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喘息には「概日系」に加え、「睡眠/覚醒サイクル」も影響している?

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2021年09月21日 PM02:15

喘息が夜間に悪化する理由とは?

喘息は夜に悪化しやすいとされるが、それには概日系が影響を及ぼしている可能性のあることが明らかになった。米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院のFrank Scheer氏らによるこの研究結果は、「Proceedings of the National Academy of Sciences」9月14日号に掲載された。


画像提供HealthDay

概日系は、概日時計の中枢として機能する脳の視交叉上核と、全身の臓器や組織に分布する概日振動体で構成され、行動や生理機能の24時間のリズムを調整している。この概日系が、夜間における喘息の症状悪化の原因である可能性がこれまでにも示唆されてきたが、明確なことは明らかになっていない。

Scheer氏らは今回、喘息持ちで、ステロイド薬を使用していない17人(女性10人、平均年齢26.5歳)を対象に、睡眠や運動、気温などの環境面や行動面による影響とは別に、概日系が喘息に与える影響を調べた。

対象者はまず、自宅で3週間にわたって規則的な睡眠/覚醒サイクルで生活した(自由行動下プロトコル)。その後、窓や時計、ラジオ、テレビ、パソコン、来客などのない、時間の推移を知ることができない環境に整えられた実験室内で2通りのプロトコルのうちの少なくとも1つをこなした。1つ目のCR(constant routine)プロトコルは、通常の室内照明環境下で2日間の順応期間を過ごした後、薄暗い照明の中で37時間40分間の覚醒時間を過ごすというものだった。この間は、2時間おきに同じ間食を取った。もう1つのFD(forced desynchrony)プロトコルは、CRプロトコルと同様に2日間の順応期間を経た後、薄暗い照明の中で1日28時間の睡眠/覚醒サイクルで1週間過ごすというものだった。サイクルの内訳は、睡眠時間が9時間20分、覚醒時間が18時間40分だった。いずれの環境においても、気道抵抗や肺機能、喘息症状の評価がそれぞれに定められた時間間隔で行われ、必要に応じて吸入薬が用いられた。対象者が予定外の時間に使用した吸入薬については記録された。

全ての対象者が自由行動下プロトコルを完了し、17人中13人がCRプロトコルを、11人がFDプロトコルを完了した。また、喘息のない対照10人も、自由行動下プロトコルとCRプロトコルを、またそのうちの5人はFDプロトコルもこなした。

その結果、喘息持ちの人では、概日系が独立して肺機能に影響を及ぼしていることが明らかになった。CRプロトコルとFDプロトコルの双方で、肺機能は概日リズムでの夜間(午後11時〜午前11時に相当)に低下し、午前4時頃に最低となった。また、レスキュー薬としての吸入気管支拡張薬の使用頻度も、概日リズムでの夜間の方が日中に比べて4倍増加することも判明した。

さらに、数学的モデルを用いて解析したところ、喘息には、概日系に加え、/覚醒サイクルも影響していることが明らかになった。このことは、概日系と睡眠の両方の影響が、喘息の症状悪化に寄与している可能性があることを示唆する。

Scheer氏は、「この研究結果は、“静かなる”喘息とでもいうべき現象があることを明らかにするものだ」と述べる。そして、「概日系と睡眠/覚醒サイクルの影響が組み合わさる夜間に、人の気道抵抗が上昇する可能性がある。しかし、それが目を覚ますほどひどくない限り、そのことには気付かないのが普通だ」と説明する。

研究チームは、運動、気温の変化などの環境や行動の影響や、吸入ステロイド薬などの薬剤を使用している患者にもこの結果が当てはまるのかどうかについても検討が必要なことを認めている。それでも同氏は、「この研究は、概日系が喘息に及ぼす影響と、行動・環境要因が喘息に及ぼす影響を注意深く区別した、最初の研究の1つである」と強調する。また、「喘息の重症度に影響を及ぼすメカニズムの解明は、喘息の治療と研究の双方に重要な意味を持つ可能性がある」との見解を示している。(HealthDay News 2021年9月8日)

▼外部リンク
The endogenous circadian system worsens asthma at night independent of sleep and other daily behavioral or environmental cycles

HealthDay
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