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空間飛沫除菌装置「eLENA Lin」を開発、ウイルスを5分で99%程度不活化-近大ほか

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2022年03月14日 AM11:15

飛沫を吸引し、ウイルスを捕集して紫外線LEDで不活性化

近畿大学は3月11日、人と人が対面する空間を除菌する空間飛沫除菌装置「eLENA Lin(エレナリン)」を開発したことを発表した。この開発は、同大医学部放射線医学教室放射線腫瘍学部門の門前一教授を中心とした”オール近大”新型コロナウイルス感染症対策支援プロジェクトと、フジデノロ株式会社が共同で行ったものだ。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

同装置は、拡大する新型コロナウイルス感染症に対して、換気が十分になされている場所ではクラスターの発生が少ないことに着目し、対面空間において空気を吸入してウイルスを捕集できれば感染拡大を緩和できるのではないかという仮説のもと、開発された。対面空間内において呼気や会話、・くしゃみで発生する飛沫を吸引し、ウイルスを捕集して紫外線LEDで不活性化させる機能を搭載している。

暗室のクリーンルーム内で、人の口からの細かな飛沫を模した煙を放出し、吸引テストを行った。その結果、空間飛沫除菌装置がある場所では、煙を90%程度低減できることを確認した。霧吹きを用いて、大きな飛沫を模したミストを放出した吸引テストでも、ミストを90%程度低減できたという。また、紫外線LEDにより、フィルタに捕集されたウイルスが5分間で99%程度不活化することも検証した。これらの結果から、装置から排出される空気が安全であることも示し、新型コロナウイルス感染症拡大対策としての有用性を確認した。

産学連携が融合した「eLENA Lin」のさまざまな場面での活躍に期待

門前一教授は、次のように述べている。「コロナ禍での食事の場面ではアクリル板が邪魔で会話しづらく、またマスクを付けての食事は難しい状況だ。コロナで意気消沈されている方々の一助となるような方策はないのか?と門外漢ながら思いを馳せた。私は作業環境測定士の国家資格を持っており、有毒なガスや揮発した放射線の挙動や気流などのデータから汚染状況を把握、またそれらを捕集するノウハウを持っている。その知識と医学的見地、そして産学連携が融合して空間飛沫除菌装置「eLENA Lin」の開発・販売に至った。特に難渋したことは、ウイルスを捕集するフィルタの開発・選択だった。可搬型装置にて、空気を吸引する力・量を担保したまま、吸引音を小さくする工夫が必要だったことである。本機がさまざまな場面で活躍し、日常、そして人々の笑顔が取り戻せる一助となることを切に願っている」。

サイズは345mm×228mm×115mm、重量は1.84kg、価格は9万円(税別)、3月28日から販売開始予定としている。

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