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「心房細動の診断/管理は女性患者の方が難しい」、アジア・太平地域専門家の見解-J&J

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2022年12月07日 AM11:17

心房細動を有する女性は急速に増加し、大きな社会的・経済的負担になると予想

ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社は12月6日、米国Johnson & Johnson MedTechの一部門であるBiosense Webster, Inc.が11月に発表した「Atrial Fibrillation Exacts Toll on Women: Addressing the Gender Disparity in the Treatment and Management of Atrial Fibrillation in the Asia-Pacific Region(心房細動が女性に与える影響:アジア太平洋地域での心房細動の治療と管理における性差への提言)」と題する報告書を周知した。

心房細動は最も一般的な不整脈で、世界中で4000万人近くが罹患している。進行性の疾患で、治療せずに放置すると時間の経過とともに悪化したり、心臓病や脳卒中など他の深刻な合併症を引き起こしたりする可能性がある。心房細動の罹患率はこの数十年間、アジア太平洋地域全域で上昇しており、心房細動関連の入院も増加の一途をたどっている。2050年までに同地域の男性4900万人、女性2300万人が心房細動と診断されるようになると推定されている。同地域における高齢者人口の急増を背景に、心房細動を有する女性は急速に増加し、大きな社会的・経済的負担となることが予想される。

専門家の100%が、心房細動の疫学、診断、管理手法において性差を認めた

同報告書は、オーストラリア、中国、日本、シンガポールなど各地の専門家が、女性の心房細動ならではの特徴について問題提起し、同地域全体でその管理向上に向けた提言を行うもので、アジア太平洋不整脈学会(APHRS)でも支持された。主な知見は次の通りである。

女性は男性に比べ心房細動の発症年齢が高く、併存疾患が多くみられるほか、しばしば非定型的となる重度の症状を有することが多い。また女性は心房細動による脳卒中や死亡のリスクも高く、ペースメーカーを埋め込むことになる可能性も男性より高い。

非定型症状、心房細動の認知度の低さ、心房細動スクリーニングツールへのアクセスのしにくさといった要因が複合的に影響しあうことで、女性の心房細動患者の正確な診断難しさをもたらしている。

女性は男性に比べ、抗不整脈薬、(electric cardioversion)、カテーテルアブレーションなどの洞調律維持療法を勧められる可能性が低い。

また、報告書に参加した専門家に行ったアンケートの結果、全員が心房細動の疫学、診断、管理手法において性差を認めたことがわかった。

専門家の71%が、心房細動の正確な診断や管理は女性患者の方がより困難であると実感

報告書の知見として、次の点も挙げられている。

動悸よりも脱力感などの非定型的症状を示すことが多いため、正確な診断が困難であり、追加の臨床検査で初めて心房細動と診断されることもある。

デジタルテクノロジーを使って高度なスクリーニングを行う際も困難さを感じることがある(例えば女性患者がローションなどを使用していると電極の適切な装着の妨げになるケースなど)。

心房壁が薄い、体格が小さい、といった女性患者特有の病理や生物学的な差異が合併症のリスクを高める可能性があり、こうした患者の管理の難しさや、アプローチを調整する必要性についても強調された。

また、同様のアンケートにより、71%が「心房細動の正確な診断や管理は女性患者の方がより困難である」と実感し、43%が「患者の性別に応じて心房細動の管理手法を調整している」こともわかった。

性差への対応に向けて4つの提言

心房細動を有する女性の臨床アウトカムを改善するために、患者・医療従事者の視点や医療システムを連携させた総合的なアプローチの必要があるという点でも専門家の意見が一致したため、性差への対応に向け、以下のような提言も報告書に盛り込まれている。

・心房細動の危険因子と早期診断・治療の重要性に対する意識の向上
・高齢女性に対するモバイルヘルス(mHealth)技術の利用、継続のサポート
・性別に関連した差異を評価するため、主要な臨床試験で男女を公正に入れるよう推奨
・心房細動の疫学、症状、臨床経過における性差への理解を深め、女性患者の状況に応じた個別戦略を立てることを推進

経験に基づくエビデンスを踏まえた上で、詳細な検討が必要

同報告書の参加者であるシンガポール国立心臓センター(National Heart Canter Singapore)循環器科シニアコンサルタントDr. Kelvin Chua氏は、「議論の中で、多くの女性患者の非定型症状や、侵襲的な治療を避けたり熟考したりする傾向、また自らの治療の優先順位を下げてしまう傾向について着目した。こうした経験に基づくエビデンスを踏まえた上で、心房細動を有する女性のQOL向上に向けて、性差への理解をさらに深められるようより詳細に検討していく必要がある」と、述べている。

また、Johnson & Johnson MedTech アジア太平地域 カーディオバスキュラー スペシャルティ ソリューションズ バイスプレジデントの山本英右氏は、「心房細動を有する女性の患者さんが経験する一連の医療プロセスを向上させるには、全関係者が協力的なアプローチをとる必要があります。不整脈の診断と治療を支える科学とテクノロジーのグローバルマーケットリーダーとして、当社はイノベーション、パートナーシップ、そして啓発活動を通じた患者さんのアウトカム向上に取り組んでいる。この目標に向かって、本報告書が、性別を問わず全ての心房細動の患者さんに公正性をもたらす一助となるよう願っている」と、述べている。

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