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キサンタンガム系とろみ調整食品で食後血糖上昇抑制、ラットモデルで-東京医歯大ほか

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2022年11月24日 AM10:41

キサンタンガム系とろみ調整食品、食後血糖や腸内細菌叢への影響は?

東京医科歯科大学は11月18日、誤嚥防止に用いられている「キサンタンガム系とろみ調整食品」が食後血糖の上昇を抑制し、長期摂取により回腸の糖・脂質代謝関連遺伝子発現量、腸内細菌叢を変化させることを明らかにしたと発表した。この研究は、同大大学院医歯学総合研究科 歯周病分野の片桐さやか准教授、同大学摂食嚥下リハビリテーション学分野の戸原玄教授、中川量晴准教授、長澤祐季大学院生らの研究グループと、同大認知神経生物学分野の上阪直史教授、 総合医科学研究センター 分子遺伝学研究部の廣田朝光准教授との研究グループによるもの。研究成果は、「Journal of Functional Foods」オンライン版に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

高齢者や嚥下障害者が誤嚥を防止するために、日常的にキサンタンガム系とろみ調整食品を摂取することは少なくない。キサンタンガム系とろみ調整食品には、水溶性食物繊維であるキサンタンガムが含まれている。過去の研究から、水溶性食物繊維が食後血糖の上昇を抑制させることが明らかになっている。しかし、キサンタンガム系とろみ調整食品の食後血糖への影響、長期的な摂取が腸管や腸内細菌叢にどのような影響を及ぼすかはこれまで明らかにされていなかった。

キサンタンガム系とろみ調整食品が、ラットの血糖値上昇を抑制

研究グループは、キサンタンガム系とろみ調整食品を長期摂取した後の食後血糖への影響、腸管での遺伝子発現や腸内細菌叢の変化について評価するため、粉末状のキサンタンガム系とろみ調整食品を生理食塩水に溶解し、ラットに5週間摂取させた。摂取開始から4週後に、血糖値への影響を調べるため、経口グルコース負荷試験を行った。

その結果、キサンタンガム系とろみ調整食品を摂取させたラットの血糖値の上昇は抑制されることがわかった。

とろみ調整食品の摂取でGlp1遺伝子発現量が増加、腸内細菌叢も変化

また、5週後に胃、十二指腸、空腸、回腸の各消化管を採取し、糖尿病治療のターゲットでもあり、インスリン分泌に重要である「1」の遺伝子発現量を、qPCR法を用いて解析したところ、とろみ調整食品の摂取が回腸のGlp1遺伝子発現を増加させることが明らかになった。

次に、次世代シークエンシングを用いて回腸の遺伝子発現と腸内細菌叢の網羅的な解析を実施。回腸の発現変動遺伝子は25個検出され、その中で、キサンタンガム系とろみ調整食品を摂取したラットではGlp1rの遺伝子発現量が上昇していることが示された。

さらに、キサンタンガム系とろみ調整食品の摂取によって、腸内細菌叢にも変化が見られ、このうちErysipelotrichales目とChristensenellaceae科は、回腸のGlp1およびGlp1rの遺伝子発現と強い正の相関があることが明らかになった。

キサンタンガム系とろみ調整食品の摂取が「糖・脂質代謝」を改善する可能性

今回の研究により、誤嚥防止に用いられるキサンタンガム系とろみ調整食品によって食後血糖の上昇が抑制されることが、動物モデルで明らかにされた。また、長期摂取により、回腸の糖・脂質代謝関連遺伝子発現量、腸内細菌叢の変化が起こることが、次世代シークエンシングの網羅的解析で証明された。

「得られた知見から、キサンタンガム系とろみ調整食品の摂取が糖・脂質代謝を改善する可能性が示唆され、今後の臨床応用が期待される」と、研究グループは述べている。

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