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武田薬品が新規に多発性骨髄腫と診断された患者で治験薬ixazomibによる単剤維持療法を検討した第2相試験のデータを発表

2014年12月18日 PM11:56
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サンフランシスコ

(ビジネスワイヤ) — 武田薬品工業株式会社(TSE:4502)は本日、導入療法としてixazomib、レナリドミド、デキサメタゾンを投与された多発性骨髄腫(MM)患者で経口薬ixazomib(MLN9708)による単剤維持療法の安全性と有効性を評価する非盲検第2相試験の結果を発表しました。本試験から得られた結果は、12サイクルのixazomib-レナリドミド-デキサメタゾンに続くixazomib単剤維持療法の潜在的な実行可能性を証明するもので、治療反応の向上と許容できる忍容性プロファイルを示しました。これらのデータは本日、米カリフォルニア州サンフランシスコで開催中の第56回米国血液学会(ASH)年次大会で発表されました。

米ミネソタ州ロチェスターにあるメイヨー・クリニックのShaji K. Kumar医師(MD)は、次のように述べています。「これらの結果は、経口治験薬となるプロテアソーム阻害薬ixazomibを単剤維持療法として使用することで、導入療法後の患者の治療反応を向上できる可能性を示すものです。このような薬剤が将来、維持療法で使用できることになれば、多発性骨髄腫患者の治療に重要な要素が加わることになるでしょう。」

武田薬品Oncology Therapeutic Area UnitのヘッドであるMichael Vasconcelles(M.D.)は、次のように述べています。「これらのデータは、経口プロテアソーム阻害薬としてのixazomibが、多発性骨髄腫の維持療法を検討する今後の臨床研究にとって重要な新薬となる可能性を示しています。実際、当社は最近、自家幹細胞移植後のixazomib単剤療法の潜在的利益を評価する第3相TOURMALINE-MM3試験への患者組み入れを開始しました。当社は本試験の患者組み入れとフォローアップが完了し、維持療法下でのixazomibの使用に関する重要な新情報が得られるようにしていきたいと思います。」

試験の第2相部分の主要な目的は、極めて良好な部分寛解[VGPR]または改善(完全寛解[CR]+VGPRと定義)を達成した患者の割合を調べることです。患者50人を第2相試験のコホートに組み入れ、導入療法としてixazomib、レナリドミド、デキサメタゾンを最長12回の28日サイクルにわたって投与しました。移植の候補となる患者は、6サイクル後に自家幹細胞移植(ASCT)を受けるため試験を中止することができるようにしました。ixazomibによる維持療法を継続した患者は、疾患増悪または許容できない毒性が現れるまで治療を継続できることとしました。ixazomibによる維持療法を受けた患者は全員、導入療法が奏功していました。導入相(サイクル1~12)に患者29人が試験での治療を中止しましたが、理由は主として自家幹細胞移植(ASCT)を受けるためです(14/50例)。その他の理由は有害事象(6/50例)、患者の治療離脱(4/50例)、疾患増悪(2/50例)、反応不十分(1/50例)、その他の要因(2/50例)でした。患者21人が導入療法を完了して試験の維持相へと進み、そこでixazomib単剤療法を中央値19回の治療サイクル(3~23回の範囲)にわたって受け、治療期間の中央値は29.0カ月(14.3~33.3カ月の範囲)でした。維持療法をいくらかでも受けた患者の試験における確認・未確認の全奏功率と追加的結果は、次のように報告されています。

  • CRまたは改善を達成したのは患者の52パーセント(11/21例)で、VGPRまたは改善を達成したのは患者の71パーセント(15/21例)でした。

    • 患者の48パーセントは維持療法中に反応を改善し(10/21例)、うち2人がVGPRからnear-CR(完全寛解に近い状態)(2/10例)、5人がVGPRからCR(5/10例)、1人がVGPRからsCR(厳密な完全寛解)(1/10例)、2人がCRからsCR(2/10例)へと改善しました。
  • 維持療法を開始した患者のPFS中央値は未到達です。
  • 患者の52パーセント(11/21例)はデータカットオフ後もixazomibによる維持療法を継続しました。
  • 最初の効果までの期間(≥PR)の中央値は0.99カ月(0.92~5.78カ月の範囲)で、最良効果までの期間の中央値は7.46カ月(1.02~24.74カ月の範囲)でした。ixazomibの平均相対用量強度は、導入相と維持相でそれぞれ95パーセントと89.5パーセントでした。
  • ixazomibによる維持療法を受けた患者は全員、試験登録から25.1~33.9カ月のフォローアップ後も生存していました。

