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健康診断・人間ドック、がん検診等に関する一般/医師の意識調査結果を発表-J&J

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2021年12月17日 AM11:00

一般1万5,000人、がん診断・治療に関わる医師300人対象

ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社は12月14日、全国の20~79歳の男女1万5,000人(以下、生活者)、および、がんの診断・治療を行う全国の医師300人を対象に、、がん検診に関する意識調査を実施し、その結果を発表した。


画像はリリースより

生活者対象の調査は、「健康診断・人間ドック、がん検診に関する意識調査」で、2020年に続いて実施された。2021年11月にインターネットを用いて行われた。調査対象は、調査会社登録モニターのうち、全国の20~70代の1万5,000人(男性7,404人、女性7,596人)。がん検診に関する回答対象者は検診対象に準じ、胃がん・肺がん・大腸がんは40歳以上の男女、子宮頸がんは20歳以上の女性、乳がんは40歳以上の女性だった。

医師対象の調査も同様に2021年11月にインターネットを用いて行われた。調査対象は、医療サイトに登録するモニター(医師)のうち、がんの診断・治療を行っている医師300人。内訳は、病院勤務の消化器外科医(40人)、呼吸器外科医(40人)、外科医(30人)、泌尿器科医(30人)、病院・診療所に勤務する乳腺外科医(40人)、婦人科医(40人)、消化器内科医(40人)、呼吸器内科医(40人)だった。

「受診控えたい」は減少の一方、がん検診の「受診予定なし・わからない」も半数以上

生活者対象の「健康診断・がん検診受診に関する意識と実態」について、「健康診断」「」を「控えたい」+「やや控えたい」の回答は、「控えたい」あるいは「やや控えたい」の回答者が2020年・2021年ともに最も多かった4~6月で、それぞれ2020年の5割台から3割台に改善。しかし、「来年度控えたい」も約2割存在していた。(以下、コロナ)感染拡大前3年間に受診歴のある人では、「来年度控えたい」が15.1%。「健康診断」「」受診率は2020年から微増も、依然として約6割が「」を「受ける予定はない」または「わからない」と回答していた。また、加入保険で受診率に差も見られ、「健康診断」も「」も「国民健康保険加入者」が低調だった。

生活者対象の「健康診断とがん検診を受診しない理由」について、未受診者の理由として「コロナの感染リスク」が減少。「健康診断」は12.8pt低下していた。「健康診断」は4人に1人が「健康状態に不安はない」や「経済的負担」、「がん検診」は4人に1人が「からだの変調を感じない」「健康状態に不安はない」と回答していた。

生活者対象の「健康診断とがん検診を受診した理由」について、健康診断、がん検診ともに、「これまでも定期的に受けているから」という回答が約4~5割、「受けると安心できるから」が約4割だった。「がん検診」は、「発見が遅れ手遅れになりたくないから」と約2~3割が回答していた。

「がん検診」や「適切な医療受診」に関する生活者と医師との認識の差

医師対象の「コロナ感染拡大によるがん発見・治療への影響」について、コロナの感染拡大ががんの早期発見・がん治療に影響していると考える医師は9割以上だった。コロナの感染拡大が、がん治療に影響を及ぼすことを不安に思う医師は8割以上、コロナの不安から検診回避の傾向を懸念する医師は8割以上、がんが進行した段階で病院に来る患者が増えることを懸念する医師は6割以上いることもわかった。

生活者および医師対象の「がん検診の積極的受診に向けて重要なこと」について、生活者からは、費用負担の軽減を求める声が3割以上だった一方、医師は、「生活者がコロナの正しい知識を得ること」を求める声が5割以上だったことがわかった。

生活者および医師対象の「健康意識・行動の変化」について、生活者はコロナ感染拡大を受け、「健康意識が向上」と約4割が、「病気の予防意識向上」と約3割が回答していた。医師の5割は「体調不良くらいでは医療機関に来る人が少なくなっていると思う」と回答した。

生活者および医師対象の「コロナ禍での疾患リスクと不安」について、「通院を延期した・控えた」は、2020年調査よりも減少。通院や受診を延期・控えた理由は、コロナ感染リスクを挙げる人が最も多かった。一方、受診した理由は、「コロナ感染リスクよりも、体調や症状への不安が大きいから」が最も多かった。生活者の適切な医療機関の受診のために重要なこととして、生活者・医師ともに約3割が「」と認識。また医師の約4~5割が、「コロナの正しい理解」「医療機関の感染リスク低減への対応」「ワクチン接種完了」「治療薬」などのコロナ関連項目が重要と捉えていることが明らかになった。

コロナ禍でも適切な医療機関受診するための情報提供を

調査結果から、「コロナ禍が、私たちの受診行動に影響を与え、結果として病気の進行にまで影響を及ぼしている可能性」が示された。健康診断やがん検診は、からだに不調を感じていない状態、健康状態に不安を感じない状態でこそ病気を早期発見するために重要な予防医療と位置付けられている。がん検診を受診した人の2~3割が「発見が遅れ手遅れになりたくないから」受診したと回答しており、検診の重要性を認識している人も存在した。また、発見の遅れによる影響や、疾患の症状、科学的根拠に基づいた健診・検診の有効性についての情報を求める声もみられた。なんらかの症状を感じた際にそれが重要な疾患の初期症状である可能性があること、早期発見が治療の選択肢を広げる可能性があることを認識し、人生100年時代において、より多くの人が健康診断やがん検診を含めた適切な受診について改めて考えるきっかけになることが望まれる。

同社は2020年末に、健康診断やがん検診、また体調不良時の診療など、コロナ禍における適切な医療機関の受診のための情報提供サイト「今だから知っておきたいウィズコロナ時代の医療受診」を開設。「調査結果を踏まえ、今後も、がんをはじめとする病気の早期発見・早期治療の一助となる取り組みを実施してまいりたいと考えている」としている。

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