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歩数計を身に着けている人の歩数は、身に着けてない人より増える、なぜ?-米研究

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2022年10月14日 PM12:00

歩数計を身に着けているだけで運動量が増える

歩数計を身に着けている人は、たとえ特定の目標や動機がなくても、また自分で歩数を確認できない状況であっても、身に着けていない人に比べて1日の歩数が増えることが、新たな研究で明らかにされた。米ブリガムヤング大学教授のWilliam Tayler氏らが実施したこの研究の詳細は、「American Journal of Health Behavior」9月4日号に掲載された。


画像提供HealthDay

今回の研究では、90人のiPhoneユーザーにアプリケーション(アプリ)をダウンロードしてもらった。iPhoneにはデフォルトで歩数を測定する機能が備わっていて、このアプリは、試験開始前のものも含めた歩数情報を追跡するためのものであったが、参加者にそのことは伝えられなかった。Tayler氏は、「ばれないように、必要なデータをこっそり収集させてもらった」と振り返る。

参加者は、30人ずつ3つの群にランダムに割り付けられた。3群のうちの2群には、画面表示のない歩数計(Mi Band)を2週間、常に身に付けることを求めた。歩数計を身に着ける目的は歩数測定ではなく、歩数測定に対する意識を誘導することだった。2群のうちの1群(歩数意識群)にはそれ以上の説明をせず、もう1群(歩数意識+記録群)にはMi Bandと同期できるアプリをインストールし、そのアプリで毎晩、1日の歩数を確認して記録するよう求めた。残る1群は対照群で、最初に人口統計学的なデータを集めた後は、2週間後に研究室に来るよう指示を出しただけだった。

2週間後に、iPhoneから歩数データを取得して分析した。その結果、介入期間中の1日当たりの平均歩数は、対照群と比べて、歩数意識群で418.7歩、歩数意識+記録群で317.8歩多かったが、いずれも統計的に有意ではなかった(P>0.05)。しかし、歩数意識群と歩数意識+記録群を組み合わせた場合には、対照群よりも388.3歩多くなり、これは統計的に有意であった(P<0.05)。

Tayler氏は、「人は何かを測定されていると、それを重要だと感じるため、それに対応しようとする傾向がある。アップルウォッチやフィットビットを自分で買う人の場合、たくさん歩こうという目標があってその機器を入手するのだから、当然、行動に影響する。しかし、歩こうと思っていなくても、歩数を測定されていると思うだけで活動量が増えると知っておくことは有用だ」と話す。

論文の共著者である同大学のChristian Tadje氏は、「測定と追跡があって改善がある。われわれの研究から、職場での重要な業績評価指標や個人の健康目標など、何かを向上させたいのなら、その進捗の追跡を検討すべきことが示された」と述べている。

研究グループは、運動量が少し増えるだけでも累積的な効果を見込めるため、公衆衛生の促進を図る立場の人にとってもこの知見は有用であるとの見方を示している。Tayler氏は、「私が保険会社の幹部なら、加入者にフィットネストラッカーを配ってその効果を知りたいと思う。それを身に着けている限り、歩数が増えるはずだ」と話している。(HealthDay News 2022年9月30日)

▼外部リンク
The Effect of Wearable Activity Monitor Presence on Step Counts

HealthDay
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Photo Credit: Adobe Stock
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