。

高血糖症血清グルコースの上昇が発現しています。ALUNBRIG治療開始に先立ち空腹時血清グルコースの評価を実施し、その後は定期的にモニタリングします。必要に応じ血糖降下薬による治療を開始するか最適化します。最適な医療管理によって高血糖の適切なコントロールが達成できない場合、高血糖の適切なコントロールが達成できるまでALUNBRIGの投与を保留します。回復後に減量の検討かALUNBRIGの永久的中止があり得ます。

薬物相互作用ALUNBRIGと強力なCYP3A阻害剤の併用は避けます。強力なCYP3A阻害剤の併用が避けられない場合は、ALUNBRIGの投与量を180 mgから90 mg、または90 mgから60 mgに削減します。強力なCYP3A阻害剤の使用中止後はALUNBRIGの投与量を、強力なCYP3A阻害剤の使用開始前に忍容できた用量に戻します。ALUNBRIGと強力/中等度CYP3A誘導剤の併用は避けます。

生殖能力妊娠する可能性がある女性には、ALUNBRIG治療期間中および最後の投与後少なくとも4カ月間は有効な非ホルモン性避妊薬を使用するよう助言します。妊娠する可能性のある女性パートナーを持つ男性には、治療期間中およびALUNBRIGの最後の投与後少なくとも3カ月間は有効な避妊法を用いるよう助言します。

ラクトースALUNBRIGはラクトース一水和物を含有しています。希少な遺伝性疾患であるガラクトース不耐症、全ラクターゼ欠損症、グルコース・ガラクトース吸収不良症を持つ患者は本剤を服用してはなりません。

副作用
推奨用量レジメンにてALUNBRIG治療を受けた患者で最も多く報告された有害反応(25%以上)はAST上昇、高血糖症、高インスリン血症、貧血、CPK上昇、悪心、リパーゼ上昇、リンパ球数減少、ALT上昇、下痢、アミラーゼ上昇、疲労、咳、頭痛、アルカリホスファターゼ上昇、低リン酸血症、APTT延長、発疹、嘔吐、呼吸困難、高血圧症、白血球数減少、筋痛、末梢神経障害です。

推奨用量レジメンにてALUNBRIG治療を受けた患者で、新生物進行と関連する事象以外で最も多く報告された重篤有害反応(2パーセント以上)は、肺臓炎、肺炎、呼吸困難です。

特定集団

高齢患者: 65歳以上の患者でのALUNBRIGの安全性と有効性に関するデータは限定されており、このことは高齢患者での用量調節が不要であることを示しています。85歳超の患者に関して利用可能なデータは存在しません。

肝障害:軽度の肝障害(チャイルド・ピュー分類クラスA)または中等度の肝障害(チャイルド・ピュー分類クラスB)の肝障害を持つ患者の場合、ALUNBRIGの用量調節は必要ありません。重度の肝障害(チャイルド・ピュー分類クラスC)を持つ患者の場合、最初の7日間は開始用量を減量して60 mgを1日1回、その後は120 mgを1日1回の投与が推奨されます。

腎障害:軽度または中等度の腎障害(推算糸球体濾過量(eGFR)が30 mL/min 以上)を持つ患者の場合、ALUNBRIGの用量調節は必要ありません。重度の腎障害(eGFRが30 mL/min 未満)を持つ患者の場合、最初の7日間は開始用量を減量して60 mgを1日1回、その後は90 mgを1日1回の投与が推奨されます。重度の腎障害を持つ患者の場合、ILD/肺臓炎を示している可能性がある呼吸器症状(例:呼吸困難、咳など)の新規発現または悪化につき、特に最初の週は密にモニタリングします。

小児集団: 18歳未満の患者でのALUNBRIGの安全性と有効性は確立していません。利用できるデータは存在しません。

重要な安全性情報(米国向け)

