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米国における大規模多施設試験の結果は、大腸がん肝転移の治療におけるサーテックス製マイクロスフィア「SIRスフィア」の安全性・有効性を支持

2013年01月28日 PM07:25
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サンフランシスコ

(ビジネスワイヤ) — 米国臨床腫瘍学会の2013年消化器がんシンポジウムにて本日、転移性大腸がん患者を対象にマイクロスフィア「SIRスフィア」(SIR-Spheres®)を使用した選択的内部放射線療法(SIRT)の安全性と有効性を再確認する大規模多施設臨床研究の結果が発表されました1,2。データを発表したのは、筆頭研究者を務めたアンドリュー・S・ケネディ医師(M.D.、F.A.C.R.O.)で、ケネディ医師は米テネシー州ナッシュビルにあるサラキャノン研究所で放射線腫瘍学担当ディレクターを務めています。

サーテックスが製造するマイクロスフィア「SIRスフィア」は、大腸がん肝転移の治療用としてFDAから完全なPMA(市販前)承認を受けた唯一のマイクロスフィア放射線療法です。このマイクロスフィアは単独療法または全身化学療法との併用療法のいずれかにて、肝動脈経由で投与します。

ケネディ医師は次のように述べています。「これらの研究で私たちが目標としたのは、化学療法で既に奏功しなくなった患者にマイクロスフィア療法を施した場合の全生存期間、腫瘍縮小効果、安全性を評価することでした。今回の試験に参加した患者は、厳しい前治療を受けていて有効な治療選択肢を見つけるのが困難な患者でした。得られた結果は、腫瘍の縮小ないしコントロールや患者の生存期間延長にとってSIRTが果たす役割をより明確にする上で役立つはずです。」

米国における本多施設試験の概要

今回の医師主導型試験は後ろ向き研究として、米国の11施設で2002年7月から2011年12月までの間に、マイクロスフィア「SIRスフィア」による治療を受けた転移性大腸がん患者548人の転帰を調べました1。患者は全員、事前に化学療法を受けており、うち30%以上は事前に肝臓の手術またはアブレーションも受けていました。

研究論文の著者らは一次、二次、三次以降の化学療法を受けた患者の生存期間中央値がそれぞれ13.0、9.0、8.1カ月であったと報告しています。3群間で有害事象プロファイルに有意差は認められませんでした。患者の大半(97.8%)は病院で過ごした時間が24時間以内で、グレード3の最も多い副作用は腹痛(7%)と疲労感(6%)でした。著者らは結論として、マイクロスフィア「SIRスフィア」を使用したSIRTが、化学療法が失敗した転移性大腸がん患者に対し好ましいリスク/ベネフィット比を示すと考えられるとしました。これらのデータは、厳しい前治療を受けた患者を含め、化学療法に奏功しなかった患者において、生存期間の点で臨床的な意義のあることを示しています。

独立したイメージング研究でSIRTの有効性を確認

今回の研究における2件目の発表は、イメージングの観点からマイクロスフィア「SIRスフィア」治療の効果を実証するものでした2。研究では、マイクロスフィア「SIRスフィア」による治療を受け、ベースラインで測定可能な病変を持ち、イメージングによるフォローアップを受けた患者195人に対し、認定放射線科医が実施した独立中央判定の結果が示されました。3カ月後のRECISTに基づく腫瘍縮小効果は、患者の7.6%が部分奏効、47.3%が病状安定、45.0%が病状進行を示し、病勢コントロール率は55.0%という結果でした。3カ月後のRECISTに基づく効果から予測された生存期間中央値は、部分奏効患者が25.2カ月であるのに対して、病勢安定患者で15.8カ月、病勢進行患者で7.1カ月でした。

腫瘍周囲の浮腫と壊死が大きな割合で発見されるため、研究者らは3カ月後におけるSIRT療法の効果を解釈するには注意が必要であると指摘しました。イメージングにおけるこれら2つの所見によって、部分奏功・病勢安定に対する過小評価、または病勢進行に対する過大評価がもたらされる可能性があります。これらの注意点を考慮すれば、SIRT療法に対する肝臓の早期放射線反応からは、より長期の予後を予測できるように考えられます。

サーテックス・メディカルのMike Mangano社長は、次のように述べています。「転移性大腸がんの治療におけるSIRTの役割をさらに支持する科学的データが増えていますが、これらの研究結果もそうしたデータの新たな例となります。この特定の患者集団に関して言えば、成績は最近承認された多くの化学療法や生物学的製剤に匹敵し、全身療法が奏功しなくなった可能性のある患者に対し、別の選択肢を提供するものです。当社は、多様な患者集団でマイクロスフィアのSIRスフィアに関する研究を今後も続け、治療アルゴリズムのさらに早い段階で本療法を既存の化学療法に追加することを目指しています。SIRFLOX試験は、2013年第1四半期に患者組み入れを完了する見込みですが、肝臓がんのコントロールによって患者の寿命を延長し、生活の質を向上させるという希望の下で、この仮説を検証するものです。試験結果に期待しています。」

マイクロスフィア「SIRスフィア」を使用した選択的内部放射線療法について

放射線塞栓療法としても知られる選択的内部放射線療法(SIRT)は、手術不能の肝臓がんを対象とする実証済みの技術で、放射線を腫瘍部位に直接照射します。低侵襲療法にて何百万個という放射性マイクロスフィア「SIRスフィア」をカテーテル経由で肝臓に注入し、それらマイクロスフィアは肝腫瘍を選択的に標的化し、通常の放射線療法より最大40倍高い線量を内部照射します。健康な組織には害を及ぼしません。

臨床試験の結果から、SIRスフィアを使用した治療を受けた肝臓がん患者が、その他の治療手法と比較して高い奏功率を示し、結果的に平均余命の延長、腫瘍活性が見られない期間の増大、生活の質の向上を達成できることが証明されています。SIRTは単独の化学療法よりも肝腫瘍を縮小できることが判明しています。

SIRスフィアはオーストラリア、米国(FDAのPMA承認)、欧州連合(CEマーク)、アルゼンチン(ANMAT)で使用が承認されています。またSIRスフィアは香港、マレーシア、シンガポール、タイ、台湾、インド、イスラエル、トルコなどの国々で供給されています。SIRスフィアは500以上の治療センターで利用可能で、世界における投与回数は2万5000回以上に上ります。

詳細については、www.sirtex.comをご覧ください。

SIR-Spheres®はSirtex SIR-Spheres Pty Ltd.の登録商標です。

参考文献

1. Kennedy AS, Ball D, Steven J. Cohen SJ et al. Safety and efficacy of resin 90Y-microspheres in 548 patients with colorectal liver metastases progressing on systemic chemotherapy. ASCO Gastrointestinal Cancers Symposium 2013; Abs. 264.

2. Kennedy AS, Ball D, Steven J. Cohen SJ et al. Hepatic imaging response to 90Y-microsphere therapy administered for tumor progression during systemic chemotherapy in patients with colorectal liver metastases. ASCO Gastrointestinal Cancers Symposium 2013; Abs. 270.

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CONTACT

Fleishman-Hillard on behalf of Sirtex Medical
Elizabeth Romero,
919-457-0749
Elizabeth.Romero@fleishman.com

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