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小児がん治療「2000年を境に、多くの腫瘍で治療成績が向上」

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2021年12月23日 PM04:00

7~8割の小児がんが治癒

小児がん治療の現状と課題について、神奈川県立こども医療センターの後藤裕明氏(小児がんセンター血液・腫瘍科部長)は10月19日、製薬会社のバイエル薬品が開催したセミナーで講演した。後藤氏は小児がん治療の進歩について「2000年を境に、多くの腫瘍で治療成績が向上している」として、革新的な治療薬が開発されている状況を評価した。

後藤氏はセミナーで、「小児がんは希少疾患で命に関わる病気だが、治癒が可能であり、小児がん患者・経験者は決して希少な存在ではない」と強調した。診断後5年の生存率についてのデータ1)をもとに、「総じて7~8割が治癒する」と説明。日本で小児がんと診断される件数は年間約2000~2500件で小児1万人にあたり1人の割合だが、小児がん経験者の数は20~39歳の成人700~1000人に1人程度存在するとした。

多くの小児がんでは、強力な化学療法が用いられることから長期入院が必要で、治療期間は1~2年と長期にわたる。後藤氏は小児がんの治療について、「治療による感染症や胃腸障害、脱毛など急性期の副作用のみならず、心理・社会的な問題も無視できない」と指摘。さらに「小児がん経験者では、晩期合併症(長期副作用)として慢性的な健康障害がみられるケースもある」と問題視した。後藤氏は、「すべての小児がん経験者に健康障害があるわけではない。また、化学療法や疾患そのものによる影響なのか、入院生活といった養育環境による影響なのか、要因は必ずしもはっきりしていない」と前置きしつつ、骨髄移植を受けた後に低身長・低体重となった例や、急性リンパ性白血病経験者では非経験者に比べ神経認知機能が落ちる傾向にあるとした研究結果2)を提示。「小児がんの経験によって、なんらかの傷跡を残す可能性がある」と述べた。

ラロトレクチニブはゲームチェンジャーとなるか

後藤氏は講演で、小児がん治療の進歩について「2000年を境に、多くの腫瘍で治療成績が向上している」と指摘。ひときわ目を引くのは慢性骨髄性白血病(CML)で、「日本の治療成績は10年間で40%近く向上した」と説明した。その理由としては、」の登場が大きいという。

後藤氏は「分子標的薬の登場によって奇跡のような治療成績の革新が得られた」と小児がん治療が大きく変わったことを指摘。2021年3月に承認されたトロポミオシン受容体キナーゼ阻害剤「」(商品名:)について、「小児がん治療のゲームチェンジャーとなる薬剤として期待されている」と言葉に力を込めた。ラロトレクチニブの剤形はカプセルに加え液剤があることから後藤氏は、「カプセルを服用できない患者や嚥下機能に障害がある患者に使用できる」と強調した。

ラロトレクチニブの開発を巡っては、成人と小児を対象に並行して治験が実施されている。日本では、小児に対する治験を行わないこともあるという背景から後藤氏は、「成人と小児で同時に治験が進められたことは大きな意義を持つ」と評価した。

ラロトレクチニブの効果については、21歳以下の進行・再発の固形がん患者を対象とした国際共同第1/2相試験「SCOUT試験」の中間解析(独立評価判定)結果を示し、「多くの患者で30%以上の縮小率が得られている」と述べた。また、「内服薬であることから、入院する必要がなく、自宅での治療が可能だというメリットもある」と指摘した。

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