警告および注意

間質性肺疾患(ILD)/肺炎:肺については、間質性肺疾患(ILD)/肺炎と一致する重度/生命を脅かす/致命的有害反応がALUNBRIG投与で発現しています。ALTA試験(ALTA)で、ILD/肺炎が90 mg(90 mg 1日1回)投与群患者の3.7%、90→180 mg(90 mg 1日1回のリードイン期間7日間の後、180 mg 1日1回)投与群患者の9.1%で発現しました。ILD/肺炎の可能性がある疾患と一致する有害反応が患者の6.4%で早期段階(ALUNBRIG投与開始から9日以内、発現までの期間の中央値2日)に発現し、患者の2.7%でグレード3~4の反応が発現しました。特にALUNBRIG投与開始後の最初の1週間は、呼吸器症状(例:呼吸困難、咳等)の発現または悪化についてモニタリングします。呼吸器症状が発現または悪化した患者はすべてALUNBRIG投与を保留し、ILD/肺炎または呼吸器症状の他の原因(例:肺塞栓症、腫瘍進行、感染性肺炎)について直ちに評価を実施します。グレード1~2のILD/肺炎の場合、ベースラインまで回復した後に減量してALUNBRIG投与を再開するか、ALUNBRIG投与を永久的に中止します。グレード3~4のILD/肺炎の場合、またはグレード1~2のILD/肺炎が再発した場合は、ALUNBRIG投与を永久的に中止します。

高血圧症:ALTAで、高血圧症がALUNBRIG 90 mg投与群の11%、90→180 mg投与群の21%で報告されています。グレード3の高血圧症が患者全体の5.9%で発現しました。ALUNBRIG治療に先立ち、血圧を管理します。ALUNBRIG治療を開始して2週間後、その後の治療期間中は少なくとも毎月血圧をモニタリングします。最適な降圧療法にもかかわらずグレード3の高血圧症が発現した場合はALUNBRIG投与を保留します。重症度がグレード1まで回復した後、減量してALUNBRIG治療を再開します。グレード4の高血圧症、またはグレード3の高血圧症が再発する場合は、ALUNBRIG治療の永久的な中止を考慮します。徐脈を引き起こす降圧剤と併用してALUNBRIGを投与する場合は注意します。

徐脈:ALUNBRIG投与で徐脈が発現する場合があります。ALTA試験で、毎分50拍(bpm)未満が90 mg投与群の患者の5.7%、90→180 mg投与群の患者の7.6%で発現しています。グレード2の徐脈が90 mg投与群の患者1人(0.9%)で発現しています。ALUNBRIG治療期間中は心拍数と血圧をモニタリングします。徐脈を引き起こすことが判明している医薬品の併用が避けられない場合、患者のモニタリング頻度を高めます。症候性徐脈の場合はALUNBRIG投与を保留し、徐脈を引き起こすことが判明している併用薬の使用の有無を確認します。徐脈を引き起こすことが判明している併用薬が見つかり、投与を中断または投与量を調整した場合、症候性徐脈の消失後にALUNBRIG投与を同じ用量にて再開します。徐脈を引き起こす併用薬が見つからなかった場合、症候性徐脈が消失してからALUNBRIGの用量を削減します。生命を脅かす徐脈の場合、その要因となっている併用薬が特定されなければ、ALUNBRIGの投与を中止します。

視覚障害:ALTAで、かすみ目、複視、視力低下を含む視覚障害をもたらす有害反応がALUNBRIG治療を受けた患者で報告されており、割合は90 mg投与群で7.3%、90→180 mg投与群で10%となっています。90→180 mg投与群でグレード3の黄斑浮腫と白内障がそれぞれ患者1人で発現しています。何らかの視覚症状が現れたら報告するよう患者に助言します。重症度がグレード2以上の視覚症状が新規発現または悪化した患者では、ALUNBRIG投与を保留して眼科的評価を行います。グレード2ないしグレード3の視覚障害がグレード1の重症度またはベースラインまで回復した後、削減した用量にてALUNBRIG投与を再開します。グレード4の視覚障害の場合はALUNBRIG治療を永久的に中止します。