ixazomib単剤による試験の維持療法中、有害事象を理由とする治療中止は1例もなく、試験中の死亡も1例も発生しませんでした。薬剤と関連したグレード3の有害事象は患者の14パーセントでixazomibによる維持療法中に報告され(3/21例)、その内訳は治験担当医の報告によれば低カリウム血症、血小板減少症、白内障がそれぞれ1件でした。薬剤と関連したグレード4の有害事象は維持療法中に1件も報告されませんでした。

  • 重篤AEは患者の19パーセントで維持療法中に報告され(4/21例)、その内訳はグレード3の急性心筋梗塞、グレード3の肺炎、グレード3の起立性低血圧症、グレード2の心室性期外収縮で、いずれも治療と無関係と判断されました。有害事象(神経痛、末梢神経障害)を理由にixazomibの用量削減を必要とした患者は2人のみでした。
  • 維持療法中における薬剤と関連した全グレードの有害事象は、下痢(43パーセント、9/21例)、悪心(19パーセント、4/21例)、四肢痛(14パーセント、3/21例)、貧血(10パーセント、2/21例)、皮膚および皮下組織の障害(10パーセント、2/21例)、頭痛(10パーセント、2/21例)、低カリウム血症(10パーセント、2/21例)、血小板減少症(10パーセント、2/21例)でした。

「前治療を受けていない多発性骨髄腫(MM)患者においてixazomibによる長期維持療法は忍容性があり、ixazomib-レナリドミド-デキサメタゾンによる導入療法後の治療反応を改善:第2相試験の結果」(“Long-Term ixazomib maintenance is tolerable and improves depth of response following ixazomib-lenalidomide-dexamethasone induction in patients (pts) with previously untreated multiple myeloma (MM): Phase 2 study results [Abstract #82]”)と題されたアブストラクトについて、米ミネソタ州ロチェスターにあるメイヨー・クリニックのShaji K. Kumar医師(MD)が口頭発表しました。

ixazomibについて

ixazomib(MLN9708)は経口治験薬としてのプロテアソーム阻害薬で、多発性骨髄腫(MM)、全身性軽鎖(AL)アミロイドーシス、その他の悪性腫瘍を対象に研究されています。ixazomibは2011年に米国および欧州の両方でMMを対象とする希少薬指定を、2012年に米国および欧州の両方でALアミロイドーシスを対象とする希少薬指定を受けています。経口プロテアソーム阻害薬として初めて第3相臨床試験に入っている医薬品です。4件の世界的な第3相試験が進行中で、TOURMALINE-MM1では再発性もしくは難治性のMMまたは再発性・難治性のMMを対象にレナリドミドおよびデキサメタゾンとの併用でixazomibとプラセボを比較検討しています。TOURMALINE-AL1では再発性/難治性のALアミロイドーシス患者を対象にixazomibおよびデキサメタゾンの併用を検討しています。TOURMALINE-MM2では新規にMMと診断された患者を対象にレナリドミドおよびデキサメタゾンとの併用でixazomibとプラセボを比較検討しています。TOURMALINE-MM3では導入療法と自家幹細胞移植の後で新規にMMと診断された患者を対象に維持療法としてixazomibとプラセボを比較検討しています。進行中の第3相試験の詳細情報についてはwww.tourmalinetrials.comwww.clinicaltrials.govをご覧ください。

武田薬品工業株式会社について

日本の大阪を拠点とする武田薬品は研究を基礎に据える世界的企業として、医薬品に力点を置いています。日本最大の製薬企業であり、業界の世界的リーダー企業の一角を占める武田薬品は、医薬品の革新をリードすることで世界中の人々の健康改善に真剣な努力を傾けています。武田薬品の詳細情報については、企業ウェブサイト(www.takeda.com)をご覧ください。

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