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患者と外科医の性別が異なると転帰に影響?-カナダの報告

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2021年12月23日 PM02:45

女性患者を男性外科医が手術すると転帰不良になりやすい

女性患者の手術を男性の外科医が担当すると、転帰不良のリスクが高くなる可能性を示すデータが報告された。マウント・サイナイ病院()のChristopher Wallis氏らの研究によるもので、詳細は「JAMA Surgery」に12月8日掲載された。


画像提供HealthDay

この研究では、カナダのオンタリオ州で待機手術または緊急手術を受けた18歳以上の成人患者の術後転帰を、患者と外科医の性別との関係から解析した。2007~2019年に132万108人の患者に対し、2,937人の外科医による手術が行われていた。このうち60万2,560件は、外科医との性別が一致し(双方男性のケースが50万9,634件、双方女性のケースが9万2,926件)、71万7,548件は不一致だった(女性外科医による男性患者の手術が5万269件、男性外科医による女性患者の手術が66万7,279件)。

手術に伴う合併症の発症、、術後30日以内の死亡を複合エンドポイントとして評価した結果、18万9,390人(14.9%)の患者にいずれかの記録が認められた。そして、患者と外科医の性別が異なる場合、これらの複合エンドポイントの有意な増加が認められた〔調整オッズ比(aOR)1.07(95%信頼区間1.04~1.09)〕。有害転帰を個別に検討した場合も、合併症の発症〔aOR1.09(同1.07~1.11)〕、術後30日以内の死亡〔aOR1.07(同1.02~1.13)〕で有意なオッズ比上昇が認められた。再入院に関しては有意でなかった〔aOR1.02(同0.98~1.07)〕。

サブグループ解析の結果、これら有害転帰の増加は、男性外科医が女性患者を手術していたケースで発生しており、女性外科医が男性患者を手術していたケースでは有意なリスク上昇は認められなかった。

この結果についてWallis氏は、「患者と外科医の性別の不一致により転帰への影響が生じる原因はいまだ不明であり、本研究はその原因を解き明かすような研究デザインでない」と断った上で、既報研究からの考察を述べている。具体的には、女性医師は患者からより多くの情報を引き出そうとする傾向があり、その結果、全般的に予後が良好となる可能性があることが示されているとして、「今回の研究結果もその観察研究の裏付けの一つと言えるのではないか」と語っている。

本研究はカナダで実施された。しかしWallis氏によると、「この結果は他の国にも当てはまる可能性が高い」という。そして、「患者は、コミュニケーションが取れていて信頼できる外科医を探すべきではないか」と述べている。

米フロリダ大学のAmalia Cochran氏は、本論文に対する付随論評を寄せている。その中で同氏は、「この研究結果は、外科医と患者の性別の不一致による予後への潜在的な影響という、考慮すべき新たな視点を示した」と評価。ただ、「女性外科医の絶対数は男性外科医に及ばない」と、事態の解決は一筋縄でいかない点を指摘している。米国では既に医学部生のほほ半数を女性が占めているものの、一般外科医に占める女性の割合は2019年時点で22%にとどまっているという。

本研究には関与していない、米マサチューセッツ総合病院のCassandra Kelleher氏は、「今回報告された結果はおそらく、男性外科医と女性外科医とで手術そのもののスキルが異なることを示すものではない」と述べている。同氏は患者と外科医の性別の不一致による転帰への影響は、「手術後の患者に耳を傾ける姿勢や、家族や介護者を治療に参加させる手法、あるいは看護師から懸念が報告された際の対応など、わずかな違いにより発生したものではないか」と推測。

一方で、「男性外科医と良好な信頼関係を築いて手術を受ける女性患者もいるだろう。要は、そのような良好な関係の下で手術が施行されることが、性別の一致よりもずっと重要と考えられる」と同氏は強調。そして、「術後転帰の差の解消に向けて、全ての外科医に、コミュニケーションスキルを高め、リスク評価を徹底することが求められている」と付言している。(HealthDay News 2021年12月13日)

▼外部リンク
Association of Surgeon-Patient Sex Concordance With Postoperative Outcomes

HealthDay
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