クレアチンホスホキナーゼ(CPK)上昇:ALTAで、クレアチンホスホキナーゼ(CPK)上昇がALUNBRIG投与を受けた患者で発現しており、割合は90 mg投与群で27%、90 mg→180 mg投与群で48%となっています。グレード3~4のCPK上昇の発現率は、90 mg投与群で2.8%、90→180 mg投与群で12%でした。CPK上昇による減量が90 mg投与群の1.8%、90→180 mg投与群の4.5%で行われました。原因不明の何らかの筋痛、圧痛、脱力を経験した場合は報告するよう患者に助言します。ALUNBRIG治療期間中はCPK値をモニタリングします。グレード3またはグレード4のCPK上昇の場合はALUNBRIG投与を保留します。CPK上昇が消失するかグレード1ないしベースラインまで回復した後、同じ用量または削減した用量にてALUNBRIG投与を再開します。

膵酵素の上昇:ALTAで、アミラーゼの上昇が90 mg投与群の患者の27%、90→180 mg投与群の患者の39%で発現しています。リパーゼの上昇が90 mg投与群の患者の21%、90→180 mg投与群の患者の45%で発現しています。グレード3ないし4のアミラーゼ上昇が90 mg投与群の患者の3.7%、90→180 mg投与群の患者の2.7%で発現しています。グレード3ないし4のリパーゼ上昇が90 mg投与群の患者の4.6%、90→180 mg投与群の患者の5.5%で発現しています。ALUNBRIG治療期間中はリパーゼとアミラーゼをモニタリングします。グレード3ないし4の膵酵素上昇の場合はALUNBRIG投与を保留します。膵酵素上昇が消失するかグレード1ないしベースラインまで回復した後、同じ用量または削減した用量にてALUNBRIG投与を再開します。

高血糖症:ALTAで、ALUNBRIGの投与を受けた患者の43%が高血糖症の新規発現または悪化を経験しました。ラボ検査による空腹時血清グルコース値の評価に基づくグレード3の高血糖症が患者の3.7%で発現しています。ベースラインで糖尿病または耐糖能異常を患っていた患者20人中2人(10%)がALUNBRIG投与期間中にインスリンの投与開始を必要としました。ALUNBRIGの投与開始に先立ち空腹時血清グルコース値の評価を行い、その後は定期的にモニタリングします。必要に応じ血糖降下薬の投与を開始するか投与量を最適化します。最適な医療管理によって高血糖の適切なコントロールが達成できない場合、高血糖の適切なコントロールが達成できるまでALUNBRIGの投与を保留し、ALUNBRIGの投与量削減か永久的中止を検討します。

胚・胎児毒性:動物における作用機序と知見に基づけば、ALUNBRIGは妊婦に投与した場合、胎児に害を及ぼす可能性があります。妊婦でのALUNBRIGの使用に関する臨床データはありません。妊婦に対しては胎児への潜在的リスクについて助言します。妊娠する可能性のある女性には、ALUNBRIG治療期間中および最後の投与後少なくとも4カ月間は有効な非ホルモン性避妊薬を使用するよう助言します。妊娠する可能性のある女性パートナーを持つ男性には、治療期間中およびALUNBRIGの最後の投与後少なくとも3カ月間は有効な避妊法を用いるよう助言します。

有害反応

重篤有害反応が90 mg投与群の患者の38%、90→180 mg投与群の患者の40%で発現しています。最も多く発現した重篤有害反応は肺炎(全体で5.5%、90 mg投与群で3.7%、90→180 mg投与群で7.3%)とILD/肺臓炎(全体で4.6%、90 mg投与群で1.8%、90→180 mg投与群で7.3%)でした。致死性の有害反応が患者の3.7%で発現し、その内訳は肺炎(患者2人)、突然死、呼吸困難、呼吸不全、肺塞栓症、細菌性髄膜炎、尿路性敗血症(それぞれ患者1人)でした。

