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ビールやノンアルコールビールが、男性の「腸内細菌」に与える意外な影響

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2022年06月27日 PM02:30

ビールは男性の腸内細菌叢に良い?

ビールが男性の腸内細菌叢に良い効果をもたらす可能性のあることを示す、小規模な研究の結果が報告された。(ポルトガル)のAna Faria氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of Agricultural and Food Chemistry」に6月15日掲載された。


画像提供HealthDay

この研究では、健康な男性22人(解析は19人)を無作為に2群に分け、1群にはアルコール度数5.2%のラガービール330mL、他の1群にはノンアルコールビールを同量、夕食時に飲んでもらった。介入期間は4週間で、介入前後に血液と糞便の検体を採取した。その解析の結果、両群ともに、腸粘膜のバリア機能のマーカーである糞便アルカリホスファターゼ活性が上昇するとともに、腸内細菌叢の多様性が向上したことが確認された。体重や体脂肪量の増加はなく、心血管代謝マーカーに有意な変化は生じなかった。

腸内細菌叢は腸に生息している細菌の集まりのことで、近年の研究によって、代謝や免疫能などの健康維持に重要な多くのプロセスと関連のあることが分かってきている。腸内細菌叢の組成は、遺伝的背景、健康状態、ストレス、薬剤(特に抗菌薬)など、多くの因子の影響を受けて変化する。ただし、食事が最も重要な要素と考えられている。

一般に腸内細菌叢の多様性が大きいほど、健康に良いとされる。過去の研究から、地中海食のような野菜、豆、穀物、ナッツ、魚が豊富な食事や、ヨーグルトやキムチなどの発酵食品は、腸内細菌叢の多様性を高める可能性が示されている。Faria氏らは、麦芽を発酵させて作るビールにも同じような効果があると考えて、今回の研究を行った。またビールには、腸内細菌叢に影響を与える可能性のある植物性化合物のポリフェノールも含まれている。研究結果から上述のように、ビールやノンアルコールビールには、糞便アルカリホスファターゼ活性や腸内細菌叢の多様性を高める働きがあることが示された。Faria氏は、「これらの評価指標は腸機能の良いマーカーと考えられる」と述べている。

一方、本研究には関与していない米ノースフロリダ大学ジャクソンビル校のLauri Wright氏は、この研究結果の早急な解釈に注意を促す。同氏は、「食物の体への影響を観察する研究は全て有用である。ただし、食生活全体を評価することが重要だ。さらに、どのような食べ物や飲み物であっても、腸内細菌叢への影響を上回る作用を体にもたらす。今回報告された短期間の介入試験の結果を基に、腸への影響が健康管理上のメリットにつながると判断することはできない」と言う。それよりも、一般的な食事の質に焦点を当てることを、同氏は推奨する。「毎日ビールを飲むのではなく、高度に加工された食品を避け、果物や野菜を含む栄養豊富な自然食品をより多く摂取した方が良い」とのことだ。

米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のEmeran Mayer氏も、「この研究はサンプル数が少なく、腸内細菌叢の機能性の詳細な検討を行っていない」と研究の限界点を指摘する。ただし、「ビールが腸の健康をサポートする可能性を否定するものではない」とも述べている。同氏は、「ビールの香りと苦味のために醸造時に用いるホップは、健康上のメリットに関連している。そのメカニズムの一つが腸内細菌叢の変化によるものなのか否か、興味深い点だ」という。

Mayer氏はまたWright氏の主張にも同意し、「健康的な食習慣を維持することが先であって、ビールを飲んで健康になろうとする考え方は正しくない」と述べている。加えて、「たとえビールが腸内細菌叢へ良い影響をもたらすとしても、それを都合の良い“言い訳”としてビールを飲む人が現れないか心配だ」とも語っている。(HealthDay News 2022年6月16日)

▼外部リンク
Impact of Beer and Nonalcoholic Beer Consumption on the Gut Microbiota: A Randomized, Double-Blind, Controlled Trial

HealthDay
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