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エンタイビオ皮下注、活動期潰瘍性大腸炎の維持療法として国内で承認-武田薬品

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2023年03月28日 AM10:39

点滴静注製剤は潰瘍性大腸炎・クローン病ともに既承認

武田薬品工業株式会社は3月27日、「(R)皮下注108mgペン/同皮下注108mgシリンジ(一般名:(遺伝子組換え)、開発コード:MLN0002SC、以下、エンタイビオSC)」について、中等症~重症の潰瘍性大腸炎の維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)を効能・効果として、厚生労働省より製造販売承認を取得したと発表した。

潰瘍性大腸炎は最も代表的な炎症性腸疾患の一つで、再燃と寛解を繰り返す慢性の炎症が大腸粘膜に生じる進行性の疾患。現在、日本における潰瘍性大腸炎の患者数は約22万人と推定されている。よく見られる症状は、腹痛、腹部不快感、下痢時の出血あるいは排膿だ。潰瘍性大腸炎の病因については明らかになっていないが、最近の研究では、遺伝素因や環境要因に加え、腸内細菌抗原に対する異常な免疫応答といった様々な因子が関与する、多因子疾患と考えられている。

ベドリズマブは、消化管に選択的に作用する生物学的製剤であり、中等症~重症の潰瘍性大腸炎および活動期クローン病の治療および維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)を適応として点滴静注製剤が既に国内承認されていた。

同剤はα4β7インテグリンと特異的に拮抗し、α4β7インテグリンの腸粘膜アドレシン細胞接着分子-1(MAdCAM-1)への結合を阻害するが、血管細胞接着分子1(VCAM-1)への結合は阻害しないようデザインされたヒト化モノクローナル抗体。MAdCAM-1は消化管の血管およびリンパ節に選択的に発現している。一方、α4β7インテグリンは循環血液中の白血球サブセットに発現している。これらの細胞は、潰瘍性大腸炎とクローン病における炎症プロセスを調節するうえで重要な役割を果たしていることが明らかになっている。α4β7インテグリンを阻害することで、ベドリズマブはある種の白血球細胞が消化管組織へ浸潤することを制限できる可能性がある。

成人では1回108mgを2週間隔で皮下注射、時間や人員の削減が可能

今回の承認は、エンタイビオSCの維持療法としての有効性および安全性を評価した国際共同第3相臨床試験であるMLN0002SC-3027試験およびMLN0002SC-3030試験に基づくもの。

エンタイビオSCは通常、成人にはベドリズマブ(遺伝子組換え)として1回108mgを2週間隔で皮下注射する。皮下注射なので、点滴静注製剤で必要とされている薬液調製のための人員、器具、設備および時間の削減が可能となり、さらに、薬液調製時または投与時の過誤等のリスクを低減することが期待できる。また、点滴静注製剤と比較して簡便に取り扱うことができると考えられ、かつ投与1回あたりの所要時間も短くすることが可能だとしている。

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