90 mg投与群で最も多く発現した有害反応(25%以上)は悪心(33%)、疲労(29%)、頭痛(28%)、呼吸困難(27%)で、90→180 mg投与群では悪心(40%)、下痢(38%)、疲労(36%)、咳(34%)、頭痛(27%)でした。

薬物相互作用

CYP3A阻害剤:強力なCYP3A阻害剤とALUNBRIGの併用は避けます。グレープフルーツおよびグレープフルーツジュースもブリガチニブの血漿濃度を上昇させる可能性があるため避けます。強力なCYP3A阻害剤の併用が避けられない場合は、ALUNBRIGの投与量を削減します。

CYP3A誘導剤:強力なCYP3A誘導剤とALUNBRIGの併用は避けます。

CYP3A基質:ホルモン性避妊薬を含むCYP3A基質とALUNBRIGの併用は、CYP3A基質の濃度低下と効果消失をもたらす場合があります。

特定集団における使用

妊婦:ALUNBRIGは胎児に害を与える可能性があります。妊娠する可能性がある女性には胎児への潜在的リスクについて助言します。

授乳婦:ブリガチニブの母乳への排泄または母乳摂取乳児ないし母乳産生への影響に関するデータは存在しません。母乳摂取乳児における有害反応の可能性があるため、授乳中の女性にはALUNBRIGによる治療期間中は母乳を与えないよう助言します。

生殖能力を持つ男女:

避妊法妊娠する可能性のある女性には、ALUNBRIG治療期間中および最後の投与後少なくとも4カ月間は有効な非ホルモン性避妊薬を使用するよう助言します。妊娠する可能性のある女性パートナーを持つ男性には、治療期間中およびALUNBRIGの最後の投与後少なくとも3カ月間は有効な避妊法を用いるよう助言します。

不妊:ALUNBRIGは男性の生殖能力を低減させる可能性があります。

小児への使用:小児患者でのALUNBRIGの安全性と有効性は確立していません。

高齢患者への使用:ALUNBRIGの臨床研究では、高齢患者における効果が若年患者の場合と異なるかどうかを判断するのに十分な人数の65歳以上の患者が対象となっていません。ALTAに参加した患者222人のうち、19.4%が65~74歳で、4.1%が75歳以上でした。65歳以上の患者と若年患者との間で、安全性または有効性について、臨床的に意義のある差異は観察されていません。

肝障害・腎障害:軽度の肝障害または軽度から中等度の腎障害を持つ患者の場合、投与量の調整は推奨されていません。中等度から重度の肝障害または重度の腎障害を持つ患者に対するALUNBRIGの安全性については研究されていません。

ALUNBRIGの完全な処方情報(米国向け)についてはwww.ALUNBRIG.comをご覧ください。

武田薬品工業について

武田薬品工業株式会社は研究開発を駆使する世界的製薬企業として、科学の成果を生活に変革をもたらす医薬品に橋渡しすることで、患者の健康を改善して患者に明るい未来をもたらすことに真剣な努力を傾けています。武田薬品はその研究開発活動をオンコロジー、消化器系疾患、中枢神経系の各治療領域とワクチンに集中させています。武田薬品は革新の最前線に位置するため、研究開発を自社内および提携先との共同で実施しています。特にオンコロジーと消化器系疾患における革新的な新製品と、新興市場におけるプレゼンスが、武田薬品の成長を加速させています。武田薬品の3万人以上の従業員は、70カ国以上でヘルスケア分野の提携先と協力しながら、患者の生活の質を向上させることに懸命の努力で取り組んでいます。詳細情報についてはhttp://www.takeda.com/newsをご覧ください。

武田薬品の詳細情報については当社ウエブサイト(www.takeda.com)を、武田薬品工業株式会社のグローバルオンコロジービジネスユニットのブランドであるTakeda Oncologyの詳細情報については本ブランドのウエブサイト(www.takedaoncology.com)をご覧ください。

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