医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 海外 > 若者の「一人飲み」が、将来のアルコール使用障害発症と関連-女性でより強固

若者の「一人飲み」が、将来のアルコール使用障害発症と関連-女性でより強固

読了時間:約 2分18秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2022年07月25日 PM05:00

若者の一人飲みは後年のアルコール使用障害につながりやすい

人生の早い段階からアルコールを一人飲みするという習慣が、将来的にアルコール使用障害()につながることが多いとする研究結果が報告された。米カーネギーメロン大学のKasey Creswell氏らの研究によるもので、詳細は「Drug and Alcohol Dependence」に7月11日掲載された。特に女性において強固な関連が認められたという。


画像提供HealthDay

アルコールの乱用によって世界中で年間300万人以上の死者が発生しているとされる。以前から飲酒問題を研究してきたCreswell氏は、「飲酒習慣のある若者の多くは誰かと一緒に飲むことが多い。しかし、一人で習慣的に飲酒している若者も一部に存在する。孤独な飲酒は、将来のAUD発症の強力なリスク因子だ」と語る。同氏らの研究によると、AUDのよく知られたリスク因子である頻繁な飲酒、大量飲酒、経済状況、性別などを調整後も、若年者の一人飲みが後年のAUD発症に強く関連していることが分かった。

Creswell氏らの研究は、米国における全国規模の17年間にわたる若年者対象縦断研究(Monitoring the Future研究)のデータを前向きに解析して行われた。18歳の4,464人(青年群)と、23~24歳の4,561人(若年成人群)に飲酒習慣を質問。青年群の約4分の1(27.4%)と若年成人群の約4割(40.2%)に一人飲みの習慣が認められた。

35歳時点まで追跡し、米国精神医学会の診断基準(DSM-5)に準拠した質問によってAUDに当てはまるか否かを判定した。その結果、一人飲み習慣のあった青年群の32.8%、若年成人群の31.1%がAUDと判定された。交絡因子を調整後、青年群の中で一人飲み習慣のあった人のAUDは、その習慣のなかった人に比べて35%〔調整オッズ比(aOR)1.35(95%信頼区間1.12~1.62)〕、若年成人群では60%〔aOR1.60(同1.34~1.90)〕それぞれ有意に多かった。性別に解析すると、男性は有意性が消失したが(aOR1.08、P=0.525)、一方で女性ではより強固な関連が認められた(aOR1.86、P<0.001)。

この結果を基に著者らは、「青年期および若年成人の一人飲みは、他のリスク因子の有無にかかわらず後年のAUD発症と有意な関連がある。特に女性の孤独なアルコール摂取がハイリスクと考えられる。AUDリスクの高い対象を絞り込んだ上で、教育的な介入を行うことが望まれる」と述べている。

Creswell氏によると、医師がティーンエイジャーの危険な飲酒行動を把握しようとするとき、飲酒頻度と飲酒量の質問は一般的に行っているという。しかし、誰かと一緒に飲むか、それとも一人で飲むことが多いかという点を質問する医師は限られており、将来のAUDリスクを把握しきれていない可能性があるとのことだ。また、「新型コロナウイルス感染症のパンデミックに伴い、人々のうつや不安のレベルが高まっており、今後アルコール関連の問題が増えてくる可能性が非常に高い」と、注意を喚起している。(HealthDay News 2022年7月12日)

▼外部リンク
Solitary alcohol use in adolescence predicts alcohol problems in adulthood: A 17-year longitudinal study in a large national sample of US high school students

HealthDay
Copyright c 2022 HealthDay. All rights reserved.
※掲載記事の無断転用を禁じます。
Photo Credit: Adobe Stock
このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 海外

  • 大腸がんの血中ctDNAによる検出精度は83%、前がん病変の検出能は低い-米研究
  • 一部のクジラ類で閉経があるのは、子どもや孫の生存を助けるため?
  • ショートスリーパーは健康的な食習慣でも2型糖尿病の発症リスクが高くなる
  • GLP-1受容体作動薬使用者の56%で術前に多量の胃残留物、GL推奨の絶食時間は不十分?
  • 世界の肥満人口がついに10億人突破か、小児でも1億5000万人以上と推定-英研究