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大気汚染が出産に及ぼした影響、2019年は早産600万件、低出生体重児出産300万件?

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2021年10月07日 PM03:15

大気汚染が1年間に600万件の早産に影響

大気汚染が2019年の1年間に世界中で発生した約600万件の早産と、約300万件の低出生体重児出産に影響を及ぼしていたとする研究が報告された。米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)のRakesh Ghosh氏らがシステマティックレビューとメタ回帰分析を行い推計した結果であり、詳細は「PLOS Medicine」に9月28日掲載された。


画像提供HealthDay

世界保健機関(WHO)によると、世界人口の90%以上が大気汚染の影響を受けながら生活しており、また、世界人口の半分は家の中で木材や石炭などを燃やすことにより室内空気汚染にも曝されているとしている。このような環境での生活は通常、長年にもわたるために成人の健康への影響が懸念される。しかしそれだけでなく、早産や低出生体重児出産リスクとの関連も指摘されている。早産は新生児死亡のリスクを高め、低出生体重児はその後の生涯を通してさまざまな疾患リスクが上昇する懸念がある。

Ghosh氏らは、世界中で発生していると考えられる大気汚染による周産期転帰への影響を、システマティックレビューとメタ回帰分析に基づいて定量化することを試みた。PubMed、Embase、およびWeb of Scienceを用いて査読システムのあるジャーナルに掲載された英語論文を検索。大気汚染と低出生体重児に関する研究40件、および大気汚染と早産に関する研究40件を抽出した。

メタ回帰分析に基づく推計により、前記のように、2019年の1年間で大気汚染の影響を受けた早産が世界で約600万件発生し、約300万人の低出生体重児が生まれていた可能性が浮かび上がった。これらの影響の約3分の2は、主に家庭内の調理器具の使用による室内空気汚染の影響と考えられるという。室内空気汚染による周産期転帰への影響を世界規模で調査した研究は、本研究が初めてとのことだ。Ghosh氏らの研究グループは以前、大気汚染が世界中で1年間に50万人の新生児死亡に影響を与えていると報告しているが、新たな研究では、新生児死亡のリスク因子である早産に及ぼす大気汚染のインパクトが示されたことになる。

また今回の研究では、東南アジアとサハラ以南のアフリカで大気汚染の影響を最小限に抑えることができれば、早産と低出生体重児出産をほぼ78%削減できることが分かった。現時点でこれらの地域は、世界で最も早産率が高い地域である。

一方、先進国でも大気汚染による周産期転帰への看過できない影響が観察された。例えば米国では2019年に、大気汚染が約1万2,000件の早産に影響を及ぼしたと推定された。

Ghosh氏はUCSFのニュースリリースの中で、「われわれの研究による世界規模で精密に推計されたデータは、大気汚染が成人の慢性疾患だけでなく、新生児の死亡リスクにもかかわる問題であることを示している」と述べている。また同氏は、「この研究結果は、気候変動を抑制し大気汚染を改善するための対策を講じることが、世界中の新生児の健康上のメリットとなることを示唆している」とも語っている。(HealthDay News 2021年9月28日)

▼外部リンク
Ambient and household PM2.5 pollution and adverse perinatal outcomes: A meta-regression and analysis of attributable global burden for 204 countries and territories

HealthDay
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