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コロナ罹患後の血栓症リスク、1年経過後でもハイリスクー英4800万人のデータ解析

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2022年10月06日 PM02:15

COVID-19罹患から約1年後も血栓症ハイリスク

)罹患に伴う血栓症リスクの上昇は、約1年近く経過後も有意であるとする、英ケンブリッジ大学のAngela Wood氏らの研究結果が、「Circulation」に9月19日掲載された。研究の共同リーダーの一人であるWood氏は、「入院を要した患者だけでなく、非入院患者でも有意なリスク上昇が認められた。個人レベルではわずかなリスクではあるが、患者数の母数が大きいことから社会全体への影響は相当なレベルとなっている可能性があり、血栓イベント予防戦略の確立が重要と考えられる」と述べている。


画像提供HealthDay

パンデミックの比較的早い段階から、COVID-19罹患に伴い血栓症リスクが上昇するという研究データが報告されていた。しかしそれらの研究は主として入院を要する重症患者を対象としており、軽症患者での血栓症リスクは明らかでなく、また罹患から長期間経過後のリスクも不明だった。軽症患者や遠隔期の血栓症リスクを把握するため、Wood氏らは、2020年1月1日~12月7日のイングランドとウェールズの成人約4800万人の電子カルテ情報を用いた解析を行った。

イングランド(総数4496万4,486人)では、COVID-19による入院患者が11万8,879人(10万人あたり264人)、外来患者(診断後28日以内に入院の記録がないCOVID-19患者)が124万8,180人(同2,776人)記録されており、ウェールズ(総数261万5,854人)は同順に、7,106人(10万人あたり272人)、7万1,606人(同2,737人)記録されていた。

血栓症リスクの解析に際しては、COVID-19診断の記録がない群を基準として、影響を及ぼし得る因子(年齢、性別、人種/民族、地域、喫煙習慣、降圧薬・脂質低下薬・抗血小板薬・抗凝固薬の処方、ホルモン補充療法、大手術後1年以内など)を最大限に調整した。その結果、血栓症のリスクはCOVID-19診断直後が最も高く、経時的に低下するものの、約1年経過後にも有意にハイリスクであることが明らかになった。

具体的には、動脈血栓症(心筋梗塞や虚血性脳卒中など)は、COVID-19診断後1週間は約22倍リスクが高く〔ハザード比(HR)21.7(95%信頼区間21.0~22.4)〕、診断後27~49週では34%ハイリスクだった〔HR1.34(同1.21~1.48)〕。また、静脈血栓症(肺塞栓症や深部静脈血栓症など)は、診断後1週間は約33倍リスクが高く〔HR33.2(31.3~35.2)〕、診断後27~49週では80%ハイリスクだった〔HR1.80(1.50~2.17)〕。

全体的にCOVID-19治療のために入院を要した患者の方がハイリスクであり、外来患者の血栓症リスクは低かったが、それでもCOVID-19と診断されていない患者よりは、リスクの高い状態が長期間続くことも明らかになった。例えば、入院を要さなかったCOVID-19患者の診断後27~49週の動脈血栓症はHR1.21(1.05~1.40)、静脈血栓症はHR1.77(1.38~2.27)であり、いずれも有意にハイリスクだった。

Wood氏とともに本研究を主導した、英国立健康研究所などに所属しているJonathan Sterne氏は、「COVID-19罹患の直後の血栓症リスクが極めて高く、その後は急速にリスクが低下するものの、長期間にわたり高リスク状態が続くことが分かった。これは、われわれがようやく実態を理解し始めたlong COVIDの一面を浮き彫りにするものと言える」と述べている。同氏らは、「ハイリスク患者に対する個別介入によって、深刻な血栓症の発症を抑制できる可能性がある」と述べている。また、本研究はデルタ株やオミクロン株の出現前、かつワクチン接種が行われる前に実施されたことから、「現在、ワクチン接種後の新たな変異株感染時の血栓症リスクを調査中」とのことだ。(HealthDay News 2022年9月23日)

▼外部リンク
Association of COVID-19 With Major Arterial and Venous Thrombotic Diseases: A Population-Wide Cohort Study of 48 Million Adults in England and Wales

HealthDay
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