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視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)、新薬登場でステロイド長期投与の課題克服となるか

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2022年03月04日 PM01:00

中島氏、「疾患の再発ごとに障害が蓄積するため、再発予防が重要」

中枢神経系の自己免疫疾患である視神経脊髄炎スペクトラム障害()の治療では、ステロイド薬を長期的に内服する必要があることから、糖尿病や骨粗鬆症などさまざまな副作用として発現することが課題の1つとなっている。東北医科薬科大学の中島一郎氏(老年神経内科学)は2021年11月10日にNMOSDの治療について講演し、モノクローナル抗体製剤など新たな治療薬の登場により、「ステロイドによる弊害を抑えつつ、NMOSDの再発予防できるようになる可能性がある」と話した。

セミナーは製薬会社の田辺三菱製薬が、中枢神経系の自己免疫疾患である視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)治療薬として抗CD19モノクローナル抗体製剤「ユプリズナ点滴静注100mg」(一般名:〈遺伝子組換え〉)の発売を記念して開かれた。

NMOSDは重度の視神経炎と横断性脊髄炎を特徴とし、再発を繰り返す疾患で、眼の痛みや失明、重度の筋力低下、麻痺などを引き起こす1)。国内の患者数は4290人と推計2)されており、抗AQP4抗体陽性のNMOSDでは女性患者が9割を占める3)。NMOSDについて国は、医療費助成の対象となる指定難病に定めている。

治療について中島氏は、「NMOSDは再発ごとに障害が蓄積するため、再発予防が重要だ」と強調した。また、急性期の治療ではステロイドパルス療法、再発予防でも経口ステロイド薬を用いることから、「使用するステロイドの量は決して少なくないため、生涯にわたって服用を続けることでさまざまな弊害がでる」と指摘。ステロイドの長期投与によって引き起こされる副作用や、副作用対策として多くの内服薬が必要になることを問題視した。

ユプリズナは、抗体を産生するB細胞に発現するCD19というタンパク質に結合し、CD19陽性B細胞を循環血液中から速やかに除去してNMOSDの再発を予防する、新規メカニズムによるNMOSD治療薬で、2021年6月に発売を開始した。同薬は自己抗体である抗アクアポリン4(AQP4)抗体陽性の患者に投与することが認められている。

将来的には、各モノクローナル抗体製剤の使用基準がガイドラインに記載か

セミナーでは、ユプリズナ承認の根拠のひとつとなった第2、第3相国際共同臨床試験の結果も改めて報告された。試験は多施設共同無作為化プラセボ対照二重盲検比較試験で、NMOSD患者231例を対象に、NMOSD発作の軽減に対するユプリズナの有効性を評価することを目的として実施したもの。

試験結果によると、抗AQP4抗体陽性患者のうち再発しなかった患者の割合は、プラセボ群で56.6%だった一方で、ユプリズナ群では87.6%と、ユプリズナ群で再発予防効果が確認された。副作用は、無作為化比較期間にユプリズナの投与を受けた174例中41例で認められた。具体的には、注入に伴う反応(15例)、吐き気(4例)、貧血、リンパ球減少症、好中球減少症、頭痛がそれぞれ3例などだった。重篤な副作用としては、異型肺炎、霧視が各1例だった。死亡例は認められなかった。

中島氏はユプリズナについて、「投与間隔が半年に1回であり、患者にとって利便性が高い」と指摘した。また試験結果を踏まえ、「今後、ステロイドの使用を控えた治療ができるようになるかもしれない」と期待を表明。将来的には、各モノクローナル抗体製剤の使用基準がガイドラインに盛り込まれる可能性も示唆した。

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