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コロナ流行下における子どもの食生活への影響を調査-成育医療センターほか

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2021年08月27日 PM12:00

全国8地域から無作為に抽出した小・中学生の家庭を対象に

国立成育医療研究センターは8月24日、新型コロナウイルス感染症の流行が全国の子どもたちの食事に与えている影響、また影響がどのように家庭の経済背景により異なるのかを調べ、その結果を発表した。この研究は、同センター社会医学研究部の森崎菜穂部長、新潟県立大学の村山伸子教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Nutrients」に掲載されている。


画像はリリースより

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックにより、子どもたちの生活も大きく変化した。研究グループは、厚生労働科学研究「新型コロナウイルス感染症流行前後における親子の栄養・食生活の変化及びその要因の解明のための研究」に基づき、2020年12月に調査を実施した。

対象は、全国8地域ブロックの小学5年生・中学2年生の子がいる世帯から無作為に選ばれた3,000世帯の家庭。「新型コロナウイルス感染症流行期前後における親子の食事と健康に関する実態調査」として、家庭に調査票を郵送して実施し、1,551世帯(52%)からの回答を得た。なお、全国の代表性を持つ数値になるように統計学的処理を行って調査結果を算出している。

緊急事態宣言下で食事の質低下、特に低所得家庭で影響大

2020年4~5月の初めての緊急事態宣言中およびその前後における子どものたちの食事状況を調べたところ、バランスの取れた食事(肉、魚、卵と野菜を両方1日に2回以上を含む)を取れている子どもの割合は、世帯収入にかかわらず緊急事態宣言中に低下していたことがわかった。また、世帯人員1人当たりの平均所得が低い家庭ほど、緊急事態宣言中にバランスの取れた食事を取れている子どもの割合は大きく低下していたこともわかった。

コロナ流行前より肥満・やせが増加していることからも影響を注視していくことが重要

さらに、感染拡大前よりも調査時点(2020年12月)のほうが、食事を作る時間や心の余裕が増えたと回答した保護者も多くいた一方で、減ったと回答した保護者も多くいたこともわかった。世帯人員1人当たりの平均所得が高い家庭と比べて、所得が低い家庭は、「食事を作る時間の余裕が減った」「食事を作る心の余裕が減った」「食材や食事を選んで買う経済的余裕が少なくなった」と回答した保護者の割合が多く認められた。

学童期の子どもたちの肥満や「やせ」がコロナ流行前と比べ大きく増加していることが、令和2年度学校保健統計調査などから報告されている。同調査でも、「(おやつ)の機会や量が増えた」と31%の保護者が回答していた。

「コロナ禍はまだしばらく続きそうだが、子どもたちへの影響は注視していく必要があると思われる。今後も各調査結果や社会情勢などを踏まえて、継続調査を実施していく予定だ。重大な調査結果は速やかに公開し、現場での子どもたちへのケアや施策提言に活かされるよう努める」と、研究グループは述べている。

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